結石にて欠席(ホントは早退)

今年に入ってから環境の変化やストレスを感じる事が多く
2024年は変化の年になりそうだなと
前向きと言うか、呑気に乗り切ろうと自分を騙そうとしていた。
そうはいくかと反発するかのように体が不調を訴え始め
職場についた朝、身に覚えのある腹痛に襲われた。

「これは絶対に尿管結石だ」

20代前半に一度患った事があり、
職場で身動きが取れなくなった僕は
救急車で病院まで搬送された。
三大痛い病気の一つと言われる程の痛みであり
僕の場合は、左下腹部のあたりの神経を
ギュッと握られ続けているような感覚だ。
その痛みのあまり療養中の家で気を失っていた事もあった。
一度、結石を生成した体は結石を生成しやすくなるらしく
「クセになるから気をつけてね」と病院の先生に言われた事も想起した。

次第に痛みが増してきて脂汗が出始めたので
職場の人に「恐らく尿管結石である」旨を伝えた。
「早退しても良いですよ」とすぐに許してくれたが
その日は僕のために人員を増やしてくれた日であり
(帰ったら人数増やした意味ないよな)という申し訳無さと
(尿管結石じゃなくてすぐに痛みが引くかもしれない)という気持ちから
早退をするべきか結論を出せないでいると
「恥ずかしがらずに病院に行ってきてください」と早退を促された。

痛みを逃がすように体の角度を変えながら事情を説明する僕の姿なのか
それとも、尿管結石という言葉の響きなのか
一体、どの部分が「恥ずかしがっている」様に見えたのかは不明だったが
その日、初対面となる別の人には
「今まで見た事ないくらい顔が青白いですよ」と言われた事もあり
(見たことないだろうな、初対面だもん)というツッコミと
(今まで出会った人の中でって事なら納得できるなぁ)という理屈を
体とは反対に冷静な脳みそで捏ねながら早退することを決意した。

最寄りの泌尿器科を検索すると
徒歩30分、車で10分の範囲に数軒ある。
自車で出社していたものの運転中に激痛がきたらと不安だったが
10分ならと車を出すことにした。
車のエンジンを始動する前にふと鞄を確認すると
財布がない。
つまり現金と保険証がない。
慣れない土地の慣れない病院がどこまで
キャッシュレス決済に対応しているか不安だったので
どうせ車に乗るならと30分程かかる自宅までの帰路を選択。
少しでも早くと普段使わない高速に乗り10分の短縮を目論んだが
高速を移動する車内のナビから渋滞を示す赤いラインが視界に飛び込み
冷静だったはずの脳みそは腹部の痛みと比例して
車内に文句を溢れさせた。

やっとの思いで家に到着し最寄りの泌尿器科を検索するも
家の周辺には内科しかヒットしなかったので内科に飛び込んだ。
受付で「恐らく尿管結石だが診察は可能か」と確認してから
問診票に尿管結石を経験済みである事等、あれこれ記入した。
診察室に呼ばれる前に検尿カップを渡されたが
紅茶でも注いだのかと思われそうな程に尿は潜血しており
写真を撮っておこうかとも考えたが、自分のおしっこを
他人に見せるタイミングや、そもそも見たがる人はいるのか
という事を考えてやめた。

待合室で5分程待ってから診察室に呼ばれた。
診察室の扉を開けた瞬間に先生が僕を指差し
「正解」と笑っていた。
先生は尿管結石が未経験とのことで
僕のほうが症状については詳しいくらいで
前回の記憶を手繰りながら薬を処方してもらったが
肝心な「結石を出やすくする薬」の存在を忘れていて
錠剤の痛み止めと座薬の痛み止めを貰い家に帰った。

あの腹痛から1週間程経ってnoteを書いているが
未だに結石の排出を確認できていない。
あれから痛みがないことと、「尿路結石の痛み」を
体が覚えていることが精神の安定を与えてくれている。
得体のしれない痛みならまた気を失うだろうな。







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