freeeで青色申告をする場合のチェックポイント10選
こんにちは、税理士の金子尚弘です。
フリーランスの方でfreeeを使って確定申告をしているという方も多いと思います。
正しく使いこなせば非常に便利なんですが、
「出来ているつもりだけど、間違った数字になっていた」
という方を何人も見て来ました。
数字を間違えることで
・余計な税金を支払っていた
・本来よりも税金が少なくなり、税務署から問い合わせが来る
なんてことが起きたりします。
年に一度まとめて税理士に依頼、というフリーランスの方もいると思いますが、自分で数字を管理できれば経営感覚も身に付きますし、良いことも沢山あるんですよね。
日々の取引管理をどうすれば良いかはこちらのnoteを参考にして頂くとして、ここでは1年間の取引登録が終わった時に確認すべきポイントをご紹介します。
日々の経理を正しく行うことが基本ですが、チェックすると「意外なミス」が見付かったりするものです。
これは税理士などのプロも同じで、必ず最後にはしっかりチェックしています。
・プロがどういう目線でチェックしているのか
・最低限チェックすべきポイントはどこか
をご紹介します。
税理士は何をチェックしているのか?
税理士がお客様の決算書の数字をチェックする時に、何をチェックしているのかご説明します。
大原則として「各科目が正しい残高になっているか」を確認していますし、これが正しければOKということになります。
具体的には
預金通帳や残高証明書の金額とfreeeの預金口座の残高が一致しているか
未入金の請求書の合計額がfreeeの売掛金の残高を一致しているか
といった感じです。
つまり、確認すべき資料で正しい残高を把握して、freeeがその金額と一致しているかをチェックしている、ということです。
freeeの画面だけを見ても、それが正しいかどうかは分からないってことなんです。
何と何の金額が一致すべきなのか、ここを意識するだけでチェックのレベルがかなり上がると思います。
科目ごとのチェックポイント
◆現金
【ポイント】レジの金額と一致しているか?
飲食店や小売店など、店舗を経営してレジがある方の場合はレジの現金とfreeeの現金が一致している必要があります。
12月最後の営業日でレジ締めをして、レジの金額をメモしておきましょう。その金額がfreeeの現金の金額と一致していればOKです。
また、エアレジなどのレジシステムと連携している場合には、レジシステムの残高と一致しているかも確認してください。同期のエラーなどで実際の残高とズレていると正しい確定申告ができないからです。
たまに現金の金額がマイナスになっている決算書を見ることがありますが・・・これは絶対に間違っているのでこの場合は訂正が必要です。
◇チェック方法
レポートの試算表から、freeeに登録した金額と、実際のレジ金や金庫の残高と一致しているかを確認します。
◆普通預金
【ポイント】通帳の残高と一致しているか?
普通預金は、通帳の残高と一致しているかを確認します。ネットバンクの入出金明細や紙の通帳を確認して、freeeの残高と一致しているか確認しましょう。
freeeと同期していても、登録内容を間違えると残高がズレてしまう場合があるので、きちんと確認してください。
◇チェック方法
現金の動画でご説明したように、貸借対照表を表示して頂き、預金口座の期末残高が通帳や入出金明細の12月末の残高と一致しているかを確認してください。
◆売掛金
【ポイント】未入金の請求書と一致しているか?
売掛金とは、請求をしているけど12月31日時点では未入金になっているもののことです。
確定申告では、未入金であっても12月中に完了した仕事であれば、その年の売上に含めなければいけません。
そのため、12月31日時点で未入金になっている金額を正しく把握してfreeeの残高と一致しているかを確認する必要があります。
◇チェック方法
【クレジットカードなどの売上がある場合】
クレジットカード等の決済の場合、売上が発生してから実際の入金まで数日〜数週間かかります。
そのため、12月末までに発生した売上で、未入金になっているものも売掛金に該当します。
クレジットカード等に対応している場合、決済システムで売掛金の残高を確認することができますので、freeeの残高を一致しているか確認しておきましょう。
◆未払金
【ポイント】クレジットカードの明細と一致しているか?
