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【一級建築士】えぇ!?告示も出題されるの!?建築法規に出題される告示を予想してみた【令和6年度】

割引あり

こんにちは、かねっつです。

ココナラでは、一級建築士設計製図の添削を始めました!

本日もnoteをご覧いただきありがとうございます!

令和5年3月1日に、一級建築士(二級、木造建築士)の試験内容が発表されました。

「今年も例年通りの試験要領だよね〜…ん?えぇ!?こ、こ、告示!!??

▲試験案内から抜粋。ご丁寧に太字で告示も含まれるという圧力が…。

ついに学科試験にも、実務に直結した知識を得ているか試されるようになりました。もはや、建築学生を落としに来ているようなものでは…?
資格学校によっては、「告示は試験に出ないから学習しなくていいよ」と連絡があるところもあり、資格学校側からしても、この試験元の発表は、正にサプライズだったと思います。

今回は、現役で意匠設計事務所で働いており、かつ2級建築士の建築法規短期講師の私から、どんな告示が試験に出やすいか予想してみました。
記事の最後には、告示問題を含んだオリジナルの建築法規問題を販売しております。詳細は後ほどご紹介します。

※この無料記事を読み終えるのに、約27分かかります。


■ズバリ予想する、出題されやすい告示

私の実務経験を基に、試験に出題しやすい告示を挙げてみます。

  • 準耐火構造の構造方法を定める件【告示1358号】

  • 不燃(準不燃、難燃)材料を定める件【告示1402〜1400】

  • 特定防火設備の構造方法を定める件【告示1369号】

  • 火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件【告示1436号】

  • 建築基準法第27条第1項に規定する特殊建築物の主要構造部の構造方法等を定める件【告示255号】

  • 高力ボルトの基準張力、引張接合部の引張りの許容応力度及び材料強度の基準強度を定める件【告示2466号】

告示2466号の高力ボルトに関しては、平成29年の建築法規で出題されていました。ですがこれまでは、基準法や政令を読めば解ける問題ばかりでしたが、試験元がご丁寧に告示も含むと記載していることから、告示部分をある程度引けるようにしておかなければなりません。告示は技術的基準といって具体的な材料や数値、計算方法が詳細に記載されている内容が多いのですが、全てに線引きをするのは流石に無理です。まずは過去問やこの記事を参考にしてみて、「こういう告示があるんだ」を知っておくだけで結構です。具体的な試験対策などは、後述していますのでそちらを参考にしてください。

各告示の概要と例題を次にまとめます。

・準耐火構造の構造方法を定める件【告示1358号】

建築基準法で決められている【耐火建築物等にしなければならない建築物】について、外壁や床、柱などの主要構造部をどのように作らなければならないのかを定めている告示になります。近年では、令和3年6月7日に告示の一部を改正した動きもあります。災害大国の我が国では、必ず守らなければならない大切な技術的基準です。

この構造は、耐火構造>準耐火構造>防火構造と、規制が厳しいのは耐火構造ですが、私がなぜ耐火構造のほうではなく、準耐火構造の告示が出やすいと思うのか。
耐火構造の基準は「倒壊や延焼の防止」ですが、準耐火構造では「延焼の抑制」が基準となっています。つまり準耐火構造は、倒壊を防ぐ構造ではなく、あくまで延焼を抑える構造です。昨今、大規模木造建築物を普及しようと国や各自治体が力を入れていますが、その多くは、45分(或いは1時間)準耐火建築物です。耐火建築物にすると、主要構造部が最短でも1時間の火災に耐えうる構造としなければならず、その分コストがかかります。一方、準耐火建築物は、45分(或いは1時間)倒壊を防ぐための準耐火構造とすれば足りるため、大規模木造建築物の場合でも、耐火建築物に比べてコストを押さえられるメリットがあります。そういった建築業界も考慮すると、準耐火構造に関した問題が出やすいのではないかと個人的には思います。現に告示の制定も、準耐火構造の方が早い(平成12年5月24日)です。因みに耐火構造は、平成24年5月31日。そんなに変わらない…ですけどね。

具体的に定めている内容ですが、例えば『令107条の2に掲げる耐力壁である外壁』であれば『間柱及び下地を木材で造り〜…(一部省略) 厚さが12mm以上のせっこうボードの上に金属板を張ったもの』と定められています。つまり、準耐火建築物等の建築物あれば、「この主要構造部には、この下地とこの仕上げを使って、厚みは◯mm以上にしなさいね。」みたいな内容が書かれています。
ひとつ例題を出します。

