最もスリリングな絡み
初めて聞いたスライダーズ(The Street Sliders)のアルバムは1984年11月リリースの『JAG OUT』だった。B面最後の「チャンドラー」でノックアウトを食らった。遅くなく速くなくちょうどいいテンポ。音を詰め込むのではなく、間(ま)をためて、ためて、2人のギターが絡むのがスリリングで、最高にしびれる。
2023年5月3日の公演『Hello!』で
https://www.sonymusic.co.jp/artist/TheStreetSliders/info/549117
彼らはチャンドラーを1曲目にもってきた。会場で見ていたワタシはイントロのスネアの一発目が響いただけでチャンドラーであることが分かってトリハダが立つ。
この曲の一番の見せ場、聞かせどころ、終盤のギターの絡み合い。そう、ドラムがハイハットだけになり、ハリーがBのコードをチャカッ、チャカッ、チャーと鳴らし、蘭丸がチョーキングのなが~い音で絡むところ。
もちろん原曲と同じでなくていいし、むしろ違う演奏を聞きたいのだが、この日は土屋(もはや60すぎたオッサンを蘭丸と呼ぶのはこっちが恥ずかしい)のワウは2.9小節目ぐらいからやっと鳴り出した。ハイハットと、ハリーのチャカッ、チャカッ、チャーと、ベースのボボッ、ボッ、ボッ、ボ~~ンというパート、最もスリリングなパートに入ってから土屋のギターは聞こえなくなった。ワタシのいた2階席からは彼が弾いているのかいないのか、よく見えなかったが、おそらくワウペダルの接続が良くなかったのだろうと推察する。
ワウはちょっとうるさいかなとも思ったが、まあ、あの無音の部分があっただけに、余計に音が過剰?と感じたのもかもしれない。でも、2人のギターが聞こえ始めてからは「これぞスライダーズ!」というしかない。誰も文句のつけようもない最高にロールする演奏だった。
ハリーの「ROLLしねえ」(2010年『無常人』)というセリフは、「オレはロールしているぜ」という自負、矜持の表れ。思えば1983年のデビュー当時から「Let It Roll」って言っている(英語的な意味は違うとしても)。まだまだ、どんどん、ずんずん、がんがんロールしてもらいたい。
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WOWOWで7月に『Hello!』の再放送があるとのこと。
https://www.wowow.co.jp/detail/190233
チャンドラーの終盤がどうなっているのか、あらためて確認したいではあるが、おそらくソニーミュージックからDVDなりBDなりが出るはずだから、それを見ようかとも迷う。
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スライダーズはメジャーデビューしてからすぐに人気になり、全国をツアーするようになった。ワタシの住んでいる地方都市にも来るということで、予習のために急いでレンタルレコード屋に走り、当時の最新アルバムJAG OUTを借りた。あの時これを選んだワタシ自身をほめてやりたい。「よくぞ聞いた!」。
※写真はチャンドラーの最もスリリングな終盤の絡み。『LAST DAY』(2001年)より。