読書要約

【データドリブンの極意 Tableauブートキャンプで学ぶデータを「読む」「語る」力】

著者:Master KT

【要約】
IT知識の全くない一社員が、会社の方針で突然「データドリブン文化推進」特設チームに配属されるところから物語が始まっていく。
チームを牽引する人材となるために、一か月間「マスター」の下でデータドリブン文化の醸成のカギになる、データリテラシーについて学んでいく。
DAY0からDAY5で「マスター」との会話を重ね、宿題をこなしながらデータドリブン文化を学び、実践に向かい羽ばたいていくストーリーになっています。

DAY0【データドリブン文化の始まり】
データは人間が文字を使って記録をし始めたその瞬間から存在していて、年々データ量は増えてきている。
生活の意思決定の際に必要なactivityをほぼすべてデータ化できる時代が近づいていて「データ≒世界」になりつつあり、データを見ることは世界を見ることにつながっていく。
データを使ってマスマーケティングを脱却し、たくさんの様々な人へのパーソナライズドした対応が可能になる。
データ量が増えることによりデータがより身近になることで、私生活にもデータが舞い込んできます。そこでデータを読む・書く力「データリテラシー」が専門性の高いものから一般教養までシフトしようとしている。
データを読んだうえで、ドメイン知識を掛け合わせた視点で解釈を付け加え、議論できるような能力が求められている

最低限のデータリテラシー
・データストーリーテリング:データの背景にあるストーリーを導く力
・データビジュアライゼーション:データ内容を視覚的な表現からスムーズに理解し、かつその表現を選び取る力
・データの基礎プロファイル:データがどんな行動の結果であるか、粒度などを把握できる力
・分析プラットフォーム:データを共有基盤に置き最新の安全なデータ・分析結果・意見がシェアされることで文化が醸成されると知っていること
これらを概念的に把握していれば対等に会話ができ、データドリブン文化の醸成に役に立つでしょう。

★データドリブン文化とはデータがもたらす拡張経験を自分のものとし、自らの感を研ぎ澄ませて意思決定を下す人々による人間中心の文化である
何か決断するときの最終的な判断は「勘」であり、勘はその人の経験により培われ、洗練され、進化していきます。
ただ、人間の時間は極めて少なく、すべての事象を自分で経験することは不可能。
そこでストーリーの力を使って自分自身が経験したこともないことを経験したように蓄積していき、自分の経験の幅を広げること、データも感を養う経験の幅を大きく拡張してくれる
データによって経験の幅が補われることによって、人々のしごとがどんどん奪われていく。そこで大事なるのが常に好奇心を持ち、新しく登場したものを積極的に取り入れていくマインドとそれを活用して何をするか、誰しもが常に創造力を持つことが求められる
(例)タクシーの運ちゃん

DAY1【データストーリーテリング】
ストーリーを使う意義
・記憶に残る:短時間で伝えたい内容を正確に伝えられる
・人の心を動かす:相手の考えを引き出し、思考のフローを起こす

思考のフロー
情報を正確に記憶し繋げ、様々な考えがまとまったり進んだりする状態を思考のフローという。
思考のフローを導くにはデータを人が見たいと思える姿に変え、思考以外のことに脳が要領を使わないようにしてあげる必要がある。
そのためにはインプット時もアウトプット時も体の一部と思えるようなツールを用いて行うことが最良である。

デモンストレーション
操作説明とは別で、実際に現場で起こりうる思考のフローを体感でき、自らのスキルを効率よく高める方法でもある。
データ分析を通じた思考のフローを見せ、相手もそれをやってみたいと思ってもらうことがゴールである。
思考のフローを言葉によってアウトプットすることでデータストーリーテリングが紡ぐ思考のフローを再現し、それ以外の操作説明やデータと向き合うときに必要な言葉以外は極限までそぎ落とす。
→データで思考のフローを作り出すデモのポイント
  操作の一つ一つに意味を持たせ、1本のストーリーを紡ぐ・「実行結果の意味~解釈~次のステップへの導入」のことだけ説明する・見てわかることと操作手順を説明しない・
  画面中に通りすがった機能をすべて紹介しようとしない・画面と言葉を完全一致させ、視覚と聴覚を最大限使ってストーリーに集中させる・視覚効果を最大限使うため、映える画面まで可能な限り早く到達する

初めてのデータとの向き合い方
・メジャーとディメンションに分ける
・ディメンションには四つの属性(時間、もの、人、場所)のうちどの属性があるのか判断する
・その属性がそれぞれどの粒度(階層)で入っているのか確認する
ディメンションの4Wが照らしだすインサイトを基に5W1Hを用いてストーリーを形成していく、そこに起承転結の要素が交わると人の心が動かせるようになる

DAY2【ビジュアル分析】
データをビジュアル化する意義
視覚属性を活用し、きれいだからチャートを使うのではなく、理解するために必要だから使う(アンスコムの例)
★考えなくてもわかる自然なデザインを目指す

ビジュアル分析のサイクル
ビジュアル分析のサイクルを回せばビジュアルの力をどう使えばデータドリブンになれるのかが明確になる
必要なポイント
・一つ一つのステップが簡単に操作でき、素早くレスポンスを返し、思考のフローを断絶させないようにすること
・ステップは外周1周をきれいに回るようなものではなく、時には戻ったりして、何度も行ったり来たりしながら進められること
・最初に設定したTaskを忘れずに、Act/Shareを実施すること

分類
Preattentive Attributes:向き、幅、長さ、色相、空間グループ、囲い、サイズ、形状、彩度、位置
データタイプ:分類的な名義、順序的な名義、量的なもの

