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弁護士匿名インタビュー(おでん先生、50期代後半、都会、弁護士複数名、年商1.8~2.3億)

【ノースライム】 ふむ、そろそろですかね。

【おでん】が参加しました。

【ノースライム】 お、いらっしゃいませ

【おでん】 こんにちは!

【おでん】 楽しみにしていました笑

【ノースライム】 楽しみw

【ノースライム】 よろしくお願いします

【おでん】 よろしくお願いします!

【ノースライム】 本日はオーソドックスな取材ですw

【おでん】 直近のは大変そうでしたね汗

【ノースライム】 w

【ノースライム】 感想は見た方にお任せしますw

【ノースライム】 さて、先生は期は何期くらいでしょうか?

【おでん】 50期台後半です!

【ノースライム】 開業されてどれくらいになりますでしょう?

【おでん】 開業して10年経たないくらいです。

【ノースライム】 事務所の規模はどれくらいでしょう

【おでん】 私を入れてパートナー2、アソシエイト6です!

【ノースライム】 スタッフは何名くらいですか?

【おでん】 スタッフは4名です。

【ノースライム】 事務所の場所は都会、地方都市、田舎どこになりますでしょうか?

【おでん】 最都会笑

【ノースライム】 都会も都会ですねw

【おでん】 はい!

【ノースライム】 お仕事としてはどんな仕事が多いんでしょうか

【おでん】 M&A4割、ファイナンス3割、一般企業法務(訴訟を含む)2割、その他1割、くらいでしょうか。

【ノースライム】 おお、ほぼ企業法務ですね。

【おでん】 98%くらい企業法務ですね

【ノースライム】 逆に2%はどこから来るんでしょうw

【おでん】 学生時代の友達・先輩・後輩の離婚とか笑

【ノースライム】 受任するんですねw

【おでん】 来るものは拒まずの精神でいます笑

【ノースライム】 さて、ここ最近の年商ってどんなもんですか?

【ノースライム】 お待ちかね

【おでん】 はや笑

【ノースライム】 これはその後の話題を引き出すためのフックなので

【おでん】 若干ばらつきがありますが1.8億~2.3億くらいです!

【ノースライム】 おお~。

【ノースライム】 素晴らしい。

【おでん】 経費も1億です!笑

【ノースライム】 でも1.3億残るのでは

【ノースライム】 素晴らしい!

【ノースライム】 もう1名のパートナーの方ってのは独立採算なんでしょうか?

【おでん】 はい、完全に独立採算です。

【ノースライム】 そうすると上記の売上は先生ひとりが持ってきている売上って感じですね。

【ノースライム】 素晴らしい

【おでん】 はい、そうです。ありがとうございます

【ノースライム】 報酬はタイムチャージですか?

【おでん】 9割方タイムチャージですね。数は少ないですが、個人の案件と、時折企業の訴訟を着手金・成功報酬でやることはあります。

【ノースライム】 タイムチャージが基本って感じですね。

【おでん】 はいそうです。

【ノースライム】 お仕事ってどういうルートで来るんでしょう?

【おでん】 ハブになってくれる依頼者、専門家、あとは、よくあるパターンは、親しかったクライアントの担当者が転職されて転職先の案件を持ってきてくれる、というのもあります。それから、英語対応ができるので、英語対応ができない、同期の弁護士からの英語案件・クライアントの紹介とかもありますね!

【ノースライム】 基本はご紹介ですかね

【おでん】 100%ご紹介です。

【ノースライム】 仕事の内容をお伺いしたいんですが、M&Aの仕事って弁護士はどんなことやるんですか?

