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上杉昇「永劫回帰Ⅰ・Ⅱ」に込められた意味を2つの側面から読み解く

こんにちは!上杉昇大好きYouTuber金やんです!

先日恵比寿で行われた上杉昇<永劫回帰 #2>ツアーファイナルに行ってきまして、興奮が冷めやらぬ中、オールタイムプレイリストアルバム「永劫回帰」にはどんな意味があるのか考えていました。

今回はそこに込められた上杉さんの想いを、2つの側面から僕なりの解釈でお届けします!
キーワードは「ニーチェ」と「タロット」!

それではどうぞ!

「永劫回帰」にどんな意味を込めたのか

「永劫回帰」という言葉自体聞きなれないので、何となくで意味を捉えた方が多いんじゃないでしょうか。
「ちょっと何言ってるかわからない」という感じの人もいるのかもですねw
僕もそうだったのでめっちゃ調べ漁りましたw

「上杉昇が30年をかけて生み出してきた楽曲たちの中から『今、自分自身が聴きたい曲』を15曲セレクトしたオールタイム・プレイリストアルバム」
と公式では説明されているので、上杉さんが今も大切にしている曲が集められていることは間違いありません。

結論から言うと、
「永劫回帰(永遠回帰)」というのは哲学者のニーチェの思想で、「あらゆる出来事は永遠に繰り返されているという世界観」のことであり、
「何度人生を繰り返すとしても歌いたい曲をセレクトした」ということだと思います。

「はぁ?」ですよねw

哲学の話なので難しいですが、ここから「永劫回帰」についてできるだけ噛み砕いて説明していきます。

「永劫回帰」って何?

ニーチェは「神は死んだ」というフレーズで有名な哲学者ですが、永劫回帰という思想にはどのような意味が込められているんでしょうか。

時代は科学が発展して、それまで絶対的だった「神」という概念が揺らいでしまった19世紀後半。
(説明できないことを「神」の仕業だとしていたものが、科学で説明できるようになってしまったということ)

「すべての物事に意味や価値はない、自分の存在も含めてすべて無価値だ」と世の中のすべてを否定する「ニヒリズム(虚無主義)」という考え方が提唱されました。

どういうことかと言うと、
それまで生きる意味や価値を与えてくれてた「神」がいないなら、ぜんぶ価値なんてないし生きてる意味ないからもうどうでもいいや。
となってしまう人が出てきたわけです。

そこで、将来に対する夢も希望も持たず心地よく穏便な生活だけを求めて、ただ何となく生きている人々を、ニーチェは「末人(まつじん)」と呼びました。

そして、ニーチェはいずれニヒリズムが支配する世の中が訪れて、末人だらけになると予言しました。

そこで、そのニヒリズムを克服するために用いた考え方が「永劫回帰(永遠回帰)」です。

「永劫」は無限に続く長い年月、「回帰」は一周して元のところへ帰ること。
つまり、先述した「あらゆる出来事は永遠に繰り返されているという世界観」を指します。

「人の喜びも悲しみも人生のあらゆることはすでに決まっていて、無限ループの中を生き続けている」という仮説なので、それこそニヒリズムに陥ってしまいそうだとも思えます。

ですが、ニーチェはそれを肯定することが大事だと説きました。
どういうことでしょう?

無限に繰り返される人生なら、また何度も繰り返したいと思える素晴らしい人生を送ればいいと主張したんですね。
そして、永劫回帰の無意味な人生の中で自らの確立した意思を持って行動する人を「超人」と呼びました。

「これが永遠に繰り返されるとしたら?」という問いを自分自身に対して本気で立てた時に、ネガティブで否定的で不幸な人生か、ポジティブで肯定的で幸福な人生か、大きな二択が目の前に浮かび上がります。

そこでニーチェは、
惰性的に生きて末人になるんじゃなくて、その人生を愛して永遠に繰り返してもいいと思えるようにしようぜ!
弛まぬ努力をしてそんな人生を目指す超人になろう!と。

つまり、どんな人生を歩んでいたとしても、自分の人生を否定的に見るのではなく肯定的に受け入れることで、自分の意思を持ち悔いのない選択をして生を全うすべきだとした思想です。

極論を言っているように感じる方もいるかと思いますが、「生の肯定」を説いた前向きな哲学だと言われています。
そして、ニーチェはそれ以後の哲学者に多大なる影響を与えることになりました。

上杉昇と永劫回帰

これでもかなりはしょって書いたので、ニーチェの哲学に興味がある方は調べてみてくださいw(専門家ではないのでニュアンスが違う部分もあるかと思います)

「せやかて、そんな簡単やないねん人生は。」
と思ってしまう人も多いかもしれませんけど、「永劫回帰」という思想は上杉さんに大きな影響を与えていると思われます。

アルバムタイトルもそうですが、柴崎さんとのユニット「al.ni.co」のファンクラブ会報に「永劫回帰」という言葉が登場していたり、
その後の上杉さんの活動や発言を見ていても感じるところがあるファンは
多いんじゃないでしょうか。

永遠に繰り返されるとしたら、誰に何を言われても自分の表現したいものをやり続ける。
そんな覚悟があるように感じられます。

「普通の人の人生を倍くらい歩んでる感覚がある」
と「永劫回帰Ⅰ」のライブのMCで語られた言葉の中にも、その思想が垣間見えるというか。

WANDSでデビューしてスターになり、葛藤しながらも辞める決断をしてから、惰性で生きずに本当にやりたいことを追い求めてきたことで、様々な経験をしてきたんでしょう。

