僕の起業体験④「初めて人を雇った日」
1995年、広告会社を退職し、フリーランスとして個人事業を開業した。阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件で幕開けしたあの年だ。
暮れにWindows95が発売され、空前のパソコンブームが起こる。
友人のオフィスに居候し、机と椅子、Macのパソコン1台買って、広告代理店からの下請けで、企画書制作やコピーライティングの業務を開始。
1999年、顧客からの要請で法人化する。折しも時代は「ITバブル」。IT企業という謎の受皿があるだけで仕事の案件や出資、投資などがどんどん集まる社会状況・・・ホームページ制作の案件も増え、外注費がかさんだことから、2年目の決算を見て、税理士と相談し、初めて社員を雇うことにした。
ハローワークと求人誌で、男子2名の正社員と、女性のパートさんを採用。あ、その前に、本庄駅徒歩圏に小さな事務所を借りて。
ところが、その年に、ITバブルが崩壊。給料が払えなくなり、2名の正社員を解雇してしまった。翌年には仕事も戻ってきたが、外注さんのラインも切れてしまい、社員が定着せず、採用できずの暗黒期に突入する。その後、数年間は、仕事を安定的に請け負うのが難しい状況が続いてしまう・・・
これが僕の経営の黒歴史だ。
失敗から学んだ教訓
①仕事が忙しいから社員を採用するというのは間違い
→暇になったらリストラするという、僕のようなブラック経営者になってしまう。
②事業計画に従って、淡々と採用するのが正しい
→自社が目指すところを明確にして、仕事量に関わらず、人材を定期的に増やしていく。当社もここ5年、ようやく定期採用をするようになって、人も受注状況も安定してきた。
③人を雇うべきビジネスなのかを問おう
経営者は人を採用し、人に働いてもらってナンボの仕事。とはいえ、世の中の多くの経営者は個人経営で、人を雇ってはいないのも事実。自社が目指すビジネスが、果たして人を採用して、人に動いてもらうのに適したものなのかどうか、その前提から検討が必要だと思う。