例題1.次の問いの正誤を求めなさい。
令第107条の2第1号及び第2号に掲げる技術的基準に適合する床の構造方法においては、根太及び下地を木材又は鉄材で造り、かつ、厚さが12mm以上の合板等の上に厚さ6mm以上モルタル、コンクリート(軽量コンクリート及びシンダーコンクリートを含む。以下同じ。)又はせっこうを塗ったものとしなければならない。

答えは、×で誤りです。
令107条の2第1号及び第2号(45分準耐火建築物)に掲げる技術的基準に適合する床の構造方法は、根太及び下地を木材又は鉄材で造り、かつ、次に掲げる基準に適合する構造とすることとし、表側の部分に次の(1)から(4)までのいずれかに該当する防火被覆が設けられていることと定められています。設問は、(2)の技術的基準から抜粋されていますが、モルタルの厚みが9mmではなく6mmとなっているため基準を満たしていません。よって誤った内容となります。

このようにどの主要構造部が問われているのか?何の材料を使いその厚みが最低でもいくつ必要なのか?が出題しやすいです。技術的基準の内容が合っていても、対象の主要構造部が間違っている…というような出題の仕方も十分に考えられます。手順を踏まえて、ひとつずつ読み解いていきましょう。

【解くための手順】
1.耐火構造、準耐火構造、防火構造の、どれについて問われているか。
2.床、外壁、間仕切り壁など、どの主要構造部を指しているのか。
3.下地と仕上げの材料は何か、その厚みはいくつかを確認する。

・不燃(準不燃、難燃)材料を定める件【告示1402〜1400】

その名の通り、どういうものが建築基準法上の不燃(準不燃、難燃)材料に該当するのかが定められている告示です。実務では、室における内装仕上げで、告示上どの材料に該当するのかを確認するためにチェックします。確認申請の審査の際に、確認検査機関も確認することが多いようです。
まずは、例題を解いてみてください。

例題1.次の問いの正誤を求めなさい。
建築基準法第2条第9号の規定に定める不燃材料のうち、ロックウールは、建築基準法施行令第108条の2各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあっては、同条第1号及び第2号)に掲げる要件を満たしてい る建築材料である。

例題2.次の問いの正誤を求めなさい。
建築基準法施行令第1条第6号の規定に定める難燃材料のうち、難燃合板で厚さが5.5mm以上のものは、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後5分間建築基準法施行令第108条の2各号に掲げる要件を満たしている建築材料である。

答えは、いずれも○で正しい記述です。不燃材料は、材料のみが定められていることが多いですが、準不燃と難燃材料は、材質と厚みが定められています。

・特定防火設備の構造方法を定める件【告示1369号】

特定防火設備は、告示仕様のものと大臣認定仕様の2種類に分けられます。告示仕様で定めている特定防火設備の構造は、以下の通りです。

三 次のイからニまでのいずれかに該当する構造とすること。
 イ 骨組を鉄製とし、両面にそれぞれ厚さが0.5mm以上の鉄板を張った防火戸
 ロ 鉄製で鉄板の厚さが1.5mm以上の防火戸又は防火ダンパー
 ハ 鉄骨コンクリート製又は鉄筋コンクリート製で厚さが3.5cm以上の戸
 ニ 土蔵造で厚さが15cm以上の防火戸

過去の出題としては、用語の説明として特定防火設備の説明が正しいか出題されていました。この回答は、令112条第1項の文章内に書かれているので、チェックできるように対策しておきましょう。新規問題として、特定防火設備の構造方法を問われたら、告示1369号で確認をする…といった対策で十分です。

・火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件【告示1436号】

意匠設計事務所や確認検査機関は、この告示を排煙告示と呼称します。排煙設備が必要な建築物の説明は割愛しますが、一級建築士が設計できる『階数が 3 以上で延べ面積が500㎡を超える建築物』であれば排煙設備必須となります。しかし実際は、排煙設備を設置できない(もしくは設置したくない)建築物は少なくありません。その場合の緩和措置として、排煙告示1436号を適用して、排煙設備を設けないようにしましょうと定めたのが、この告示です。なので設計者としては、切っても切れないほどの関係深い告示です。

排煙告示1436号は第1号〜第4号まであります。試験で出題されるとしたら、第4号のニです。この第4号のニは建築物全体ではなく、室ごとの緩和措置について定められています。今回の記事は試験対策としての告示についてお伝えしたいので、第4号のニのみに触れていきます。より理解を深めたい方は、私が日頃からお世話になっているオススメのサイトを参考にしてみてください↓