WANDS時代はやりたいことがやれず苦しんだ過去があります。
あの時自分の意思を貫かず、そのままWANDSを続けていたらニーチェの言う末人になっていたのかもしれません。

辞めた後も「WANDS」という看板がついて回り、「WANDSの上杉昇」と言われるのが嫌だと発言されたこともありました。
al.ni.coではマネジメント関係者と揉めたり、猫騙でもメンバーとの確執があったというような話もされています。

想像すると、選んだ道は楽しいことばかりではなかったのではないでしょうか。
むしろ辛く険しい道だったように思えます。

そんな葛藤を抱えながらも自分の表現したいものを突き詰めて歩み続けてきたこの30年間を振り返り、様々なことを考えて、改めてニーチェの思想と重なる部分を感じたのかもしれません。

そして今、自分の運命を受け入れて肯定し、何度人生が繰り返されても歌いたいと思える曲を集めたオールタイム・プレイリストアルバムをリリースする決断をされて、「永劫回帰」と名付けたのではないかと思いました。

原盤権などの関係で当時の音源が使えないこともあるかもしれませんが、その中にWANDSやal.ni.coの曲を再録して音源化するに至ったのには、大きな意味があるように思えてなりません。

「永劫回帰」のジャケットとタロットカードの意味

「永劫回帰Ⅰ・Ⅱ」のジャケットに描かれている絵を見て、WANDSファンならピンときた方も多いかもしれませんね。

見たことがない人は何の絵かわかりませんけど、これはWANDSの由来でもある「タロットカード」なんです。

そこにはどのような意味が込められているんでしょうか。

「WANDS」の由来と「永劫回帰」

タロットカードは遊戯や占いなどに使用されるカードです。

78枚1組で、メインとなる22枚のカードを「大アルカナ」、残りの56枚のカードを「小アルカナ」と呼び、それぞれに象徴的な絵柄が描かれています。

「大アルカナ」のみで占う場合と、組み合わせで占う場合があるみたいですけど、占いの説明は省きます。

「アルカナ」はラテン語で「神秘、秘密」などの意味で、人間の潜在意識を表しているそうです。

それぞれが意味するのは以下の通り。
「大アルカナ」→人生で経験する大きな出来事や世界観、物事の本質
「小アルカナ」→身近なストーリー、日常的によくある感情や行動の変化

そして「小アルカナ」はトランプのように4つのマーク(スートと呼ばれる)に分かれていて、それぞれ「1~10」の数字と「ペイジ(見習い)」「ナイト」「クイーン」「キング」の14枚(合計56枚)で構成されます。

4つのスート:「棒」「金貨」「剣」「聖杯」

「棒」は「ワンド(Wand)」の和訳で、「火」の性質を司ると言われていて、「火」が持つ意味は「燃え上がる情熱」「直観」「創造性」「強い感情」。

ここでやっとWANDSに繋がります。

ファンの中では有名ですが、「WANDS」というユニット名はプロデューサーである長戸大幸さんが付けたもので、「理想」「情熱に向かって進む」という意味を持つ『ワンドのエース(ACE of WANDS)』から命名されたと言われています。

ワンドのエース

そして、その「ACE of WANDS」が描かれているのが、3月9日に発売された「永劫回帰Ⅰ」のジャケットです。

生誕50周年・デビュー30周年を記念したオールタイムプレイリストのジャケットに「WANDS」の由来であるタロットカードを使うというのは、ファンにとっては胸熱ですよね。

「ワンドのエース」には、雲の中から突き出された手に木の棒が握られていて、その棒から新しい芽が生まれている。
この手は神の手を表し、芽吹いている木の棒から、新たなスタート・情熱や意欲・生命力などを意味しているそうです。

30年経った今、このカードを掲げた意味。
そこには「情熱を絶やさず理想に向かって歌い続ける」という想いが込められているように思えます。

ワンドの2

そして、5月25日に発売された「永劫回帰Ⅱ」には「ワンドの2(TWO of WANDS)」が描かれている。(棒が2本)

右手に地球儀、左手に棒を持ち、遠くを眺めて立っている人物が描かれた絵柄です。
城のような場所で外を見渡していていることから、過去に大きな成功を収めていて、さらに未来の展望を考えていることが暗示されているんだとか。

これを当てはめると、WANDSで大きな成功を収めてここまでやってきたことや、「ソロ活動でのこれから先の未来を思い描いている」という意味が込められていると読み取れます。

さらに「エース」→「2」と来たことで、この後も続くんじゃ…と想像させませんか?
最後の14枚目は「KING of WANDS」。。。先は長いですがw

もちろんこの先どうなるかはわかりませんけど、ジャケットから期待をさせるような作りになっているので、ファンとしては嬉しいところですよね!

まとめ

「永劫回帰Ⅰ・Ⅱ」について、ニーチェ哲学とタロットカード二つの側面から読み解いてみましたが、いかがだったでしょうか?

何度人生が繰り返されても歌いたい曲。
情熱を絶やさず理想に向かって歌い続ける。
そして未来の展望。

これらはあくまで個人的な解釈なので、上杉さん自身がどのように考えているのかはわかりません。

ただ、<永劫回帰 #2>ツアーファイナルの終盤のMCでこんな一節がありました。

「俺は歌を辞めないし、辞めようとも思ってない。それだけは信じて欲しいと思います」

これまでの人生を振り返ったオールタイムベストとも言えるアルバムのツアーを終えて尚、その歩みを止めるつもりはないという強い決意のようなものを感じました。

アルバムにどんな意味があろうと、その言葉だけで十分。
今後も上杉さんの活動が楽しみですね!

ここまで読んでいただきありがとうございました!
それでは、また!

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