結石(いし)より強い意志
久しぶりの投稿。
まずは尿路結石の話を。
※尿やら何やらの話が出てきますので注意
尿路結石が判明してからしばらく体調が落ち着いていたが
1週間程してから39℃の熱が出た。
微熱まで落ち着くのを待ってから泌尿器科に行ってみると
腎盂腎炎の可能性があると診断された。
通常、尿路結石になっただけでは高熱が出る事はないらしく
尿の通り道に詰まった結石が原因で
腎臓内に尿が逆流することで細菌が溜まり
敗血症を起こす危険性のある病気らしい。
そうなってしまったら致死率がかなり上がるとのことで
急いで検査をしてもらった。
腎臓の出口に7ミリと4ミリの2つの結石が
クサビのように引っかかっている状態であったものの
結論、腎盂腎炎ではなかった。
CTに写った腸が浮腫んでいる事から
高熱の原因は腸炎のせいだろうと担当の先生が教えてくれた。
病気がランクアップしていなかった安堵とともに
「不思議なこともあるもんだ」みたいなテンションの先生の言葉に
そんなタイミングで併発することある?と自分自身に心の中でツッコんだ。
とりあえず仕事もあるので1ヶ月程様子を見ることになったが
人という字を逆さにしたみたいに支え合う2つの結石を
自力で排出することは恐らく難しいだろうという話だった。
様子見の間とにかく水を飲むことにした。
水中毒を気にして調べるくらいに水を飲んだが
その努力も虚しく2つの結石は1ヶ月前と同じ形でCTの影となって現れた。
まだ様子を見るか手術をするかの2択を迫られたが
「様子を見ても良いけれど半年も経てば2つの腎臓のうちの1つは死にます」
という脅しに戦慄が走り、すぐに手術を行うことにした。
泌尿器科に力をいれている大きな病院を紹介してもらい
5月に手術をすることになった。
大きな病気と言えば尿路結石くらいで骨折もしたことのない僕が
手術をすることになるなんてとほんの少しワクワクした。
手術内容は尿道から内視鏡を入れて結石を粉砕し回収するTULという方法で
初めての全身麻酔と1泊2日の入院も決定した。
まさか全身麻酔もすることになるなんてと小躍りした。
手術当日
手術着を着て看護師さんと手術室へ向かい手術台へ仰向けになる
初めての手術だというのに何故か気持ちは落ち着いていて
「鼓動がかなりゆっくりですけど何かスポーツしてました?」
と、麻酔医さんに質問された自分が誇らしかった。
「野球をしてました」と答えたものの
中学の3年間部活でやっていた程度の事がスポーツをしていた事になるのか
それだけで生涯鼓動がゆっくりになる程の効果を得られるのか
とういう疑問が浮かんだ瞬間だけは鼓動が早くなったと思う。
「野球をしてました」と答えたあとの記憶はなく
看護師さんの呼びかけが遠くの方から聞こえてきて
ぼーっと微睡む意識の中で病室に帰ってきていることを認識した。
1時間くらい経過しただろうか
看護師さんが酸素マスクを外す頃には意識もはっきりしていた。
体についているのは点滴くらいで院内を自由に出歩く事も出来た。
採尿のためにトイレに行くと地獄が待っていた。
おしっこをすると痛い。
まるで尿道からマキビシが飛び出してるような痛み。
涙が出そうになる。
覚悟を決めて痛みを散らすために
顔に力を入れ小さくうめき声を上げ、さらにその姿を客観的に想像して
グリーンマイルのトム・ハンクスを思い浮かべながら便器を赤く染め上げた。
なるべく水を飲んで血を薄くしたほうが良いとのことで
入院中も水を飲んではグリーンマイルを繰り返し翌日退院した。
排尿時の痛みは徐々に薄れていったが今度は別の痛みと戦うことになった。
体にはステントという尿管を広げるための管が入っており
1週間ほど体内に残置する必要があった。
(腎臓内に残った結石を残らず排出するためらしい)
ステントの影響で排尿の度にキューっと脇腹が絞られるような痛みと
血尿がしっかり1週間続いた。
ステントを抜去して更に1週間後、最後のCTを撮り
腎臓内に結石がない事を確認。
長かった結石との戦いにようやく終止符が打たれた。
おおよそ10年振りとなる尿管結石で初めての手術だったが
手術後のほうが痛みやら体の違和感やらで辛かった。
詳細は割愛したがステント抜去も脂汗が出てきて
正味5分が永遠に感じられる程、しっかりしんどかった。
「生活習慣病の兆候もないし、体は健康なので結石が出来てしまうのは完全に体質ですね」
という担当医の言葉に若干絶望しつつ
よく飲むお茶をアールグレイティーからルイボスティーに変えた。
もう二度と手術はしたくないという強い意志を持って。