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なぜ君にアンパンマンのさみしさがわかるというの? 孤独だからさ

さみしさに溢れ、さみしさをかき抱いて、人肌恋しくて、たとえ誰かと抱き合ったとしても、そのさみしさを埋めることはできない…。でも、僕はさみしいんだ…って言いたい。言い続けちゃってる。

先日、私の私淑する枡野浩一様が、noteで宣伝していらっしゃったので、Amazonでポチっとな!しました。で、届いたのがこちら。

『歌 ロングロングショートソングロング』
枡野浩一 短歌/杉田協士 写真

2012年3月の本だ。

私淑すると書いた割に、枡野さんの本は『石川くん』と『ドラえもん短歌』と『ショートソング』とあとネットとかTwitterで読んだアレコレ…位しか知らない。私、大学時代に大学の短歌会には所属してたし、卒論もある歌人の歌集でやったけど、そんなに短歌を熱心にやってこなかった。多分不真面目な方だと思う。

大学を出て、国語教師になった。

国語教師は現代文も古文も漢文も教える。勿論、得意不得意はあるから、どれかに偏ってばかりのこともある。私は割とまんべんなくやらせてもらった。それでも、時々授業がつまらなくなってくると、授業で近現代の短歌を扱った時などに、ここぞとばかりに生徒たちに創作短歌を作らせた。そんなとき、枡野浩一さんや穂村弘さんの短歌をたびたび参考にさせてもらっては、生徒にも楽しんで短歌を作ってもらい、私もコッソリ混ぜて全員ペンネームで作品を打って印刷して、クラス内コンテストをしたりして、大いに盛り上がったのを思い出す。ほとんど趣味の授業だった。

とまぁ、私と短歌の関係はそんな程度なので、ほとんど素人、下手の横好き、いや横好きと言えるほども熱心でなく、でもたまに無性に人の短歌を読みたくなって、思い出したようにネットを漁ってしまう。

だから、今回もたまたまその漁りたい時期に、枡野さんが宣伝してて、渡りに船、だった(スミマセン、熱心なファンじゃなくて…)。

多分、寂しいんだと思う。

そうでなければ、人に歌は必要ない。

元気はつらつなときに、

さよならをあなたの声で聞きたくてあなたと出会う必要がある

さようなら さよなら さらば そうならば そうしなければならないならば

なんて言われても、困惑顔で微笑んでおしまいだ。

さみしいときでないとピンとこないのだ。それは生徒を見ててもわかる。ピンと来てない子は元気。ピンとくる子は、何かを抱えているように見える。

さみしさは、日常を淡々とこなしていれば、忘れられるものだろうか。いや、ルーティンワークを機械のようにこなしていればいるほど、どこからともなく溢れて来るものだろう。それは、働いて、家族がいて、幸せであっても、ふとわいてくる。

これは誰にでも起こる現象ではないと思う。
人により、タイミングにより、また季節によって現れたりする。

そんなとき、人はその溢れる想いを詩に綴ったり、歌に詠んだり、絵や写真や芸術作品にしたりして吐露するのだろう。

川柳と俳句と短歌の区別などつかない人がモテる人です

そうか。そうかもね。

飛べ! 愛と勇気だけしか友達がいないアンパンマンの孤独よ

うちの次男坊も「アンパンマンてかわいそうだよね」って言ってたから、多分アンパンマンを知る日本人の多くは、そんなツッコミを入れていて、この歌のようなことは思ったことがあるだろう。

だけど私はへそ曲がりなので、枡野さんに私なりのアンサーソング。それがこのエッセイのタイトルにあげた短歌だ。

なぜ君にアンパンマンのさみしさがわかるというの? 孤独だからさ

アンパンマンじゃない。君が寂しいんだね。

さみしい人にはさみしさがよく見える。だから、この歌集もハッピーな気分のときに見ても、多分ピンとこないだろう。たとえ、状況はハッピーでも、心のどこかに孤独を飼い慣らした人なら、きっと響く歌集だと思う。泣き虫野郎の気持ちが。

枡野さんはこの歌集の短歌を、歌のテキストだけで、このnoteでもお安く販売されていたのだが、チラッとみた杉田協士さんの写真が素敵だったので、少々お高くつくが、Amazonでポチる方を選択した。読んでみて、眺めてみて、やはり正解だったと思う。すごく合う。

ということで、さみしさを飼い慣らしている人は、是非、お手にとってみてはいかがかしら。

寒くなってきたし、人肌恋しい季節だし。
今だと思うんだよね(笑)

(了)

(追記)
なお、本文太字の短歌は、ご紹介した『歌 ロングロングショートソングロング』の中から枡野氏の短歌を勝手に載せております(このレビューのタイトルと、本文中の同歌だけ、私の作ですが…)。もし不都合がおありでしたら、申し訳ありませんが、ご一報下さい。

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かねきょ(漫画・イラスト)
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