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初めての献血でお湯玉をにぎにぎした話

2年前の5月くらいですかね、僕はある日、思い立って献血に行ってみることにしました。 以前から興味はあった上、コロナ禍でやることもない連休で時間も空いていたので、勢いで予約を取り付けました。

まず当日の朝。完全に寝坊しましたね。 「この時間に出発しなきゃ予約の時間に間に合わないよなぁ」の「この時間」に起きました。 さあ大変です。モーニングルーティンを何一つこなすことなく、僕はジャージ姿で家を飛び出しました。その様子を動画投稿したら、きっと#shortが付けられ、縦型の動画になっていることでしょう。 朝ごはんも食べられなかったので、お腹ペコペコ、髪はボサボサです。

車で40分くらいの献血ルームに着きました。ちょっと遠かった。 
早速受付を行い、簡単な問診を行った後に、なんとお菓子のセットをもらってしまいました。 これは良いですね。
献血に行ったらこういった処遇があるとは聞いていましたが、 まさか出会い頭にお菓子がもらえるなんて。 ハッピーサプライズです。もうハロウィンは要らないのかもしれません。

その後、「本当にこの人は献血していい人なのか」を判断するための、医師との面談がありました。 髪はボサボサのヒョロヒョロのジャージ姿の僕を見て、医師はどこか不安げです。

血圧を測ると、当然低いです。 だってさっき起きたんですもの。
「朝ごはんは食べましたか?」と聞かれ、「食べてないですね」って答えると、 不安そうな顔がさらに不安そうになりました。 だってさっき起きたんですもの。

どうやら朝ごはんを食べていなくて血圧が低いと、採血後に貧血やめまいを起こすらしく、危険なのだそうです。 そんな話を聞き、少し怖くなった僕は、 「でも、いつもは食べているんです」と、謎の反論をしました。

その後、血液チェックと称して、別の方に血液を抜いてもらいました。
この時にも、「朝ごはん食べましたか?」と聞かれて、「食べてないですね」と答えると、 不安そうな顔がここにも現れました。 ここでも「まぁ、いつもは食べているんですけどねぇ」と言ってやりました。

採血した血液の情報は、その医師の手元にあったカルテに詳細に書かれていました。 これはすげぇや、と思いながら眺めていると、カルテの上の方に結構大きめな赤い字で、 「朝ごはん食べてません!」と書いてあって面白かったです。

さらに、どうやら献血に来る人は、自分で運転して来のは危険らしいんですね。 帰りの運転中に血の気がひいて、事故を引き起こす危険があるらしいのです。 「ここまでどうやって来たんですか?」と聞かれ 「自分で40分くらい運転して来ました」と答えたら、 不安の階層がまた一段高くなってしまいました。 カルテの上の方に、「車で40分 一人で来られています!」と大きく赤字で追記されました。

その後、医師から「今何か食べられるものって持ってますか?」 と聞かれましたが、もちろん何も持っていません。
…と、思いきや、持っていたんですね。

受付でもらったお菓子セットを、まさに手に握っていました。

え?もうこれ食べちゃうの?家に帰ってゆっくり食べようと思っていたのに…
そのような僕の期待も虚しく、その場で一人でボリボリとお菓子セットを全て食べました。 あんなに虚しいお菓子タイムは初めてでした。

ようやく、献血が始まりました。 腕に針を刺し、血を抜き始めましたが、全然血が出て行かないんですよね。 「なんでなんですかね?」という話を担当の方としましたが、答えは明確です。

朝ごはんを食べていないからですね。 そのおかげで体温は低い、手や腕は冷え冷え、血圧は低い。そら出ませんがな。

体を温めたら出やすくなるらしく、 担当の方は謎の『お湯が入った温かいムニムニした玉』を取り出して僕に渡しました。 形容の難しいアイテムだったのですが、お湯玉としか言えません。 そのお湯玉で暖をとっていたら、出るわ出るわの大出血。 そんな補助アイテムに支えられ、(「出血大サービス!」という売り文句を考えた人は、きっとお湯玉を握ってたら思いついたんだろうなぁ)などと見知らぬ誰かに思いを馳せながら、僕の献血は終了しました。

そしてしばらく休憩した後に帰宅の時間となったのですが、なんと帰り際に受付で再度粗品のプレゼントがあったんです。「洗剤・コーヒー・お菓子」の3つから1つ選べるという、生活感の滲み出たポケモンみたいなシステムだったのですが、一番朝ごはんに近い「コーヒー」を選び、医師たちを安心させてあげました。 あ、体調は何も崩れなかったです。僕にはお湯玉がありましたから。

いかがでしょうか。 身長高くヒョロヒョロ、献血は初めて、血圧低い、手冷たい、朝ごはん食べていない、車で運転して来た、髪はボサボサ、という不安要素の塊魂のような男の初めての献血は無事に終わりました。 みなさんも献血にいかれる際は、万全の体勢で臨んでくださいね。 でないと、医師の「血の気が引いてしまう」のでね。

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