告示1436号第4号のニは、(1)〜(4)に区分されています。それぞれは、対象となる建築物の部分によって排煙設備免除のための技術的基準が定められています。
ただ、共通している前提条件は、『高さ31m以下の建築物の部分(法別表第一(い)欄に掲げる用途に供 する特殊建築物の主たる用途に供する部分で、地階に存するものを除く。)』です。
告示内容は、以下の通りです。

高さ31m以下の建築物の部分(法別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物の主たる用途に供する部分で、地階に存するものを除く。)で、室(居室を除く。にあっては(1)又は(2)に、居室にあっては(3)又は(4) に該当するもの

上記の内容から読み取れるように、
・居室以外の室(廊下も含む)については(1)又は(2)を適用
・居室については(3)又は(4)を適用
ということになります。

1.告示1436号第4号のニ(1)

居室以外の技術的基準です。まずは内容のチェックから。

(一) 及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でし、かつ、屋外に面する開口部以外の開口部のうち、居室又は避難の用に供する部分に面するものに法第2条第9号の2ロに規定する防火設備で令第112条第14項第1号に規定する構造であるものを、それ以外のものに戸又は扉を、それぞれ設けたもの

①壁及び天井の仕上げは、準不燃材料
②避難するための主要な出入口は、防火設備
この2つを計画すれば、排煙設備は不要です。

2.告示1436号第4号のニ(2)

こちらも居室以外の技術的基準です。まずは内容のチェックから。

(二) 床面積が100㎡以下で、令第126条の2第1項に掲げる防煙壁により区画されたもの

①床面積が、100㎡以下
②防煙区画
上記の2つを満たしていれば、排煙設備は不要です。

3.告示1436号第4号のニ(3)

居室の技術的基準です。まずは内容のチェックから。

(三) 床面積100㎡以内ごと準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第9号の2ロに規定する防火設備で令第112条第14項第1号に規定する構造であるものによって区画され、かつ及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたもの

①床面積100㎡以内ごとに、準耐火構造の床・壁、防火設備で区画
②壁及び天井の仕上げ材料は、準不燃材料
上記の2つを満たしていれば、排煙設備は不要です。

4.告示1436号第4号のニ(4)

こちらも居室の技術的基準です。まずは内容のチェックから。

(四) 床面積が100㎡以下で、及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料でし、かつ、その下地を不燃材料で造ったもの

①床面積が、100㎡以下
②壁及び天井の下地と仕上げは、不燃材料
上記の2つを満たしていれば、排煙設備は不要です。

一見ややこしそうに見えますが、抜き出してみると意外にもシンプルです。法令集にもインデックスやマーカー処理をしておき、読めるようにしておきましょう。有料コンテンツのオリジナル問題でも取り上げています。

・建築基準法第27条第1項に規定する特殊建築物の主要構造部の構造方法等を定める件【告示255号】

主に、木造3階建ての共同住宅(以下、木3共)を設計するときに関係する告示です。令和2年に一部法改正が行われ、法27条1項各号のいずれかに該当する全ての特殊建築物について、『特定避難時間に基づく準耐火構造』の構造方法についても厳格されました。
試験において出題しやすいのは、木3共の部分です。前段でも話しましたが、我が国では大規模木造建築に力を入れています。今まで3階建てのアパートなどは、重量鉄骨造が主流でしたが、鋼材の価格上昇が原因でコストが合わず断念していました。ここで国は、今まで2階建ての個人住宅だけでなく3階建ての共同住宅も建てられるようにしようと働きかけたのがキッカケです。以降、都心部のような狭小地に立つ3階建て程度の共同住宅は、施工のしやすさから木造で計画することが多くなりました。
こうした時代の背景からして、一級建築士の試験においても、木3共に触れた試験問題が出題されると予想されます。

告示255号で定めている技術的基準をまとめると、以下のような内容です。(木3共の試験対策に沿った内容に編集しているため、国土交通省からの発布内容とは一部異なる文体になっています)

