3年間付き合ったけど彼氏がフリーターになったので別れた話。 (8) 初デートの話。
スキをくれている皆さん、ありがとうございます。初デートの話を書こうと思ってその時の記憶を掘り起こしていたら、気恥ずかしくなってきてこんな時間になってしまいました。
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初デートは恋人になって3日後のことでした。恋人になる前に水族館に行こうという話はしていて、恋人になってより都合が良くなったので決行したという感じです。彼は本来ならこの時に告白しようとしていたみたいですね。なのにその前に思わずキスしてしまったらしいです。めちゃくちゃ無計画ですね。というか普通に考えて、芋とはいえ18歳の女の家に乗り込み(彼は21)、いきなりキスするなんて頭沸いてますね(笑)彼はそういう、いい意味でも悪い意味でも、常人ならできないことを簡単にやってのけちゃう人でした。ああ、でも水族館で告白される王道シチュでも良かったなーなんて。けれどそういうところもまた魅力的だったのかもしれません。自分にできないことをできる人は否応なしにかっこよく見えます。対して私は何か行動を起こす度に考え込んでしまう性格なので、補完しあってもいたのでしょう。もちろんそれ故喧嘩することもありましたが、それまた先のお話。
話はそれましたが、そういう人なのでデートも彼がリードしてくれる形でした。まあ先輩なので、当時の私はもちろん彼に任せる気満々でしたが(笑)
ドキドキしながら水族館内を回ります。緊張してるんですけど、心が引っ張られる辛い感じじゃなくて居心地は良くて。2人で並んで歩いているだけで楽しいこの時間が、ずっと続けばいいとさえ思っていました。
けれど1つ気になることが。周りがカップルばっかりなんですよ。加えて私達が訪れたのは9月だったので、絶賛夏休み中の大学生カップルがうじゃうじゃ。しかも私達みたいな初々しいカップルなんていないんですよね。見えてないだけかもしれませんが、みんな恋愛上級者で超イチャイチャしてる(ように見える)んですよ。私もはじめは純粋に水族館を楽しんでいて、かわいい〜とか食べたい〜とか言ってたんですが、ちらちら周りの上級者カップルが目に入ります。そこで1番注目してしまうのは、手を繋いでいるかどうかです。恋人繋ぎしているカップルがすぐそばを通ると私は1人気まずくなっていました。いや、思ってましたよ。初デートだし手繋がれることもあるんじゃね?って。でも水族館に着いてもされない。これは私からいくべきなのか?いや待ったほうがいいのか?と目の前の魚を見ながらぐるぐる考えていました。
触れるか触れないかの距離で動く2人の手。通り過ぎてゆくカップルはもちろん皆繋いでいます。魚が可愛いとかどうでもいい!もうだめだ!繋いじゃえ!と思ったその時、彼の手が私の手を掴みました。びっくりして彼の顔を見ると、あの時と同じ優しい顔をしています。わたしは一気に恥ずかしくなって顔を伏せました。するとそこから自然と彼の指が私の指に絡みました。
………!!!
これが恋人繋ぎか!!と衝撃を受けました。普通の手繋ぎよりあったかくてより繋がっている感じがします。なるほどだからさっきのカップル達は皆やっていたのかと自分の中で勝手に納得していました(笑)もう全ての事が私にとって初めての経験で、心はずっと忙しなく動いていました。
そんなことを知ってか知らずか、恋人繋ぎにも慣れた頃、彼は繋いでいるわたしの指の骨をこりこりいじってきました。手汗やばいからやめて〜〜と思ったんですが、なんだかくすぐったくてわたしもやり返しました。すると彼は笑っています。それはサークルでは見たことのない笑顔でした。彼はちゃんと彼氏の顔をして笑っていて、それがとてつもなく嬉しかったのを覚えています。彼も私と同じくらいこのデートを楽しんでくれている、そう思うと心が満たされて、お互いの気持ちが繋がっているという幸せがじんわりと、わたしの体全体をあたためました。気合いを入れてヒールの高い靴を履いてきてしまった後悔も、いつの間にか吹っ飛んでいました。
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帰りは今日の記念にと初めてツーショットを撮りました。ちゃんと可愛くうつっているかどうか、笑顔は引きつってないか、いろんなことを気にしながらレンズを見たのを覚えています。恥ずかしくて、彼から写真を見せられた直後は直視できませんでした。適当に「いい感じ〜」と嘘をついて。
また、最後に彼はぬいぐるみも買ってくれました。水族館のぬいぐるみもらって嬉しいとかいう女絶対嘘やん、男に媚び売ってるだけやん、とか思ってましたが(ひねくれ過ぎですね(笑))、やっぱり買ってもらうとなんでも嬉しいものですね。そのぬいぐるみは、これを書いている今も、わたしの頭の上にいます。
とまあ、初デートはこんな感じでした。3年以上も前の話なので、忘れているところは多々ありましたが。1番印象に残っているのはやっぱり恋人繋ぎでした。彼とひとつになれた気がしてとても気持ちが良かった。彼はどんなことを考えていたんでしょうね。同じことを考えてくれていたらいいな。
こうやって振り返っていると、時は戻せないんだなと、改めて時間の儚さをひしひしと感じます。日記でもつけてれば良かったかな。人の気持ちは刹那的で、その瞬間瞬間に更新されてしまう。わたしはそれがなんだかもったいなくて、切なく感じてしまって、遅いけれどこのnoteを書いています。この行動が意味のあることだと信じて。
次はもう1つのデートの話を書きますね。