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「高張尿」「低張尿」って何?

 こんにちは、医学生のすい@医学生です。
 今回は、尿検査をした時によく聞く、「高張尿」「低張尿」について知ることを目的としています。

 雑学のつもりでぜひ読んでみていください。では、説明していきます。

1.高張尿(=濃縮尿)

  高張尿とは血漿(血液から血球成分を除いたもの=血液の液体部分)よりも浸透圧が高いということを意味しています。

 つまり、尿中に物質が沢山出ているということです。濃縮尿と言えば、分かりやすいかもしれません。
 
 生理的な原因としては、寝起きや水分をあまりとらないことから起こります。これらの理由で、何となく尿が濃くなっているのは経験上でも分かるかと思います。
 病的な理由としては糖尿病や脱水、蛋白尿が漏れ出る病気のネフローゼ症候群などです。

2.低張尿(=希釈尿)

 一方、逆に低張尿とは血漿よりも浸透圧が低いことを意味しています。
 尿中に水分が多くなるので、希釈尿ということになります。原因としては、水分を多く摂取したときなどでしょう。 
 低張尿になってしまう疾患は尿が多量に出る尿崩症や腎不全、心因性多飲症などです。

 ところで、雑談に雑談を重ねて申し訳ないのですが、

「やたらと喉が渇くな。尿量が多いな。」

と思うことはないでしょうか?
 これらの症状があれば、糖尿病や尿崩症、心因性多飲症、腎不全などが原因疾患に挙がります。
 ここで大事なのが、尿が高張尿か低張尿かであるかなのです。

 尿が濃い→糖尿病
 尿が薄い→尿崩症か心因性多飲症か腎不全

と大まかに原因を探ることができるのです。
 ちなみにですが、心因性多飲症では、

 精神的な問題が原因で喉が渇く
→沢山の水を飲む
→沢山の尿が出る

 という病態ですので、夜間は水をあまり飲まないことにより、夜間尿はきたしにくいです。
 一方、尿崩症や腎不全では、

 腎臓が壊れたり、ホルモンの影響で沢山の尿が出る
→体液量減少により喉が渇く
→水を沢山飲む

 という機序ですので、夜間でも喉が渇くのです。
 すなわち、低張尿(=希釈尿)で、夜間でも排尿回数が多いならば、尿崩症か腎不全が疑わしいでしょう。

3.尿検査

 では、「高張尿」「低張尿」はどうやったら分かるでしょうか。

 それは、尿検査の尿比重という項目で分かります。

 尿比重とは、尿の重さ/水の重さのことであり、例えば、尿に水しか含まれないのなら、1.000です。通常は尿にも適当な物質が含まれていますので、1.008~1.030になっています。

 これが正常な「等張尿」の範囲で、それ以上の重さだと「高張尿」、それ以下の重さだと「低張尿」と診断するのです。

 ただ、数値を覚えるのは大変ですよね。そこで、血漿の浸透圧とほぼ同じになる尿比重が1.010と覚えましょう。
 大まかに把握したいときは、1.010より大きいなら血漿より高張、1.010より小さいなら血漿より低張と考えて差し支えないでしょう。

 

 私もこれから濃縮尿のことを高張尿、希釈尿のことを低張尿と言いたいと思います。ちょっとはかっこよく見えますよね?

 

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