【おでん】 対象会社の法務デューディリジェンス(資料のレビュー→マネジメントインタビュー→レポート作成)→株式譲渡契約作成→譲渡代金のファイナンス関連契約書作成・レビュー、といった感じでしょうか。ファイナンス弁護士でもあり、最後のファイナンス部分もできるので、ワンストップで使い勝手が良いのもあるかもしれないです。

【ノースライム】 法務DDって言われますけど外から見てると具体的に何しているのか分かりにくいと思うんですよ

【おでん】 そうかもしれないですね。地味な仕事です笑

対象会社に開示を要請する資料のリストがあるので、それを提示して資料を出してもらう、資料を読む、足りないところは追加で資料を求める、あるいはマネジメントインタビューで聞く、という感じで進めるのですが、項目(資料)としては、①対象会社の組織(定款、組織図、社内規程、議事録など)、②株式(株式の発行・異動に関する資料、譲渡契約、議事録など)、③資産(不動産、知財の資料など)、④負債(銀行借入れ、担保提供に関する契約書など)、⑤許認可・法令遵守(業規制のある業種だと許認可の資料、業務改善命令を受けたときの資料など)、⑥人事労務(雇用契約、労使協定など)、⑦紛争・訴訟(訴状・準備書面、判決書など)という感じですかね!

【ノースライム】 法務DDってなんのために行うと思われてますか?

【ノースライム】 先生的には

【ノースライム】 クライアント自身なんのために行うかイマイチ理解していないときもあるんじゃないかと思うんですよね

【おでん】 そうですね、おっしゃるとおりと思います。

【おでん】 もちろん、建前としては、

【おでん】 M&Aを行う前提としての、対象会社に法的な問題点がないか、簿外債務がないか、売主が本当に株式を持っているか、というようなところをチェックするため、ということだとは思いますが

【おでん】 実際は、担当者が将来において責任を問われないためだったり、

【おでん】 上場会社として、M&Aを行う前にきちんと調査をした、という形を作るためだったり、

【おでん】 法的な問題点を見つけるためにだけやっているわけではないケースも多いとは思います。

【ノースライム】 ふむー

【おでん】 ですけど、

【おでん】 DDをやると、やっぱり対象会社が見えてくる面がありますし、クライアント自身何のためにDDを行うかイマイチ理解していないとしても、あるいは法的問題点を見つける建前とは違う目的があるとしても、対象会社を理解する上でやることは有用だとは思います。

【ノースライム】 どんなものが見えてきますか?

【おでん】 そうですね、

【おでん】 資料の揃え方、出し方一つにしても、社風というか、会社の意識の高さとか、いい加減さとか見えますし、

【おでん】 マネジメントインタビューで話を聞くと、本当に感覚的にですけど、雰囲気の良い会社、いい加減な会社、管理が厳しい会社、という風に、見えてくる気がします。クライアントにとっても、そういった情報は、M&Aを行った後の運営に活きてくるように思います。

【ノースライム】 マネジメントインタビューってどんなことを聞くんでしょうか。弁護士が聞くんですよね?

【おでん】 これも基本的には聞くべき事項・リストのようなものがあります。既に開示を受けている資料があるので、その資料を見てもわからないことや重要なこと、あるいは資料から見えてきた問題があればそれを聞く、という感じです。質問する項目としては、求める資料の項目と基本的には同じです。

【ノースライム】 聞くべき事項やリストというのは先生の方で作っているものですよね?

【ノースライム】 もちろんクライアントから要望されるものもあるでしょうが

【おでん】 そうですね。私の方で作っていますが、そのリストも過去に使ったものをベースに作っていて、ずっとたどっていくときっと大手事務所が作ったものだろうと思います笑

【ノースライム】 正直w

【ノースライム】 担当されているM&Aの規模的にはどれくらいの規模が多いんでしょうか?

【おでん】 クライアントの規模・事務所の規模とある程度連動しますので、小さいものが多いです。数億から数十億円くらいまでの規模がほとんどです。M&A市場で言えば小さい案件が多いです。

【ノースライム】 規模が小さい案件の特殊性などございますでしょうか?

