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弁護士匿名インタビュー(サキ先生、60期代、都会、弁2・事務2、年商1億~)

【ノースライム】 お疲れ様です~

【サキ弁護士】 おねがいしまーす

【ノースライム】 こちらこそー

【サキ弁護士】 緊張するwww

【ノースライム】 緊張w

【サキ弁護士】 これから弁護士になる人の希望になればいいなーとはおもっています!

【ノースライム】 じゃあ簡単にこちらから聞きましょうか。

【サキ弁護士】 おねがいします!

【ノースライム】 さてサキ弁護士って期は何期でしたっけ?

【サキ弁護士】 60期代です

【サキ弁護士】 最初、街弁で1.5年くらいやって独立です

【ノースライム】 事務所都会にありますよね

【サキ弁護士】 都会です!

【ノースライム】 弁護士何名で年商どれくらいでした?

【サキ弁護士】 初年度の売上が約7000万、弁護士2名ですねー

【ノースライム】 その後どうなっていきました?

【サキ弁護士】 次年度、「目標1億だ!」って感じで意気揚々だったんですが

【サキ弁護士】 納品(=事件処理)がのしかかってくるので、業務量が半端じゃなくなり、新規営業や顧問との付き合いなどもできなくなり、すぐに限界を感じました

【ノースライム】 なるほど

【ノースライム】 どう変えました?

【サキ弁護士】 やはり、定期的に案件を紹介してくれる人や場所が必要だと思いましたね

【サキ弁護士】 そこで、たまたま出会った人の中に商売やっている人がいて、最初に3−4件くらい紹介してくれたんです。そのあとも、そこのお客さんを毎月10人くらい紹介してくれて、さらに、同業の人とかも紹介してくれて、一気に紹介数が増えた感じです。

【ノースライム】 なるほど。ただ先ほど納品に限界があったって言ってたじゃないですか。

【サキ弁護士】 はい

【ノースライム】 そこはどう対応したんでしょう

【サキ弁護士】 営業を減らしましたね

【ノースライム】 営業を減らして実働を増やした感じですか?

【サキ弁護士】 納品+既存営業+新規営業の合わせ技で業務過多になっていたので

【ノースライム】 その結果、どれくらいまで伸びました?

【サキ弁護士】 2年目が1億とか、1.5億とかですかね?

【サキ弁護士】 いや、1億くらいかな

【ノースライム】 おお

【サキ弁護士】 まだ報酬がはいってなかったので1.5億はいかなった気がします

【ノースライム】 なるほど、独立2年目で1億はかなりのもんでは

【サキ弁護士】 そうなんですかねw でも給料制でやっていたのであまり実感はなかったですw

【ノースライム】 3億円くらいいったって話を依然聞いた気がするんですがこれはいつ頃でした?

【サキ弁護士】 3億は去年ですかね。というのも、3年目以降、何年間か私の体調や家庭の事情などが重なり、事務所経営から退いていました。そのときの何年間は事務所の経営成長が止まる→下がるしたので

【サキ弁護士】 3年目には大枠今のスタイルになっていましたが、あまり拡大はしませんでした

【ノースライム】 拡大せずに巡行って感じですかね。

【サキ弁護士】 ずっと1億-2億くらいを推移って感じですねー。途中赤字になったりして。私が去年から事務所に復帰して、現在は年商5-10億の間くらいになる見込みです

【ノースライム】 めっちゃ成長してる。

【ノースライム】 所属弁護士の人数ってどんな感じで変化したんですか?

【サキ弁護士】 2名→5名くらいでずっとやってきました。今は増やしているところです

【ノースライム】 弁護士2名だと1億~1.5億くらいで、弁護士増やして1~2億の間くらいって感じですかね。

【サキ弁護士】 そんなイメージです。

【ノースライム】 スタッフはどんなもんです?

【サキ弁護士】 2年目はスタッフ2名で、そこから徐々に増えていって今はだいぶ増えました。

【ノースライム】 弁護士2名スタッフ2名で1億は結構忙しかったのではw

【サキ弁護士】 どうなんでしょうw

【ノースライム】 あんま実感なかったですか?

【サキ弁護士】 そこまで忙しさは感じなかった気が・・

【ノースライム】 ほぉー。結構件数回す必要があるような気がしますけどそうでもなかったです?

