ちょっと怖い話
この夏、我が家に起こったちょっと怖い話をしますね。
もうここ数年、私は月1位(時には隔週位)で実家に帰っているのですが、それは足の無い実家の人たちの病院の送迎とか、買い物とかのためで、その時、母は色々くれるのです。親心なのでしょう。買い物の時など、欲しいものをカゴに一緒に入れるよう言ってくれるのです。そういう時は、いつも買うようなものを2、3個買ってもらったりしています。
と、同時に母は自分がいらなくなったものもよくくれます。
「この前買ってみたアゴだしの粉末だけど、お父さんが好きじゃないっていうから持ってってくれない?一度しか使ってないの」
「う、うん。分かった……」
パッケージは捨てちゃったみたいで、粉だけをドーンとタッパーに移し替えたものをそのままくれたので、私もそのまま持って帰りました。
見ると、粉末の出汁。試しにお味噌汁に入れたけど、溶けずにそのままザラっと底に全部残ってる……。
(使い方違うんかな?溶けないな)
自分で買って使ってる顆粒のダシもまだ大量に残っていた私はそちらを主に使って、貰ったアゴだしはそのままシンク上の戸棚にタッパーの蓋をして、しまったままにしてしまいました。
それから1、2ヶ月経ち、自分で買ったダシも無くなったので、たまには使わねばと思って、汁物だと溶けないで粉末が残るのが嫌だったので、チャーハンに入れようとタッパーを開けてみたら……
てかこのタッパーがね、そもそも蓋が割れてて(多分わざと要らない容器でくれてるのだと思う。返却しないでいいよ、という意味で)、シンク上の戸棚を開けるたびにすごいダシの匂いがするので、このままはあまりよくないなー、もっと密閉度の高い容器に入れ替えないとな……とは思っていたのです。
前に、こんなことを聞いた事があったから。
ダシ入りのお好み焼き粉、あれ、ダシの匂いに誘われてダニとかの虫が入るから、開封したら密閉袋などに入れ替えて冷蔵庫にしまいましょう、と。
うん、テレビで見た。
か、確認しよう、そうしよう。
薄茶色い粉だね。うん、いい匂い。
だがしかし、
よく目を凝らすと、
うじゃうじゃと蠢く薄茶色いものが
おそらく何百万匹といるだろうその粉の中から、私は、冷静に、軽量スプーンを兼ねた小さじを親指と人差し指でつまんで取り出し、流しへ置き、そっと蓋を閉じて生ごみを捨てるところにそのままインしました。
この暑い夏を経て爆発的に増殖したんだろうな、それは。美味しい美味しいアゴ出汁の粉の中で。
涼しくなりました?
昨日生ゴミの日だったから、さよならできましたよ。
え?他の場所にももしかしたらそこから漏れ出しているかもしれないって?
いるかもしれませんねぇ……。
そのうち確認しますよ。そのうちね。一応近隣は拭き掃除しましたよ。何も居なかったようでしたが……拭いたウェットティッシュを広げて見た程度の確認なので、ちゃんと、とは言えませんが。そのうちね。そのうちやりますよ。
皆様、粉末出汁にはお気をつけて。
それから。
お母さん、ごめんなさい。
多分この文章読まないと思うけど。訊かれない限り、この話もしないと思うけど(優しさ)。
ありがとうございますサポートくださると喜んで次の作品を頑張ります!多分。