訪日外国人の影響、今後どうなる?~現状から今後を考えてみた~
こんにちは、お金が入るでかねいりです。
先日の日経新聞に「訪日消費増、円安が支え」という記事がありました。円安の影響で訪日外国人による消費が増えているという内容でした。確かにこの1年で街を歩くと外国人の姿をよく目にするようになりました。
そこで今日は、訪日外国人の影響と今後について考えてみたことをお伝えできればと思います。
■現在の訪日外国人の状況
では、訪日外国人の現状について、見ていきたいと思います。
2024年7月の月間の訪日外国人数は、329万人で、単月として過去最高を更新。300万人台は5カ月連続と伸びています。
では、前年に比べると、どうだったのでしょうか?
前年に比べると高い数値となっています。
ちなみに、この10年間の推移がこちら。
2019年が、3188万人と最も多くの外国人が日本を訪れました。しかしその後、コロナがあり激減。コロナが収束していく中で、2022年から回復。
では、最も高かった2019年と比べるとどうなのでしょうか?
これまで最も多かった2019年を超えて推移しており、2024年は3500万人を超える可能性も出てきています。
■どこから多く来ているのか?
では、どの国から外国人が多いのでしょうか?
韓国が約520万人で1位となっており、2位が約385万人で中国、3位台湾となっています。
では、これまで最高だった2019年と比べると、どうでしょうか?
2019年は、中国が約560万人で1位でした。この当時、中国景気は好調。爆買いという言葉が行きかいました。一方で現在の中国は景気が低迷。2019年のような勢いはありません。
注目すべきは、アメリカ。2019年から比べると1.5倍で、国別で最大の伸び率になっています。
2024年トップ20位の国の中で、18か国が2019年の訪日数を上回っていました。
■消費額が多い国は?
訪日外国人の国内における消費は、どのくらいなのでしょうか?
観光庁によると2024年1~6月の消費額は3兆9070億円。上半期の過去最高を更新。単純計算ではありますが、2024年は年間で7兆円を超える可能性が高い。
年間額でこれまでの推移を見てみると、
これまでの最高は2019年に4.8兆円。2024年は、これを更新することは間違いなさそう。
国別の消費額をみてみると、
中国が1位で4420億円。続いてアメリカが2781億円で2位。
訪日数で1位だった韓国は、4位2232億円。
年間で想定すると、中国は約1.7兆円。アメリカは約1.1兆円。
そういった意味で、消費額という観点で言えば、今後、中国やアメリカの訪日数がどのくらい伸びるかがカギを握っていると言えそう。
ちなみに2019年はどうだったのでしょうか?
中国が1位で額で言うと、約1.8兆円。
アメリカは5位で、約3200億円。
アメリカの伸びがすごいことがよくわかります。
■訪日外国人客増加の影響は?
訪日外国人の消費増加に伴って、日本経済にどのような影響が出ているのでしょうか?
ひとつは百貨店業界です。コロナ禍では、業績は低迷していましたが、訪日外国人の増加に伴い、売上も増加傾向。
免税品の売上は、コロナ前と同等に戻ってきています。
その他には、ホテル業界も良い影響を受けています。
2018年がピークで5.2兆円の市場規模があり、2023年はコロナ前の4.9兆円にここも戻ってきています。
2024年は、百貨店もホテル業界もさらなる売上拡大が確実視されています。
さらにインバウンド消費をGDP比率でみると、2022年の0.1%から2023年は0.7%と7倍に拡大。2024年はことらも大きく増える可能性が高いと考えられます。
■2023年以降に伸びている理由は?
ここまで見てみると、2023年以降に訪日外国人数、インバウンド消費額の拡大に拍車がかかってきているように思います。
なぜ、2023年以降に拡大してきているのでしょうか?
ひとつはコロナの影響が収束したことがあります。
そして、そこに追い打ちをかけたのが、円安です。
アメリカの好景気を背景に、インフレを抑えるために金利が上昇。
そこで、日本とアメリカの金利が開き、その影響で円安へ向かいました。
現在、日本の物価も上がってはきているものの、まだ世界に比べると低い状況です。
ビッグマック指数というものをご存じでしょうか?
これは、各国・地域におけるビッグマックの平均価格を比較することで、為替レートや物価水準、購買力といった経済状況の比較や把握をしやすくするための指数。
ビックマックが世界で最も高いのはスイスの1214円。
2023年のランキングでは、1000円を超えていたのが、スイスだけでしたが、2024年7月現在では、そのほかにウルグアイ、ノルウェーも1000円越え。日本が480円なので2倍以上の価格です。
日本の物価はまだ高くはありませんが、ここがどこまで上がっていくかで、訪日外国人客に影響を与える可能性がありそうです。
■課題をどう乗り越えていけるか?
政府は2025年までに、2019年の訪日客を超え、30年までに6000万人とすることを目標に掲げています。
その上で、航空燃料の不足で、海外の航空会社が新規就航できない事態が相次いでいます。
そこで政府は、輸入や増産・輸送体制の強化をするために、アジア便に換算して週150便超の燃料を確保するよう指示。
また、東京・京都・大阪などの都市部に偏りがちな訪日客を地方へ誘客するため、国立公園35カ所に高級リゾートホテルなどの宿泊施設を誘致する方針も打ち出しています。
さらには、ホテル業界や飲食業界などを中心にした人材不足の問題も叫ばれています。DX化やロボットの活用などがどの程度、促進されるかに注目が集まります。
この数年の取り組みが、日本の観光を強みとし、経済のひとつの柱とできるかの分岐点と言えそうです。