【告示255号(一部抜粋し編集)】
地階を除く階数が3で、3階が共同住宅の用途に供するもののうち、防火地域以外の区域内にあるものであって、次のイからハまでに掲げる基準(防火地域及び準防火地域以外の区域内にあるものにあっては、イ及びロに掲げる基準)に適合するもの
主要構造部を、1時間準耐火構造とすること。
イ 避難上有効なバルコニーを設けること。ただし、各住戸から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路が直接外気に開放されたものであり、かつ、各住戸の当該通路に面する開口部に防火設備が設けられている場合にお
いては、設けなくてもよい。
ロ 建物周囲に幅員3m以上の通路を設けること。ただし、次に掲げる基
準に適合しているものについては、設けなくてもよい。
(1) 各住戸に避難上有効なバルコニーが設けられていること。
(2) 各住戸から地上に通ずる主たる廊下、階段その他の通路が、直接外気に開放されたものであり、かつ、各住戸の当該通路に面する開口部に防火設備が設けられていること。
(3)上下階の開口部との間には、延焼を防ぐ庇が設けられていること。ただし、上下階の開口部間が2m以上の離隔距離があれば、設けなくてもよい。
ハ 3階の住戸の開口部は防火設備であること。

設計者が苦戦するほどの難しい内容…。なかなか読み解くには時間がかかります。ですがここは、試験対策のための勉強です。内容を理解する、というよりかは、まず法令集のどこを引けばよくて、キーワードが何かを押さえておきましょう。こちらもオリジナル問題として出題しております。

・高力ボルトの基準張力、引張接合部の引張りの許容応力度及び材料強度の基準強度を定める件【告示2466号】

高力ボルトの短期に生ずる力に対する引張りの許容応力度は、引張りの材料強度の2/3の値である。

平成29年度の建築法規で出題された問題です。この問題は、令92条の2や96条の表を見れば告示を引かなくても解ける問題でした。告示からの直接的な内容はなかったものの、告示が関与した問題としては珍しいものでした。おそらく試験元が発表している【※告示も含まれます】は、告示から単独で出題されるというよりかは、法令とリンクした問題(法令で解ける問題)で出題される方が現実的だと思います。(その理由は後述します。)
こういった過去問からも推測しながら、試験元が出題してきやすそうな告示をピックアップすることも対策としては大事です。

■告示編の法令集を持ち込むべきか?

試験元からプレッシャーを与えるように告示が出題されることを告げられたわけですが、受験生は告示編の法令集を持ち込むべきなのでしょうか?

結論から言えば、『備えあれば憂いなし』。私としては持参していくことをオススメします。発行元によって
①法令編と告示編に、分かれている
②法令編に告示編の一部(或いは全部)が、網羅されている
③法令編のみで告示編を、発行していない
いろんなパターンがあります。告示編の持ち込みは可能なので、持ち込むだけ持ち込んでおきましょう。

■告示まで履修するべきか?

昨今の試験問題は実務に直結した内容が多く、さらには日本語特有の難しい言い回しを練り込んだ問題が増えてきています。告示は愚か、法令を勉強することでさえ、大変な労力と時間がかかります。
まず受験者は、過去問を中心に法令をマスターすることが最優先です。また学院の通学者は、必ず学院から指導を受けた履修範囲を解けるようにすることが大前提です。
ではここまで記事を読んで『法令と同じように告示の勉強が大事か?』と思う方もいるでしょう。正直そこまで重要視しなくていいと思います。
理由は、法令を解くだけでも試験時間をいっぱい使うのに、告示からも出題されたとなると告示部分の法令集も引くことになります。その結果、告示に時間を取られてしまい法令部分の解答率が悪くなることが予想され、最悪の場合建築法規の足切り点が下がる…という結果が見えてきます。そうなると試験元としては善意ではありません。なので、告示の勉強は法令がしっかりとマスターできた時点で、プラスアルファとして告示を確認しておく…。この記事や学院、SNSの情報を基に試験に出題されやすい部分を線で引いておく…。これが理想の勉強方法かと思います。

法令集は付属のインデックスを貼付して、引き方見本のアンダーラインを引いたら終わりではありません。過去問や学院からの問題を解いていくごとに、アンダーラインの量は増えますし、法令集も自分が引きやすい汚れ方になっていきます。試験に打ち勝つ法令集を作り込んで、告示問題がでた場合でも惑わず対応できるようにしておいてください。


最後まで、ご覧いただきありがとうございました!

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最後に有料記事購入特典として、【オリジナル問題令和6年度建築法規_予想告示問題】を販売します。
完全オリジナル問題で、基本は告示編からの出題構成になっています。前述にもしましたが、基本は法令部分の勉強を中心にして、オリジナル問題は時間に余裕があるときや気分転換に告示部分をやるのもオススメです。オリジナル問題には解説も含んでいます。解く時間がない方は、そちらを参考にして線引きだけするのもオススメです。ぜひご活用ください。
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オリジナル問題は、全部で10問あります。その中の1問をご紹介します。

▲オリジナル問題ではこの記事で紹介した告示を中心に出題しています。

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