5月6日に開催した記者会見について
先日行った記者会見の概要と動画です。
【「入管法改悪案廃案を求める緊急記者会見」概要】
▷日時 5月6日㈭ 15:30-
▷場所 ビジョンセンター日比谷3F
東京都千代田区有楽町1-5-1
日比谷マリンビル5F
▷登壇者
指宿 昭一(弁護士)、駒井知会(弁護士)、高橋 済(弁護士)
中島 京子(作家)、温 又柔(作家)、星野 智幸(小説家)、ラサール石井(タレント、俳優)
ワユミさん(ウィシュマさん妹、次女)、ポールニマさん(ウィシュマさん妹、三女) ※オンライン登壇
【呼びかけ人】
指宿 昭一(弁護士)
駒井 知会(弁護士)
高橋 済(弁護士)
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今回の法案の問題点は主に4つあります。
1つ目は「難民認定の手続き中は送還しない」とする今の規定に対して、3回目以降の申請者については原則としてこのルールの適用外にするという点です。後述しますが、日本の難民認定率は非常に低く、申請を重ねる中でなんとか認定されたり、在留を認められたりした例はあるものの、殆どのケースは認定を受けられません。安易な送還によって本国で投獄や死刑となる恐れもあり、取り返しのつかない事態を招きかねません。
2つ目は、国に帰れない人々を刑事罰の対象にすることです。退去強制令書が出された9割以上の人々は、送還に応じています。それでも帰国をできない人々は、「命の危険がある」「家族が日本にいる」「生活の基盤の全てが日本にある」など、帰れない事情を抱えた人たちです。そうした人たちが国外退去命令に従わない場合、1年間の懲役または20万円以下の罰金となる可能性があります。
3つ目は難民認定や在留特別許可の結果が出るまで、入管側が選定する「監理人」の監督を受けながら施設外で暮らすことを認める「監理措置」の創設です。この措置を認めるか否かの基準はあいまいで、入管当局の裁量に委ねられます。監理の対象になった人は、一部の人を除いて基本的に就労は許可されておらず、国民健康保険にも入れません。
「少し温かいものが食べたい」「子どもを病院に連れて行くお金が必要」と働き、それが発覚した場合、3年以下の懲役の対象になります。移動の自由も大きく制限されます。
国連の「恣意的拘禁作業部会(WGAD)」は2020年9月、日本の入管施設での上限のない長期収容や、司法判断を経ない収容を「国際法違反」とし、日本政府に改善を促す意見書を提出しました。しかし、今回の法案は依然として無制限の収容が可能であるなど、意見書に応える内容とはなっていません。
そして、「監理人」が見つからなかった人、入管当局に認められなかった人々は結局、国際法違反とされた、無司法審査・無期限・無要件の入管収容に処せられてしまいます。こうした構造的な欠陥、国際法違反を内包したままの法改定に賛成はできません。
4つ目はそもそも日本の難民認定が国際基準からかけ離れていることです。2019年に日本で難民認定を受けたのは、44人のみです(この年の難民申請者は10375人)。率にしてわずか0.4%でした。カナダの55.7%、イギリスの46.2%、アメリカの29.6%、ドイツの25.9%など諸外国に比べて著しく劣後します。これは、日本において、難民認定基準が国際基準から逸脱しているひとつの証拠です。「迫害」の定義も他の諸国とは異なり、極めて狭く解釈されることが多いのです。私たちは、法務省からも入管庁からも独立した機関で、迫害の被害者であり得る方々からの聴取方法と国際難民法に精通した専門家が、国際水準に則って難民審査を適正に行うことを強く求めます。