ビジュアルTips
①コンテキストを利用して視覚属性を重ねる(現実世界に近いビジュアルを選択する)
②データ数が多い時はビジュアル選択に気を付ける(表現が相手にどう作用するか意識して最も適しているか考える)
③視覚属性のパターン増加に気を付ける(パターンを入れた分だけ掛け算になり、認識が難しくなる)
④コンテキストを持たない記号的な視覚属性に注意する(意味のない色や形状などは判断を遅らせる)
⑤無意味な色分けに気を付ける(関連があるなら近い色に寄せるなど)
⑥色を有効に使う(色は視覚属性が強いがゆえに気を付けるべき)
⑦背景色とビジュアルの相性を考える(背景色によっては同じ色でも異なって見える)
⑧ビジュアルの背景色をそろえる(Vizの解釈を誤認させる可能性がある)
⑨色覚多様性に配慮する(色弱の人にも考慮する)
⑩場所は必ずしも地図じゃなくてもいい(地図は面している場所や位置関係の表現が得意)
⑪比較で伝えたいことを表現する(相手が理解しやすい題材を比較対象に持ち込む)

ダッシュボード種類
探索型:現状を伝えて相手に考えさせるダッシュボード
説明型:現状を伝えるビジュアルに自分の意見を乗せて伝える
ダッシュボードが「誰がどんな時に見るものなのか」をしっかり考え、それに合わせて選んで構成するべき

相手の「したいこと」をベースにする
相手に「何が欲しい」と聞いてはいけない。それは相手が知っている知識の範囲から出てくるもので、我々は相手が知らない範囲でより効率的に目的を達成できる手段を提示すべき。
ビジュアルの表現は無限大にあるのだから相手が求めていることを自ら考え抜いたビジュアライゼーションで表現し相手に理解してもらう必要がある。

DAY3【分析プラットフォーム】
データドリブン文化
文化とは集団で共通した振る舞いのことで、文化を作り上げるには「教育・プラットフォーム・コミュニティ」の三つが必要になる
プラットフォームはデータドリブンを実践する人たちを支える土台となり、個人の範囲を超えて組織に浸透させるにはプラットフォームを整える必要がある
共有したものがいったいどんなデータなのか、信頼できるデータなのか、それを担保した状態で進めていくことが重要。自分の意志で接続したいときにデータソースにすぐに参照できる環境が必要。

理想的な分析プラットフォーム
「必要なデータがそろってリストアップされている・データが正しいものと担保され安全である」この二つがそろい、データを使いたい人が集まって必要なインサイトやデータを見つけることができる場所が分析プラットフォームである。
必須条件「セキュリティ、データアクセス、データ準備、ガバナンス、コンテンツ探索、分析、コラボレーション」
得られる効果「オートメーション、パフォーマンス、トランスペアレンシー(透明性)、リコメンデーション」

データを守りながら開放する
セキュリティをかけてただデータを守るだけでは「Shadow IT」や「レポートファクトリー」問題が発生し、データドリブン文化情勢に支障をきたします。
その問題を解決するために「レポートの保存場所としてプラットフォームを作る、データソース自体を管理するためのプラットフォームを作る」この二点を行い、より多くの人が自分で自分の質問にデータから答えられるようにする。

DAY4【データとは何か】
データの語源と歴史
データとはある事実やそれを記録した資料のことであり、単体では特に意味のない「データ」を活用できるものにしたのが「情報」である。
入力を正確に行うためやデータ量を減らしたり、膨大な量のデータを格納できるようしたり、すぐにアクセスできるようにする、データを視覚化するなど我々は記録から情報を生み出す術を常に探求し、テクノロジーを進化させている。

データの正しい知識を身に付ける
データの価値は「正確か・量がそろっているか・鮮度が高いか」で決まっている。
これをイメージしてどんなデータをどう用意するか判断していかないと使い物にならないシステムを作ることになる。
データには入力されるシチュエーションと用途に応じて求められる正確性、量、鮮度が変わってきて、クオリティをあげようとするとコストがかかるので、やりたいことに合わせて最適な方法を柔軟に選択することが大事。
常に目の前のデータの意味を理解したうえで母数はどこまでの範囲になるべきなのか、欠落している値はないか考えながら分析していくことが重要
データと向き合う際にはデータが何のために生まれたのか、どのような状況で生まれたのかをある程度把握できるようにしておくとよい、この情報があるだけでデータの理解度が大きく変わってくる

DAY5【データドリブン文化をさらに広げるために】
伝えていくためには
まずは方針を決めるべき
・誰でも使える簡単なノウハウを広めるのか、データを使いこなす熟練者を育てるのか(前者の方が文化醸成レベルは高い→コラボレーションが生まれやすい&上級を目指す人が生まれやすい)
・組織全体が得なければいけないスキル水準と熟練者の境目をどこに見据えるのか
・設定した技術レベルを、組織の中のどの役割のメンバーに求めるのか

最低限のデータリテラシー
データはストーリーとビジュアルの力で読み解けるようになると理解していること

人の心を動かすのは強い言葉
誰かに何かを伝えようとするならば、人の心を揺り動かすことから逃げないこと
今ある文化を変えようとするならば、今の文化を揺るがし、時には破壊しなければいけない。
何かを変えようとするならば、強い言葉で、明確な理論を用い、真摯に、信念と情熱をもって伝えなければならない。
文化を作るには信念を持つことです。誰よりも自分が進む道を信じなければ誰も信じてくれません。その信念が言葉を強くし、周囲に反響をもたらします。
そうして伝えた誰かがまた誰かに伝え、その信念を受け取った人はきっと巡り巡って助けになることでしょう。


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