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今、ビール業界がビール飲料に注力する理由とは?

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

暖かい日が増えてきて、だんだんビールが美味しい季節になってきました。

そうした中、ビールメーカー各社は、いわゆるビール飲料の新商品や既存商品のリニューアルを行なうという発表を続々と行っています

若者のビール離れも叫ばれる中、ビールメーカー各社は、なぜビール飲料へ注力し始めているのかについて考えてみました。

■各ビールメーカーの動き

キリンビールは、2023年1月には主力の「キリン一番搾り」を刷新。クラフトビール「スプリングバレー」で限定品も含め3商品を2023年内に投入すると発表。

サントリーは、主力ブランドのビール「ザ・プレミアム・モルツ」を2月にリニューアルすると発表。リニューアルは2017年以来6年ぶり。3月28日に「ザ・プレミアム・モルツ マスターズドリーム」も刷新する予定。また、店頭想定価格が他社の主力品より10円程度安い新商品「サントリー生ビール」の発売を開始しました。

サッポロビールも「エビス」の高級シリーズ『ニューオリジン』を2月21日から販売を開始。

アサヒ生ビール「マルエフ」や生ジョッキ缶が好調なアサヒビールは、発泡酒「本生」の製造を2022年10月に終了し、ビールに注力すると発表しています。

■なぜビールメーカーは、ビール飲料に注力するのか?

その理由は、2023年10月に酒税が変更となるからなんです。

少し解説をしていきたいと思います。

今回の酒税の変更にかかわるのは「ビール系飲料」というジャンルになります。そこには「ビール」・「発泡酒」・「第3のビール」が含まれています。

細かい話ですが、麦芽が3分の2以上使われているものが「ビール」。
麦芽使用率が3分の2より小さいものを「発泡酒」。これが第2のビール。
「第3のビール」は、原料に麦芽を使っていないもの、もしくは発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜたもののことを言っています。

そして、この「ビール」・「発泡酒」・「第3のビール」によって酒税が異なります。

2020年より前の酒税は、
「ビール」・・・77円
「発泡酒」・・・46.99円
「第3のビール」・・・28円

でした。

当然、税金が少ないほうが、利幅は大きくなります。そうした背景から、2020年より以前、ビールメーカー各社は、第3のビールに注力して販売競争を行っていました。

毎日新聞より

■2026年に酒税が統一に

2016年に酒税改正が可決され、以下の図のように2020年10月から段階的に酒税が変更になることが決定されました。

見て頂いてお分かりの通り、「ビールの税率は安くなり、第3のビールの税率は高くなる」ことになり、「ビールは以前より儲かり、第3のビールは以前より儲からなくなる」ことを意味しています。

さらに拍車をかけているのが、原材料の高騰です。穀物やアルミニウムなどの資材価格、原油などのエネルギー価格の上昇が止まらず、利益を圧迫。

ビール業界は、より利益率の高い商品への移行が必須という状況の中のこの酒税の変更のタイミング。ビールメーカーとしては、絶好の機会として捉えているということなのです。

ビール好きの私としては、美味しいビールがどんどん出てくることは嬉しい限りです。

一方で、日本のビール業界の先行きは決して良い状況ではありません。今後、日本のビールメーカーがどのような手を打っていくのか、注目していきたいと思います。

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