右室梗塞で硝酸薬がなぜ禁忌なのか?
国試対策で「右室梗塞で硝酸薬が禁忌」という問題に出会いましたので、覚え方?理解の仕方?を含めて紹介したいと思います。
医学的に正しいことをできる限り発信することを心がけていますが、保証するものではありませんことをご了承ください。
1.右室梗塞で硝酸薬がなぜ禁忌か?
心筋梗塞の治療といえば、国試的にはMONA(モルヒネ、酸素、硝酸薬、アスピリン)や経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、冠動脈バイパス術(CABG)ですよね。
しかしながら、右室梗塞では硝酸薬の投与は禁忌となっています。
通常の心筋梗塞であれば、左心不全になり、心収縮力が落ちることによる心原性ショックを起こします。硝酸薬によって、血管を拡張させることによって後負荷を減らし心臓が収縮しやすくすることでショックが是正されます。
一方、右室梗塞は閉塞性ショック(心原性ショックの一つではありますが・・・)を引き起こします。
右室梗塞では右心不全となり、右室から肺や左心系に血液が送られず、血液量が足りないため、血圧低下・ショックとなってしまうのです。収縮力はある程度保たれているようです。
そこで、血管拡張作用がある硝酸薬を使うとどうなるでしょうか。
左心系の血液量が増えるわけではないので、さらに血圧低下を増長してしまいますよね。
なので右室梗塞の治療には、十分な補液や右心系の収縮力を高めるため強心薬などが用いられます。
心筋梗塞を見たときには、右室梗塞だけ治療が大きく違うため、右室梗塞かそうでないかを鑑別することが大事になります。次章からは、どうやって鑑別していくかについて話していきます。
2.右室梗塞とはどこの梗塞か
そもそも室梗塞とは、2番の前右室枝(RVB)より中枢側の右冠動脈近位部での閉塞により生じます。それよりも末梢側の閉塞だと下壁を栄養する下壁梗塞となります。
実は、右室梗塞でも下壁梗塞でも心電図において有名なⅡ,Ⅲ,aVfのST上昇をきたします。(むしろ右室梗塞の方が顕著に上昇)
そこで、このⅡ,Ⅲ,aVfを見たら、必ず右室梗塞を除外しなければならないのです。心電図で右側胸部誘導につけかえて、「V3R, V4RでSTが上昇しているか」を必ず確認して鑑別するようにします。
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