【サキ弁護士】 結構電話で終わるのでそうでもなかったです。

【ノースライム】 当時と今だとやっている業務の範囲ってちょっと違いますよね?確か最初は被害者側の交通事故だったイメージです。

【サキ弁護士】 違います!当時は企業法務とかもやっていたので

【ノースライム】 あ、企業法務やってたんですね!

【サキ弁護士】 最初は交通事故や離婚や企業法務などほぼなんでもやっていました。むしろ顧問獲得目標とかもありました。

【ノースライム】 それを変えていったのは何故でした?

【サキ弁護士】 というより、さきほどの提携先からのご紹介で手一杯になり、そこにフォーカスせざるを得なかったというのもあります

【サキ弁護士】 提携先が100社とか超えてきたので。

【ノースライム】 100社w

【ノースライム】 でも営業は絞ったんですよね。

【ノースライム】 どうやって増えたんですか?

【サキ弁護士】 よく、いろいろな弁護士が「○○業界に食い込めば、××分野の案件を定期的に紹介うけられるから狙っている」ってききますがそれって結構大変で、なんていうかものすごく工数かかるんですよね

【サキ弁護士】 紹介するって、紹介者側の労力がものすごいので、「紹介する理由」が必要なんですよ。

【ノースライム】 確かに!

【サキ弁護士】 「紹介する強い理由」かな。しかもそれが、「定期的に」となるとなおさらだし、ましてや「同業の人まで繋がっていく」となるとなおさらなんです

【ノースライム】 「紹介する強い理由」ってどう構築しました?

【サキ弁護士】 同種案件、例えば交通事故や離婚などの案件を、同業種(例:整骨院や探偵事務所)から継続的に紹介受けるためにはまず大前提として、三方良しの構造になっているかが重要です。
紹介者よし、相談者・依頼者よし、法律事務所よし。

【サキ弁護士】 特に弁護士は金銭的よしを紹介者に提供できないので

【ノースライム】 そこをどうクリア―するかですよね。

【サキ弁護士】 その構造があるかどうかをまず考えます。

【ノースライム】 金銭によらない「紹介者よし」をどう構築できるかですね。

【サキ弁護士】 できれば間接的に金銭的メリットが提供できるかを考えますねー

【サキ弁護士】 整骨院にしろ探偵事務所にしろ、売上が欲しいので、まずは彼らのお客様となる人をご紹介できるかとか、私たちが依頼者のために案件処理すると結果的に紹介者の売上が増えるとか。

【ノースライム】 弁護士から金銭がいくわけじゃないけど、弁護士に紹介(弁護士と継続的な付き合い)をすることによって紹介者に間接的に金銭的なメリット「も」発生するという形ですよね。

【サキ弁護士】 弁護士は人柄営業に依存しすぎな気がします

【サキ弁護士】 「あなたに頼みたい」「あなただから紹介する」

【サキ弁護士】 言われた側は気持ちいいし、私すげーになるし、後輩にドヤできますが、でもやはりそれは持続性も再現性もないので、三方よしができるか。これが最も重要かなと。
それがないなら、「継続的」かつ「大量の」紹介構造をつくるのはやめたほうが良いとおもいます。現に、私たちも、他分野ではそれをしていません

【サキ弁護士】 頻繁に紹介してくれる方がいらっしゃるときに、その人にどんなメリットを提供できているかは常に考えていました。頻繁にご紹介いただく人リストを定期的に見ながら、どんなメリット提供できているか常に見直していましたね。飲食やっているなら、そこで食事するでもいいんです。

【ノースライム】 めっちゃ面白い

【ノースライム】 紹介者にどんなメリットを提供できるかリスト

【サキ弁護士】 一緒にゴルフとかも悪くはないんですが、時間をとられすぎるし、やはり三方よしを作らないといけないので

【ノースライム】 ゴルフはどちらかと言えば人柄営業ですよね

【サキ弁護士】 人柄はもちろん大事なのですが、どんなメリットを提供できているかは常に考えていました。もちろん周旋にならないように

【ノースライム】 紹介の対価は支払えないけど、紹介してくれた人の売上にどう繋がるかってことですよね。

【サキ弁護士】 AさんはBさんのお客様になりそうだなって思えばご紹介したり。いつも「あ、それなら私日本一の人を知っているからいつでもご紹介するんでいってください」ってよく言ってました

【ノースライム】 Twitterとかで仕事取るの大変とか街弁辛いみたいな話よく流れてるじゃないですか

【サキ弁護士】 ですねー

【ノースライム】 見ていてどう思います?

