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モノリス法律事務所の河瀬先生に聞いてみた(要約版)
モノリス法律事務所の河瀬先生に対するインタビューを要約しました。
ITエンジニア出身の河瀬先生、「IT」を軸としたサービスを提供しつつ、弁護士16名の事務所(取材当時)に成長させています。
ぜひ動画もご覧ください。
1.対談形式の要約
北(司会)
本日はよろしくお願いいたします。まずは簡単に自己紹介をお願いできますか。
河瀬(弁護士)
よろしくお願いします。モノリス法律事務所の代表弁護士、河瀬と申します。実は私、弁護士になったのが30歳を過ぎてからなんです。20代の頃、ITエンジニアや経営者として活動していました。弁護士としてはいわゆる「純粋培養」型ではなく、ビジネス現場を経験してから法曹の世界に入ったという経緯があります。
北
なるほど、ITエンジニアや経営者としてのご経験は、事務所運営にも活かされているんですね。モノリス法律事務所は2017年に設立され、わずか5年で弁護士14名、スタッフ全体44名という大所帯に成長していると伺いました。
河瀬
ええ。設立から丸5年ほどですが、おかげさまで急速に規模が拡大しました。弁護士が14名在籍していて、それ以外の正社員スタッフが30名ほど。アルバイトなどを含めると全体で44名になります。
事務所の特徴としては「ITに強い企業法務」を打ち出していることですね。いわゆる大手渉外事務所や昔ながらの町弁事務所とは異なる路線で、IT領域に特化した顧問業務や、インターネット上の法的トラブル(誹謗中傷・風評被害など)の対応を数多く扱っています。
北
IT分野に強いというと、主なクライアントはやはりITベンチャー企業が多いのでしょうか。
河瀬
はい、それは大きいですね。まず「ITに強い」と言うと、IT関連のベンチャーやスタートアップが「うちの顧問弁護士になってください」と来られることが多いです。もう一つは、大手企業でも新規事業でSaaS(クラウドサービス)などITを活用するケースが増えているので、「ITに強い弁護士が欲しい」というニーズが高まっている。結果として、大手ゼネコンさんや製造系の上場企業さんが新規事業でIT分野に参入する際の相談・契約書レビューなどをお任せいただくことも多いです。
北
確かに、どの業界もIT化が進んでいますからね。では、河瀬先生ご自身のITエンジニアとしてのキャリアを、少し詳しくうかがえますか。
河瀬
私が10代後半から20代にかけて、ちょうどインターネットが個人ホームページから盛り上がってきた時期でした。趣味でホームページを運営していたら雑誌のライターの話が来たり、企業のウェブ開発案件に携わるようになったんです。当時はまだ「ITで食べていく」こと自体が珍しい時代でしたから、そうした流れで自然とエンジニアや経営者として活動することになりました。
北
そこから弁護士を目指されたのは、やはりITではカバーしきれない部分を補うためでしょうか。
河瀬
そうですね。IT分野である程度仕事はできるけれど、もっと大きく事業化・組織化していこうと考えたとき、法律の知識や「弁護士資格」という武器があったほうが良いと感じたんです。ちょうどロースクール制度が整いはじめた時期でもあって、「やるなら今だ」と思い立ちました。
北
実際に弁護士になってからも、IT寄りの企業法務に自然と集中できたんですね。そこから独立までは早かったと聞いています。
河瀬
はい、最初に所属した事務所でもIT企業の顧問案件を多く担当していましたが、組織化のイメージがあったので早めに独立しました。2017年にモノリス法律事務所を立ち上げ、最初は弁護士数名からスタートしましたが、その後どんどん仲間が増えていった形です。
北
ITベンチャーといえども、業務内容は多岐にわたるでしょうし、事務所としても弁護士以外の専門スタッフが必要になりますね。御社はかなりスタッフ数が多いという印象があります。
河瀬
当事務所では、いわゆる「事務員」ではなく、総合職的なメンバーを多数採用しています。たとえばネット上の誹謗中傷対策に関しては、実際にURLを調査し、投稿内容を分析し、どの程度の法的リスクがあるかを整理する、いわば“IT調査スタッフ”のようなポジションが必要なんです。これらは従来の「事務員」の枠に収まらない仕事で、ITエンジニア的な知見が求められます。
北
なるほど。弁護士が担当する範囲だけを切り出すのではなく、「法律事務所」という組織としてワンストップで対処しているわけですね。
河瀬
