3年間付き合ったけど彼氏がフリーターになったので別れた話。 (9) 映画デートの話。
すっかり間があいてしまってすみません。帰省して久々に家族と一緒にいたら、孤独を感じなくなってなんだか書く力が湧かなくなりました。でも今日からまた再開します。
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ドラマ「獣になれない私たち」でガッキー演じる主人公の晶は、長年付き合い結婚を考えていた彼氏に別れを告げる際、こう言っていました。「あなたと別れることはわたしの人生を捨てることだった」
これには本当に共感しました。付き合っている当時、私にとって彼は私の人生そのものになっていました。それはおそらく、彼が私に初めて「愛」を教えてくれた人だったからです。彼を失うことは、彼に侵食された「愛された」という私の人生を失うことでした。だからこそ別れは辛かったし怖かった。そしてだからこそ彼は今でも、私にこんな話を書かせるのではないかと思います。
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初デートの次は王道映画デートでした。好きな人と映画を観にいくのは初めてのことで、まだやっぱりドキドキしていたのを覚えています。観たのは海外のアクション映画。お互いに見たいと言ったもので不満はありませんでした。
彼と並んで座ります。彼にへんな子だと思われないように、階段でこけないように、座席に体をぶつけないように、いろんなことに注意しながら進んでいました。(わたしは階段が苦手でよくこけます。また自分の身体感覚が乏しく、よくどこかに体をぶつけます。)無事何事もなく席に着いた時、首を左右に振るとゴキゴキッと鳴りました。あまりにも大きな音だったので、やばい!最後の最後でやっちまった…!と彼の方を恐る恐る見ると、彼はにこにこ笑っています。
「引かないんですか?」
「なんで?かわいいよ」
「首ゴキゴキ鳴らす女が可愛いんですか…?」
「〇〇らしくていいじゃん」
その言葉で私は間違いに気づかされました。首ゴキゴキ鳴らす女なんて引かれると思っていました。けれど彼は私を、世間的価値観で捉えているわけではありませんでした。彼には、普通ならこう思う、という社会的通念が、その対象が私である限り通用しないのです。少し考えれば当たり前です。彼は私を好きだと言って特別だと認識してくれているからです。私は彼に嫌われるのが怖くて、彼の「好き」が疑わしくて、色々なことに気を配っていたけどそんなことは無意味でした。彼はもう、その時点で私を愛してくれていたんだと思います。これが全てを受け入れてもらえる安心感か。小さなことでしたが、嫌われることへの予防線を常にひいていた私にとっては大きな発見でした。
「〇〇だったらなんでもかわいいよ」
彼は付き合っている間、このような言葉を何度も言ってくれました。と同時に、この意のままの行動を示してくれました。
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席に着いたと同時に、隣から手が差し出されました。私も手を重ねました。きっと2時間後には手汗がすごいことになってるけど大丈夫だろうか。そんな心配が一瞬よぎりましたが、余計なことを考えるのはやめました。今繋ぎたいから繋ごう。彼もそう思って手を差し出したのでしょう。彼の気持ちはいつも真っ直ぐで、それを武器に私の心をどんどんこじ開けてきました。まるで、私の全てを見せてと言うように。ある意味、彼に遠慮は無かったです。きっと彼も同じくらい私に遠慮されたくなかったからでしょう。彼のこの積極性がなければ、私は彼に心を開けず、すぐに別れていたかもしれません。
その日のデートも、付き合った日以上のことはされませんでした。深いキスさえも。(これは彼の遠慮だったのかもしれません(笑))私は何だか物足りなく感じながらも、その日が来る怖さを感じていました。正真正銘処女でしたからね…。
そんな私たちが次のステップに行くのは約1ヶ月後のお話です。次ぐらいに書こうと思います。