気のせいではない
真夏の夜の怖い話…。
「気のせい?」
「疑ったら悪いかな?」
「痒いのは気のせい? それとも蚊に刺されているのか? と分からないでバイクに乗ってます」というような話を先日twitterで呟いたんだけども、まぁ運転中で確認ができないし、実際刺されていたからと言ってその場でどうにもできないので、気のせいで通す事が多い。
痴漢を「減るもんじゃなし、虫に刺されたくらいに思って気にするな」という言い方をする人が居なくもない。虫に刺されたら気になるし、見つけたら潰すけれども、それと痴漢はやっぱり違うと思う。だってそれは虫じゃない。人だもの。そんな言い方するなら虫同様、潰すよ?
昔、サントリーのザ・カクテルバーというアルコール飲料のCMで、夜道を歩く女の人の何メートルか後ろをおそらく家が同じ方向なのだろう、永瀬正敏さんが歩いていると、突然その女性が走り出すというものがあった。その後帰宅後と思しき永瀬正敏さんが「愛だろ、愛」と言いながらそのアルコール飲料をグビッと飲むシーンが映し出される。古いCMなので知らない人も多いと思う。
それを見て、無闇矢鱈に人を疑うのは失礼だけど、この場合は仕方ない、と私はCMを見て思った。
何故なら上記のような事が実際にあるからだ。
漫画に描いた、電車の中の痴漢野郎と後半の徒歩で帰宅中のストーカー野郎は別の奴だけど、どっちも本当にいる。この世に存在する。
後半のストーカー野郎は1ヶ月半くらい、ほぼ毎日ついてきてたから、家が同じ方向なのかな? 面識ないけど、面識ない近所の人だって結構いるから…と半分疑いつつ、半分気のせいか?と思いながらやや早足で、時にはわざとこちらを抜かすように遅足で、最後はいつもまくように帰宅していたが、最終的には上記のように抱きつかれてしまう事になるので、気のせいじゃなかった、という事になる。
まぁそいつはアホだったので、ズボンのチャックなんかをガチャガチャ始めて手が離れた隙にこちらは逃げる事ができたので、何ともなかったのだが、流石に翌日からは怖いのでどうやって帰宅しよう…(時間帯は夕方だ)と思って兄に相談したら、翌日からは駅で待ち合わせて一緒に帰ってくれる事になって、しばらくしたら現れなくなった。
ただ、いずれの時も、こっちは全く声が出ない。出なかった……というのがとても今となっては悔やまれる。
同じ人間だからこそ恨む。蚊なんか恨まないよ。あの子達は生きるためにやってる事だし、人間のルールなんて知ったこっちゃないだろうし。
女の子がその子自身が本来好きな、可愛らしいお気に入りの格好をすると、痴漢や変態に遭うからと、わざと地味な格好をしたり、ボーイッシュな格好をしたりする場合がある。でもそれでは解決した事にはならない。誰もが公序良俗に反しない範囲で好きな格好をする権利がある。それは自由な筈である。そこを曲げずに伸び伸びと暮らせてはじめて人間らしい生活と言えるのでは?
ちなみに。
露出は少なかろうが、ボーイッシュだろうが、ジーンズだろうが、痴漢に遭う人は遭うから、関係ないと思う。そして遭ってしまうのはその人のせいではない。
多くの善良な男性には申し訳ないが、女性が、女の子が、警戒したり疑ってかかるようなそぶりを見せたりしていても、それを許してほしい。笑わないでほしい。
気のせいじゃない事がいっぱいあるのだから。
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