僕の起業体験③「狭き門より入れ」

「狭き門より入れ。滅びに至る門は大きくその路は広く、これより入る者多し。いのちに至る門は狭く、その路は細く、これを見出す者なし」

新約聖書(マタイ伝)の有名な言葉です。

ふと思い出して、これこそWebマーケティングの原点そのものだと気づいたのです。

こう言い換えてみましょう。

「狭き市場より入れ。滅びに至る市場は大きくその路は広く、これより入る者多し。存続に至る市場は狭く、その路は細く、これを見出す者なし」

会社を存続させたいなら、自社にしかできない独自の市場を探し、その細い道をひたすら突き進め、と。

当社は設立して間もなく、ある大学内のインキュベーション施設に入っていました。発達障害児向けのEラーニング開発という、未踏の市場を開拓していたのですが、結局、4年間で製品化できたのはひとつだけ。資金が底をついて、事業撤退を余儀なくされました。

もうひとつの主力事業が、ホームページ制作でした。今でこそどこにでもある商売ですが、2000年前後、しかも埼玉県の人口5万の小さな街では、まさに前人未到のビジネス。市内に競合先こそありませんでしたが、ニーズもほとんどなく、何をやっても仕事が受注できませんでした。

まさに「狭き門」を痛切に感じる日々でした。

そんな苦悩を重ねながら、お陰様で、今、地域の中ではナンバーワンの存在になっています。

ナンバーワンにはいろんなメリットがあることがわかりました。地域の象徴的な仕事が受注できたり、人材が集まりやすい。何より、価格決定権が持てます。追随する側は価格を落として入り込むので、価格決定力は弱いです。

狭き門から入るのは苦難でしかありませんが、皆んなそこを通って事業を存続、発展させているのだと思います。

こんな体験から、僕は、新しいビジネスを始める際、「何を売るか」よりも、「誰に売るか」から考えるようにしています。狭き門(特殊な客層の特殊なニーズ)が見つかった時には、心からガッツポーズを取ります。



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