そうです。クライアント企業が欲しているのは最終的な法的解決や契約書だけでなく、具体的な技術リサーチや実務オペレーションを含めた包括的なサポートですから。そこで、弁護士が法律の面を統括しつつも、スタッフが調査や検証を行う。そうしたチーム体制で対応できるのが、うちの強みです。
北
事務所の今後の展望はいかがでしょうか。
河瀬
IT分野と企業法務を中心にさらに事業を拡大したいですね。弁護士の数は、今14名ですが、1年後には20名を超え、その次の年にはさらに増える計画です。ITに限らず、たとえばM&Aや新規事業の法的リスク管理など、企業法務には幅広いニーズがあります。「ITに強い」という柱は維持しつつ、クライアントが拡大していく過程で生じる多様な法的課題に対応していくつもりです。
北
法律業界全体を見ても、弁護士資格を活かして新しい分野を切り開く動きは強まっています。最後に、これから弁護士を目指す方や若手の方にメッセージをいただけますか。
河瀬
既存の弁護士像に捉われすぎず、法律の専門知識を「社会の新しいニーズ」にどう繋げるかを常に考えてほしいですね。たとえば、昔はM&Aの法務サポートなんて存在しませんでした。でも「新しいビジネスや取引」をどう円滑に進めるかを考えた弁護士たちが、M&A業務を拡大していった。そうやって弁護士の仕事が広がっていくことで、社会にとっても新しい価値が生まれます。IT領域もまだまだ伸びしろがありますし、それ以外でも同じように新しい分野は絶対にある。興味を持ったテーマに積極的に飛び込み、業界の境界線を押し広げていってもらえればと思います。
北
本日は大変興味深いお話をありがとうございました。河瀬先生のお考えやご経験は、若手や将来の法曹を目指す方々にも大いに参考になると思います。また別の機会にもぜひお話を伺わせてください。
河瀬
ありがとうございます。こちらこそ、機会があればいつでもお話しさせていただきます。
2.より時間がない人のために
事務所設立の経緯と特徴
河瀬弁護士はもともとITエンジニアや経営者として活動しており、30歳を過ぎてから弁護士になった。
モノリス法律事務所は2017年に設立され、短期間で弁護士14名・スタッフ44名(アルバイト含む)の規模に拡大。
「ITに強い企業法務」を大きな柱として、ITベンチャーから大手企業の新規事業まで幅広く対応している。
河瀬弁護士のITエンジニア時代の経験
10代後半からインターネットの個人ホームページ運営などを行い、雑誌のライターや開発案件など様々な仕事を経験。
IT分野をさらに大きく事業化するために法律の武器が必要だと感じ、ロースクールへ進学し弁護士を目指す。
事務所としてのIT領域の強み
IT企業の顧問業務が中心だが、IT化が進む大手企業の新規事業や風評被害対策にも幅広く対応。
インターネット上の誹謗中傷や風評被害については、URL調査や投稿内容の分析といったITリサーチ面も包括的に行う。
業務範囲とスタッフの役割
従来の法律事務所の「事務員」とは異なる、総合職的スタッフを多数採用。
誹謗中傷対策での技術的な調査や、企業のITリスク管理など、弁護士とスタッフがチームで取り組む。
組織拡大とマネジメント
設立から5年で急拡大し、さらに弁護士・スタッフを継続的に増員予定。
弁護士が単独で裁判や契約業務のみを行うのではなく、IT知見を活かしたサービス全体をワンストップで提供。
他業界でのマネジメント経験が少ない弁護士業界において、河瀬弁護士のIT・経営のバックグラウンドが組織運営に活かされている。
今後の展望
IT分野を中心に、企業法務全般やM&Aなど、多様なニーズに応えられる体制を強化していく。
「ITに強い」という軸を持ちつつ、より大規模なプロジェクトや幅広い業種へ対応可能な体制を目指す。
若手・これから法曹を目指す人へのメッセージ
従来の弁護士像に捉われず、社会の新しいニーズを意識して法的知識を活かすことが重要。
たとえばM&Aがかつては弁護士の仕事ではなかったように、ITなど新しい分野で弁護士が活躍できる可能性は大きい。
自分の興味ある領域で専門性を高め、業界の境界線を押し広げる姿勢が大切。
対談のまとめ
河瀬弁護士はIT・経営の経験を背景に、従来型の法律事務所とは異なる形で急成長を遂げている。
ITと法務を組み合わせ、顧客が求める実務オペレーションも含めた包括的なサポートを提供。
今後も「ITに強い企業法務」を軸に、人員拡充とサービス拡大を計画しており、新しい時代の法律事務所のモデルを示している。
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