僕の起業体験⑥「最初から小さな成功をする(アーリー スモール サクセス)」

創業の際は、できるだけ早い段階で「小さな成功」を収めておくことが肝心です。ビギナーズラックという言葉がありますが、偶然ではなく、最初からそれを狙っていくことが大切だというお話です。

アーリー スモール サクセスとは?

菅首相は「携帯電話料金の値下げ」「デジタル庁の設立」「縦割り110番」など、就任早々、具体的な政策を打ち立てました。ブレーンの一人といわれる竹中平蔵氏は、テレビ番組でそれを評して「アーリー スモール サクセスが重要だ」とコメントしました。

アーリー スモール サクセスとは「早い段階での小さな成功」の意味。新規事業の開始、お店の出店、新サービスの導入など、新しいことをスタートする場合、最初の段階で、どんな些細なことでもいいから、成功を打ち出すことが肝心だということです。これは、新入社員の教育などにも該当します。

スモールサクセスはひとつではなく、次々と起こしていけばさらに効果的。小さな花火を連発しながら、やがてクライマックスで「大きなサクセス」につながるような流れができればベストです。

以降は、僕のつたない経験談となります。一例としてお読みいただければうれしいです。

創業時代のスモール サクセス

創業の話はこちらでも書きましたが、誰もが知っている国立大学(東大の次かその次あたり)の教授から、原稿リライトの仕事を請け負ったのが原点でした。ビギナーズラックというより、そのラックがあったから創業したようなものです。

スモールサクセスは続きました。その大学の関連事業で、創業したその年に、ある中央官庁の仕事を受注しました。もちろん、間にシンクタンク企業が入って、その下請けとなったわけですが、それでも〇〇〇〇省の仕事を、創業初年の会社が請け負うというのは例外中の例外だったそうです。

それから、ご縁があり、〇〇〇〇省さんの仕事を連続していくつもお請けするようになり、気づいたら、直請けの実績もできました。

大学からも大きな仕事が入ってきました。チャットボットの開発、教科書のデジタル化、インターネットの授業配信など・・・今でこそ一般的な技術ですが、2000年頃ですから、試行錯誤、手探りもいいところでした。

会社は火の車、それでも・・・

順風満帆なサクセスストーリーだと思われるかもしれませんが、その頃、会社は慢性的な資金不足。自転車操業、いわゆる火の車状態でした。メインの仕事は利幅のない下請け中心。大学など、一部の直請けラインは、試行錯誤で赤字案件ばかり。その上、自社商品の開発まで手掛けていましたから、今思うと、やっていけたのが不思議でしかないです。

仕事は上から下に流れる

それでも、会社が継続したのは、創業期にやった大きな仕事が実績となり、信用を積み重ねたからだと思っています。偶然か意図した結果か、アーリー スモール サクセスが連発した、あのビッグバンのお陰で、僕は今の会社があると思っています。もちろん、それを支えてくれた制作スタッフ、万年金欠病の中、骨を折ってくれた営業スタッフの存在を忘れていません。感謝しかありません。

水は上から下に流れる・・・創業期の僕は、どんな赤字になっても、どんな無理をしても、どんな手を使っても、大きな仕事をしたいと思っていました。貪欲でした。最初に有名な仕事をしておけば、それが看板になって、横に広がっていく。結果的には、シャワー効果で、大小いろんな仕事が請け負えるようになると信じていました。

実際、その通りになったのではないかと振り返っています。



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