クレジットカードは12月に利用したものでも1月以降の引き落としになるため、「未払金」として処理されています。
「freeeと同期しているから大丈夫でしょ?」と思われる方もいると思いますが・・・そうとも限りません。
・購入後のキャンセル
・キャッシュレス還元制度の還元額(2020年のみですが)
などが原因で実際の残高とズレることはあります。
◇チェック方法
まず、クレジットカードの利用明細の1月引き落とし分を準備します。
多くの場合、末日で綺麗に区切られている訳ではなく、12月~1月にかけての利用分が引き落としになります。
ただ、その年の確定申告に含めることができるのは12月31日までの利用分ですので、12月までの金額を集計します。
この場合は30,390円が正しい残高ということになります。
◇チェック方法
レポート→試算表と進み、貸借対照表を選択すると同期しているカード口座が出て来ます。
その12月期末の欄の金額がカード明細の集計と一致していれば正しいということになります。
なお、ここでは「freeeVISAカード」となっていますが、同期しているカードによって表記が変わります。
◆借入をしている場合、借入金の残高は正しいか
銀行などから借入がある場合は、借入金の残高を確認する必要があります。
よくあるミスとして、引き落とされている金額を全て借入金の返済として処理している、というものがあります。
基本的には毎月の引き落としには利息が含まれているので、全て借入金の返済として処理をすると残高がズレてしまいます。
◇チェック方法
銀行などから借入をしている場合、返済予定表が届いていると思います。
返済予定表の12月末の残高と、試算表の長期借入金の残高が一致しているかを確認します。
レポート→試算表と進み、貸借対照表を選択して、長期借入金の残高を確認します。(現金の動画で貸借対照表の表示方法を説明しています)
12月期末の残高が、借入の返済予定表の12月末の残高と一致していればOKです。
◆毎月発生する経費が正しく登録されているか?
スタンダードプラン以上だと「月次推移表」の機能が使えるのですが、今回はミニマムプランの方でも確認できる「損益レポート」を使って確認する方法を紹介します。
毎月発生する経費は「品目」を使って管理した方が良いというのは前回のnoteでもご説明した通りです。
そのため、毎月定期的に発生する費用には品目が付いている前提で説明します。
このように
・毎月定額のものは同じ金額が入っているか
・金額が変わるものも異常値になっていないか
はきちんと確認しておきましょう。
◆家事按分は実施されているか?
仕事でもプライベートでも使うものは、仕事で使う割合だけが経費になります。
例えば、自宅兼事務所で事務所の割合が30%であれば家賃の30%が経費になる、ということです。
この処理が正しく行われているかをチェックしましょう。
①家事按分のメニューを開く
「確定申告」のタブから「家事按分」をクリックします。
②家事按分の一覧から正しく登録されているか確認する
次に、このような画面が表示されますので、仕事とプライベート共用のものが正しく登録されているかを確認します。
freeeではこのような画面になっていますので、事業割合などが問題ないか確認しておきましょう。
◆売上
【ポイント】売上の源泉徴収は正しく処理されているか?
カメラマンやデザイナーなどの仕事は、売上に源泉徴収が発生します。
このような場合、源泉徴収が必要な売上に対して、正しい金額が源泉徴収されているかを確認する必要があります。
例えば、源泉徴収の対象になる売上が税込2,200,000円だとします。その場合、源泉徴収の割合は税抜金額に対して10.21%なので、204,200円になるはずです。
そのため、試算表の売上高(品目「源泉対象売上」)と事業主貸(品目「源泉所得税」)の金額がその割合になていればOKということになります。
(細かな金額で請求している場合は、四捨五入の関係でピッタリにならない場合もあります)
◆事業主借
【ポイント】預金の利息は「事業主借」で処理されているか?
個人事業主の場合、預金の利息は利子所得という区分になり、事業の収入には含まれません。
雑収入などではなく、きちんと「事業主借」になっているか確認しましょう。
◆年金や健康保険は「事業主貸」で処理されているか?
国民年金保険料や国民健康保険料は仕事上の経費ではなく、「社会保険料控除」という項目になります。
これは、freeeの会計では事業主貸として処理をして、確定申告書を作る際に登録するものになります。
そのため、freeeで経費として登録するのはNGです。
◆まとめ
細かなチェックポイントは他にも挙げればキリはありませんが、最低限チェックして頂きたいポイントをまとめてみました。
過去に何人もフリーランスの方の相談に乗らせ頂いていますが、これらは実際に間違いが発生しているポイントでもあります。
確定申告書を提出する前に、確認してみてください。
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