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先週行われていた「モントレー・カー・ウィーク 2024」の動画いろいろ

 先週行われていたアメリカのペブルビーチ・コンクールデレガンスのさまざまな動画がYouTubeにアップされています。

 主催者によるものが決定版ですが、5時間近いのと4k画質でないのが玉に瑕ですね。

 コンクールデレガンスというのはクラシックカーの優美さを競う品評会です。クルマ自体の珍しさやオリジナル性の保持、レストア具合などが評価されて順位が決まります。

 普段は名門ゴルフコースである芝生の上に並べられていたブルーのボディのロールス・ロイス ファンタムⅢ(1938年)に惹かれました。ジェイムズ・ヤングというコーチビルダーによる2ドア5人乗りボディが架装されていますが、なんとドアが後方にスライドして開くのです。スライドドアは日本のミニバンの専売特許ではありませんでした。どんな発注者が、どんな発想からジェイムズ・ヤングに依頼して、どんなビスポークを経て造り上げられたのでしょうか?
 特に戦前の高級車は、1台ずつボディが誂えられていましたから、クルマそのものと一緒に最初の持ち主の意向を想像するという大きな楽しみがあります。そのことは、『クラシックカー屋一代記 涌井清春』に詳しく書きました。

 コンクールデレガンスは日本でも行われることがありますが、ペブルビーチは1950年に第1回が開催され、今年で第73回を数える歴史を持っています。エロール・ガーナーの「コンサート・バイ・ザ・シー」がライブ録音されたり、クリント・イーストウッドが市長を務めていたことでも有名なカーメルの街の近くです。

 コンクールデレガンスと同じ週に近くのラグナセカ・サーキットではクラシックカーのレースも行われ、併せて「モントレー・カー・ウィーク」と称されています。

 ペブルビーチに限ったことではありませんが、最近の欧米のコンクールデレガンスやイベントなどでは対象とする範囲が少しずつ広がってきているようです。

 次の動画は公式のものではありませんが、ウエッジシェイプのプロトタイプとコンセプトカーが集められた「V-1」クラスをまとめています。1970年のフェラーリ「モデューロ」を始め、中には60年代や50年代のプロトタイプやコンセプトカー20台が紹介されています。

 いわゆる“名車”と呼ばれるようなクルマは、優れた性能や歴史を革新したメカニズム、美しいスタイリングなどがマーケットやファンたちから高く評価されています。しかし、プロトタイプやコンセプトカーなどは、生まれながらにして役割が違います。そうした宿命を抱いたクルマにも光を与えるようになったのには後援する自動車メーカーの思惑も含まれているのかもしれませんが、良い傾向だと思います。

 メルセデスベンツのC111タイプ2は写真でしか見たことがありませんでしたが、このイベントで動いているところを初めて眼にすることができました。

 モントレー・カー・ウィークには1987年と2009年に行ったことがあります。今年の動画を見ると、規模も内容もさらに大きく拡大されたようです。1987年にはラグナセカのレースは開催されていましたが、自動車メーカーや関連企業などの協賛などはほとんどありませんでした。イベントのために設営されたブースなども少なく、全体的に地味で、人も少なかったです。

2009年の「ベスト・オブ・ショー」を獲得した瞬間のホルヒ853(1937年)ヴォル&ル-ベック・スポーツカブリオレ。タイトル画像のクルマです。

 愛好家たちが集まって楽しみを分かち合う感じだったのが、クラシックカー自体が脚光を浴びるようになり、自動車メーカーを先頭にしてその魅力を広め、価値を受け取る絶好の機会として盛り上げられています。2009年では、ベントレーが協賛スポンサーとなっていて、新型ミュルザンヌをコンクールの場で発表していました。

新型ミュルザンヌを紹介するのは、当時カリフォルニア州知事だったアーノルド・シュワルツネッガーと人気司会者のジェイ・レノ

 すでに2009年でも夜のオークションは盛況でしたし、今年はポピュラーやクラシック音楽のコンサートまで開かれているようです。

競りに掛けられているのは、ファセルヴェガ FV28コンバーチブル

会場の外を走って戻ってくる“ツアー”も行われています。そのスタート前に止まって並んでいるクルマを端から紹介していく次の動画もうまくまとめられていますね。

 他にもたくさんの動画が上がってきますので、ぜひ好みに合ったものを見付けてお楽しみください。

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金子浩久書店
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