グリア細胞 まとめノート
こんにちは、すい@医学生です。
今回は「脳とグリア細胞」(工藤佳久)という本を参考にグリア細胞についてまとめていきます。雑談感覚で読んでいただけると幸いです。
いきなりですが、脳内にはどんな細胞が存在しているかご存じでしょうか?脳内の細胞の割合は、
なのです。
よって、今回はグリア細胞が主役になっています。
1.脳細胞の種類
脳細胞は主に5つの種類があります。
このうち②~④(⑤が入ることも)の細胞たちをまとめてグリア細胞と呼ぶのです。
さらに、このグリア細胞たちは二つに分類されます。
これは大きさによって分類したものです。
では、何の大きさかというと、細胞ではなく細胞体の大きさで分類しているのです。ミクログリアは細胞体が小さく、ほとんど突起しか見えないので(そのため、線状に見えます)、「ミクロ」と名付けたのです。
つまり、
ということですね。
個人的には、これは非常にわかりづらいと思います。なぜならミクログリアの機能が何のなのか名前からは類推できないからです。
大きさではなく、機能から名付けてほしかったものです…
ところで、「グリア」という言葉の意味についてですが、
と言う意味だそうです。
グリア細胞が見つかった当時は、どんな機能があるか特定されておらず、ただニューロンを接着しているだけだと考えられていたことからこの名前が付いたそうです。
ここからは余談なので、飛ばしていただいて構わないのですが、
また、グリア細胞の発生についてですが、
と変わることで、発生するそうなのです。
したがって、神経細胞とグリア細胞は発生学的にも近い存在といえるでしょう。
2.神経細胞
脳の構造は、皮質と白質に分かれますが、
と神経細胞の構造から脳のマクロの構造へとつなげることができます。
ちなみにまた余談ですが、
ここで、触れなければならないことは、神経細胞には「跳躍伝導」というものがあることです。
先述のように、電気伝達はNaが拡散していくことによって伝わっていきます。ただ、そのまま軸索の中を拡散するのではスピードが遅いですよね?
そこで、「跳躍伝導」を行うことで新幹線並みの速度で電気伝達を素早く行っているのです。その「跳躍伝導」を担っている細胞がオリゴデンドロサイトと言う細胞です。
3.オリゴデンドロサイト
まず名前の由来ですが、
次に、神経細胞の電気伝達の仕組みについてですが、
と次々にNaチャネルが開口することで信号を伝達しています。しかしながら、これではすぐ隣にNaチャネルが必要で、それぞれが開口する時間を待たなければならないので、時間がかかります。
そこで、オリゴデンドロサイトの役目なのです。
これによって、神経伝達を早く行うことができるのです。
ちなみに、オリゴデンドロサイトが髄鞘を提供しているのは中枢神経だけです。交感神経線維には髄鞘は存在せず、末梢神経ではシュワン細胞という細胞が代わりにこの役目を担っています。
4.オリゴデンドロサイトとシュワン細胞のミエリン鞘の違いは何でしょうか?
ということです。
つまり、オリゴデンドロサイトは突起によって髄鞘を提供している一方、シュワン細胞では細胞体自体(正確には一つの突起?)が髄鞘になっているのです。
さらに、オリゴデンドロサイトは1つの細胞につき、いくつかの神経細胞に突起を伸ばしています。
つまり、同じ情報が別々の神経細胞をたどる場合に、情報を統括し、一つの情報としていくつかの神経細胞の情報を統合している可能性があるのです。
また、髄鞘はミエリン鞘とも言いますが、このミエリン鞘の断面をご存じでしょうか?
これはシュワン細胞も同様に何重にも巻き付いているようです。
そして、このミエリン鞘とミエリン鞘の間をランビエ絞輪といい、Naチャネルが集合しているのです。
これは生理学でも有名な話なので聞いたことくらいはあるかもしれませんね。
5.アストロサイト
アストロサイトは未だにはっきりと解明されていない働きも多いのですが、
などの働きがあります。
特に、④のグルタミン酸は神経伝達物質の一つで、これは神経から別の神経へと興奮させることができます。
神経のみからしか分泌されないと考えられていましたが、アストロサイトも神経伝達に関わっているようなのです。
また、①では脳実質を支えているとありますが、これは脳梗塞が起きたときに顕著に効果が発揮されます。
アストロサイトは神経細胞に比べて、虚血に強いので、脳梗塞が起きてもしばらくの間は脳内で生存して、脳実質を支えているのです。
ちなみに、オリゴデンドロサイトは逆に虚血に弱いと言われています。そのため、多発性硬化症などの脱髄疾患があるくらい繊細な細胞なのです。
ところで、アストロサイトに選択的に発現するアストロサイトマーカーに中間径フィラメント蛋白質のGFAPがあります。
これは脳が障害を受けた時に、細胞内浮腫が生じることで、肥大した反応性アストロサイトになってGFAPの発現が異常に上昇するのです。
6.ミクログリア
また高坂新一先生によると、
ことが分かっています。ちなみに、Iba1抗体はミクログリア活性型でないと陽性にならないようです。
つまりは、「貪食できる形態の時にIba1抗体が陽性になる」という点で共通しているのです。
7.上衣細胞
脳室の周りを取り囲んでいる細胞で、脳室と脳実質を隔てています。グリア細胞に分類されるときもありますが、別に上衣細胞として分類されることもあります。
8.まとめ
最後に、参考にした「脳とグリア細胞(工藤佳久)」という本の紹介です。ぜひ読んでみてください。
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