【おでん】 家族経営笑 いい加減笑 資料が出てこない笑

【ノースライム】 そういう場合どう対応するんでしょうw

【おでん】 そういう会社が、クライアントが買おうとしている会社であるわけなので、そういった会社を買うことで想定されるリスクと、そのリスクが現実的にどの程度問題か(あるいは実際には問題にならないか)というところをクライアントにきちんと説明する、という感じですかね。対象会社に対して、頑張って資料を出せ、と要請しても、存在しない資料が存在するようになるわけでもないですし笑

【ノースライム】 資料がないのでこういうリスクがあります!という説明をする感じですね

【ノースライム】 M&Aの次のファイナンスですが、これは具体的にはどんな仕事になるのでしょうか?

【おでん】 そうですね、一言で「ファイナンス」と言っても様々な分野があり、私がやっているのはデットファイナンス、アセットファイナンス、ストラクチャードファイナンスと言われるような分野ですね。SPCと呼ばれるペーパーカンパニーを組成してそこに資産を買うためのローンとか匿名組合出資とかを入れて、資産を買って、運営して、というようなものを作り上げるための法務アドバイスと契約書作成、という感じです。

【ノースライム】 おー、面白そう

【ノースライム】 その内容だとクライアントはこんなことしたいんだけどというようなふわっとした感じで相談に来ることも多そうですね

【おでん】 ロジカルな分野ではありますが、こればっかりになると心が乾くときがあります汗

【ノースライム】 心が乾く

【おでん】 その後離婚案件を受けると、心が潤う感じがしたりします笑

【ノースライム】 離婚事件で心潤うかなぁw

【ノースライム】 どんな感じなんでしょう?

【おでん】 ファイナンス案件で向き合うのが、本当に法律上のロジック、規制法の確認、契約書の条文、そしてドライで頭の良いクライアントなので、弁護士になる前にイメージしてた弁護士像と違い過ぎて、あれ、弁護士ってこういう仕事だっけ?と疑問がわくことがあります笑

【ノースライム】 ふむ、ファイナンス分野の仕事をやるようになったのはどういった経緯なんでしょうか?

【ノースライム】 M&Aの方はなんとなく想像つくんですが

【おでん】 最初に入った事務所にその分野の案件しかありませんでした笑

【ノースライム】 おお、なるほど。

【ノースライム】 そうするとM&Aからの派生でファイナンスではないんですね。

【おでん】 はい、そのとおりです。

弁護士になりたての頃は、ファイナンス案件ばかりをやってて、心が乾いて辛かったですが汗、専門性が高くてニーズがあって、今ではそれが仕事のベースになっていますし、ファイナンスを叩き込んでくれた最初の事務所には本当に感謝しています。

【ノースライム】 そもそも自分で開業しようと思ったのはなんでだったんでしょうか。

【おでん】 正直にお伝えすると、自分がやっていること、できている(と感じている)ことと、その時点でもらっていたお給料がマッチしていないという思いが大きくなり、自分自身でどれくらい稼げるかやってみたい、という感じです汗 崇高なものでなくて申し訳ありません…

【ノースライム】 なるほど

【ノースライム】 開業したらお客さんを探さないといけないと思うのですが、M&Aとかファイナンス領域ってクライアントは言うても限定されると思います。

【ノースライム】 どうやってお客さんの輪を広げていきましたでしょう?

【おでん】 先ほどお伝えしたとおり、ほぼ全て紹介でここまできたわけですが、

【おでん】 留学から戻って2,3年目くらい(弁護士10年目くらい)に、「あ、このお客さんは、事務所に来てくれているんじゃなくて、ぼくに来てくれてるな」と感じ出した瞬間があって

【おでん】 その頃、一番親しくしていたクライアントの担当の方が、「独立したら、支えますよ」と言ってくれたことがあり、

【おでん】 今がそのときだ、と思い独立しました。そのお客さんをはじめ、先ほどの「ぼくに来てくれている」と感じたお客さんが、独立したお祝いとばかりに、案件を持ってきてくれたり、別のクライアントを紹介してくれたりしました。

【おでん】 そこからは、お仕事を丁寧にやるように心がけてきたら、さらに関連する案件、分野、クライアント、英語等々で広がっていった、という感じですね。

【ノースライム】 どんなところで「自分に来てくれている」と思うようになりましたか?

