見出し画像

道の駅を通じて目指したい風景

 長野県佐久市にある道の駅ほっとぱーく浅科で2020年4月からポンコツ駅長している金子です。凍み豆腐作ったり、駅長して生きてます。


なんで道の駅を運営しているんだっけ?

 2016年に移住して2年目が終わろうとしてた頃、冬の伝統産業である凍み豆腐の継承を決意して創業。…したは良いものの、さて春~秋は何しようかとブラブラしていたら売上が右肩下がりだった道の駅の売店の椅子が空くことを聞き、2020年から駅長の座に着きました。
 2019年の時点では、あれやこれやをしっかりやれば売り上げも上向くはず、と考えていましたが、ちょうど運良くコロナ禍にぶち当たってしまい、当初の計画と資金は流れ流れて藁をも掴みつつ、自問自答しながら運営をしてきました。
 ようやくコロナ禍も落ち着き、2023年4月から副店長を迎え入れたことを契機に、改めて道の駅ってなんだっけ?何のために道の駅を運営してるんだっけ?ってのを言語化し整理したので、それをお伝えしたく筆を執りました。

何のために言語化・整理するか

①チームが同じ方向を向いて進んでいくため 

 これが最も大きい理由です。道の駅売店は年末年始を除き無休で営業していますが、今までは私+パートさんで運営しており、細かい確認も私が行いつつマンパワーで乗り切ってきました。ですが、4月から新たに迎えた副店長やパートさんが私が不在でも同じ方向に進んでいけるように、かつ私にはない強みを活かせるような組織にして、今までより良い道の駅にするためです。

②作り手や買い手や地域の人たちに伝えるため

 税金で建てた建物を私たちがどう運営して、どう地域や未来に還元していくか。公共サービスが行き渡らずに生きづらさを感じている人たちに対して、何が出来るのか。
 私財を投じて五郎兵衛新田を開拓した市川五郎兵衛さんや凍み豆腐を500年作り続けてきた方たちに比べれば、まだまだ私たちが出来ることは小さいのですが、税金で建てられた建物だからこそ、私たちが道の駅を運営していく中で目指す風景を整理して、作り手である生産者さん、買い手であるお客さん、将来を担う子どもたちに「何のために運営しているのか」を知ってもらう必要があるのではないかと考えています。

参考にした書籍

 じゃあ、どう整理しましょうかと考えていたところで、主に2冊の書籍を参考に整理していきました。
「中川政七商店が18人の学生と挑んだ「志」ある商売のはじめかた」
 大学生が新しいお店をオープンするときに実際に学びながら実践もしていく過程も記述されていて非常に面白く、ゼロからお店を作るって時に考えなきゃいけないこと的な視点から非常に面白く参考にさせていただいてます!

理念経営2.0
 ビジョンやミッションなどについて、丁寧に言語化されていて、ぼんやりとしか知らなった各ことばの定義や使い方が整理されていて、こちらも大変勉強になりました!本って面白い。

現在と未来 ビジョン等をジャジャーン

 上記2冊を参考に、ビジョンやミッションを定めました!ちょっとネタバレもしてしまうので、上記2冊を邪念なく読みたい方は先に書籍を読んでから下記を見ていただいた方が良いかもしれません。
 ここでは「理念経営2.0」に記載されている問いに回答する形で記載したいと思います。

ビジョン  私たちは将来どんな景色を作り出したいか?

 作り手・売り手・買い手・子どもたちの4者が生きやすく生きている。
 
はるか昔に比べれば、生存することの難易度は下がりましたが、まだまだ生きづらさを感じながら生きている人がたくさんいます。道の駅は商いを行う公共施設でもあるため、しっかりと利益を作りつつ、多様化する社会において、お互いが生きやすいように生きるということを許容できる関係性を築いたり、生きやすいように生きるための生業を応援する場を作れたらと思い描いています。もちろん4者が生きやすく生きている地域を作ることは、売り手の私たちだけでは不可能なので、関係する4者の力も借りつつ、少しずつ近づけていきたいなと思っています。そういう意味では売り手である会社のビジョンというより、道の駅に関わる4者のスローガン的な位置づけなのかもしれません。

ミッション  私たちは何のために存在しているのか?

4者にとってより良いお店のあり方を模索し続ける。
 
例えば30個リンゴが入った箱の中の1個が傷んでいたから全部返品したい。その特定の買い手にとっての当たり前なのかも知れないけど、売り手や作り手にとってはどうだろう?
 化石燃料で発電した電気は安いかもしれないけど、温暖化が進んだら地域の農産物の作り手や買い手にとってはどうだろう?
 丁寧にコミュニケーションを取りながら、4者にとってより良いお店のあり方を模索し続けます。

4者の生き方・関係性を伝える。
 
美味しい白菜を作ってる農家さんの声や生き方ってこんな感じだよ。でもスマホ使えないよ。でも字がめちゃくちゃ上手だよ。って、得意と苦手が混在している人間らしさをSNSや店頭で少しでも伝えられたらと思います。
 そして、そんなことを考えて運営している売り手と生産者さんの関係ってこんな感じだよ。お客さんとはこんな感じで話してるよ。子どもたちとはこんな関係だよってのも伝えていきたいです。
 なぜなら、みんな変だし、みんな普通だから。自分の変や普通を他人に押し付けず、許容しあって生きていけたら良いのにと願いを込めつつ。

バリュー   私たちがこだわりたいことはなにか?

何のためか今一度問う。
 
その包装って何のためにあるんだっけ?本当に4者のためになっているんだっけ?その作業は本当に必要?
 誰も必要としていないならやめて、必要とされることに注力しよう。楽しめる時間を、遊べる時間を増やそう。習慣や慣習ってラクだし良いこともあるんだけど、ふとした時に今一度考えてみよう。

楽しく素直に、お互いさまでいこう。
 
楽しくて飲み過ぎちゃった翌日はレジ打ち仕事以外はちょっとお休み。子どもが学校に行きたくない時は一緒に出勤してみたり。でも農家さんが一生懸命作ったお米をお客さんが1000円で買ってくれたら、その内の200円を道の駅が貰う。その200円分の働きとしてこんなことやりましたって農家さんやお客さんに素直に言えるようにやろう。たとえSNSで発信できないようなことでも面と向かって、その人との関係性の中で、素直に話せる人間であろう。それは一緒に働くスタッフに対してでも、子どもたちに対してでも、お客さんに対してでも、同じこと。自分や他人へのハードルを上げ過ぎず、ダメだったり苦手な部分は素直に話して、得意な部分で頑張ろう。

イラスト Atsuko Kumamoto作

こんなかたちでビジョン・ミッション・バリューを確認しながら、初めてお店に来る人にも伝えたいお店のコンセプトも考えました。詳しくはこちらをご覧ください!


いいなと思ったら応援しよう!