10年10万kmストーリー 第77回 トヨタ・セリカクーペGT-R(1984年型) 15年29万3000km
調べてみると、セリカという名前を持ったクルマが造られなくなって15年以上が経っている。
セリカは時代によって、さまざまに姿を変えてきた。7代36年間の歴代モデルの中には、バリエーションもいろいろある。メカニズムも変わった。XXやスープラなど、派生や転生も多い。だから、どのセリカに親しみを抱くのか、人によって違ってくる。筆者の場合は、初代の(ダルマ)セリカやリフトバック以上に憧れていたのは、2代目である。曲線と曲面が多用されたボディは当時の他のどのクルマにも似ておらず、子供心にもその個性の強さに驚かされたものだった。
だから、3代目セリカが一転して2代目とは対照的な直線と平面主体のカクカクとしたボディスタイルで登場してきた時にはちょっとガッカリさせられたのを憶えている。
その3代目セリカのクーペに15年29万3000km乗り続けている人に会った。30万km近くも乗り続けているのにまず驚かされたが、事前のメールのやり取りで、このセリカクーペは彼にとって3台目のセリカだと知らされて、さらに驚かされた。
いったい、どんな人なのだろうか?
白いセリカクーペは、すでに待ち合わせ場所に停まっていた。近付きながら手を挙げて挨拶すると、運転席に座っていたオーナーさんは気が付いて降りてきてくれた。
3代目セリカに対面するのは実に久しぶりだった。強目の角度が付いた3ボックススタイルで、ルーフの小さなクーペスタイルが現代ではとても新鮮に見える。
リトラクタブルヘッドライトも独特で、左右のヘッドライトとウインカー、その間のフロントグリル部分が同じ高さに揃えられている。上部には細いストライプが配され、下部はグリルの桟と同じ幅に揃えられた凹凸がヘッドライトのカバーに施されている。凝った装飾だ。
たしか、このデザインはマイナーチェンジが施されたもので、前のものはヘッドライトユニットが上に向いて露出していて、それが起き上がって前方を照らすようになっていた。そして、グリルもヘッドライトの上下幅よりも細く、フロント全体が“凹”のカタチに見えていた。
このセリカには太めのタイヤや純正っぽく見えないリアウイングなど、あまり詳しくない僕が見ても眼に付くところがある。1984年型だと聞いているから、造られてからもう38年以上が経過している。
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