【おでん】 なんというか、クライアントが友だちみたいになっていきました笑

考えてみれば、どうせ弁護士に頼まなきゃいけない案件なら、仲良しに頼みたい、と思うのは自然かもしれないですね。

【ノースライム】 クライアントとプライベートの付き合いってあります?

【おでん】 はい、あります。とにかく飲みに行くのが好きなので、ヒマさえあればクライアントとも友人の弁護士とも飲みに行ってます笑

【ノースライム】 なるほどw

【ノースライム】 飲みは強しw

【おでん】 いやほんとそう。

【おでん】 距離感というか、壁というか、そういうものをひょいと乗り越えられる気がします笑

【ノースライム】 あと「仕事を丁寧にやる」って具体的にはどういうことだとお考えになっていますでしょうか

【おでん】 抽象的で恐縮ですが、とにかく、クライアントが弁護士に何をしてもらいたいか、を一生懸命想像して、それをきちんと提供する、という感じですかね。クライアントの依頼のメールとか、打ち合わせとかの言葉とかが、本当にそのクライアントが頼みたいことを表していないことも多いと思ってて、そのクライアントが本当は何を頼みたいのか、一生懸命考えます。

【ノースライム】 クライアントの真意はどういうところから読み取りますか?

【おでん】 なかなか説明するのは難しいのですが、クライアントの真意には、やっぱりある程度パターンがあるとは思います。そういったパターンを前提としつつ、業種や会社の規模、その時々の状況などから読み取るという感じでしょうか。さっきの法務DDの目的の話でも触れた通り、クライアントの真意としては、建前としての形を整えるのが大事だったり、担当者の責任を弁護士が負ってあげるのが必要だったりとか、色々あるわけです。そういう真意を認識するうえでも、飲みに行って、その担当者の人柄だったり、会社だったりをよいところも悪いところも含めて予め深く知っておく必要があるようには思います。

【ノースライム】 なるほど。

【おでん】 抽象的でごめんなさい汗

【おでん】 なかなか言葉にするのが難しいですね。

【ノースライム】 これから先生と同じような方向性の業務で独立したいと考えている弁護士がいるとしたらどんなところに気をつけたらいいと思いますか?

【ノースライム】 もしくはどんなことをするのが良いと思いますでしょうか

【ノースライム】 そもそも止めておいた方がいいとかでも構いませんがw

【おでん】 一言で「弁護士の独立」と言っても、その弁護士のそれまでやってきた業務の内容によって、全然すべきことは異なるだろうと思います。
私のように専門性が高い分野の弁護士の独立の場合は、その分野のクライアントの担当者と独立後も続くような友だちになっておくこと、に尽きるように思います

専門性が高いと、一定数のニーズはあるので、その弁護士がきちんとその分野の対応ができる、という認識さえもってもらえれば、声をかけてもらえることは多いと思います。

ただ、声をかけてもらうためには、その分野のクライアントと独立後もつながっている必要があると思います。そういった関係を、独立後にセミナーをやったり、広告したりして新たに作るのはかなり大変です。

独立するまでに、数は少なくてもよいので、そういう方との強いつながりを作っておく、という感じですかね。

【ノースライム】 なるほど

【おでん】 逆にそれさえあればなんとかなる笑

【ノースライム】 ありがとうございます。

【おでん】 すみません、全体的にまじめな話ばっかりになりました笑

【おでん】 文字数が多い笑

【ノースライム】 それでいいのではw

【おでん】 まあ、現にそんな感じでやってますからね。

【ノースライム】 ありがとうございました~

【おでん】 ありがとうございました!楽しかったです!
 

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