【サキ弁護士】 まずは、弁護士をビジネスとして考えているのか、職人として考えているのか分ける必要があると思います。職人だとすると、自分=売上に近い構造になるので、どうスキルアップするかとか、どういう適性が必要かという話になります

【ノースライム】 ですね。「腕」が必要ですからね。

【サキ弁護士】 ビジネスだとすると、最初は自分がやるかもしれないけど、どうやって継続的に成長させていくかという話になります。自分≠売上になります。

【サキ弁護士】 弁護士は、法学部からロー、試験、修習と、職人教育を受け続け、職人として生きていく価値観が強いので、「優れた職人にならなければ劣等生だ」という考えが強く、ビジネスとして考える発想が少ない気がしています。

【サキ弁護士】 職人としての弁護士(街弁)についての競争環境や厳しさについては正直よくわかりませんが、ビジネスとしてみたら弁護士業界はものすごく明るいと思っています

【ノースライム】 どんなところが明るいと思いますか?

【サキ弁護士】 まず、誰かがそのサービスにお金を払うのって①課題とソリューション群の一致②ソリューション群から自社サービスが選ばれるというふたつの工程を経ると思っています。

【サキ弁護士】例えば、「比較的短距離を移動したい」という課題があった場合、①は、タクシーとか電車とかバスとかのソリューション群が浮かびます。そこに、「電動キックボード」はまだ入ってないんです。だから、Luupさんとかはソリューション群に入るためにがんばるわけです。
一時のメルカリさんとかもそうです。「ものを売り買いしたい」ってときに「フリマアプリ」というのはソリューション群にはいってなかったので、①を満たすために大量にCMしていたわけです。

【サキ弁護士】 しかし!なんと!!!弁護士は簡単に①を満たしています!!!!!

【ノースライム】 いきなりハイテンションw

【サキ弁護士】 離婚と言えば弁護士。交通事故にあったら弁護士。逮捕されたら弁護士。最近ならB型肝炎なら弁護士

【ノースライム】 ●●といえば弁護士が無数にあるわけですね

【サキ弁護士】 逆に、企業法務はビジネスとして伸ばすのは難易度が高いと思っています。「企業法務という課題」は存在しないからです。顧問とかも、どういう課題に対するソリューション群なのか繋がりにくい。
現に、企業法務系で成長させるには「顧客を獲得できる職人的弁護士を増やす(=パートナーを増やす)」方法がほとんどかと思います

【ノースライム】 サキ弁護士は今も企業法務やってないですもんね基本

【サキ弁護士】 ①をつくるために、様々な会社が大金を投じてCMとかうつのに。一個人がそれを作るのは相当難しい

【サキ弁護士】 街弁議論では②が多いと思いますが、私は①の方が重要だと思っています。①があれば、②はそこまで難しくない。

【ノースライム】 でも弁護士同士だと①は被っちゃうんじゃないですか?

【ノースライム】 被っても問題ないですかね?

【サキ弁護士】 被りますが、市場はでかいですし、 ゲームルールが違います。

【ノースライム】 どこが違うと考えてます?

【サキ弁護士】 大企業はシェアが必要です。弁護士は離婚のシェア、相続のシェアなんて考えないじゃないですか?

【サキ弁護士】 いらない

【サキ弁護士】 年間3000万なのか、1億なのか、それだけ得られればいい。※ミニマムの場合

【ノースライム】 ですね。

【ノースライム】 んでもって紹介中心なら先ほどの三方よしを意識すればいい

【サキ弁護士】 最初は同級生でも交流会でも我慢して出て、Facebookとかつながって「離婚得意です、残業代まかせて、誹謗中傷あったらいって」ってやっていけば余裕で相談来ます。人はそれらの課題に対するソリューション群として弁護士という認知があるからです。
逆に、他の弁護士との差別化のために、①を満たさないような専門を名乗ると、紹介者の頭で繋がっていないので、紹介が生まれにくい。

【ノースライム】 広告戦略だったらどう考えます?

【サキ弁護士】 広告も基本は同じです。

【ノースライム】 同じ

【サキ弁護士】 3000から1億なら、アシロさんなどのポータル。これは、ベリベさんだろうがアディーレさんだろうが1人事務所だろうが平等に問い合わせきます。

【ノースライム】 そうすると仕事が来ない人ってなんなんでしょうね?

【サキ弁護士】 「仕事がこない」をしっかり分解する必要あるとおもってて

【サキ弁護士】 ①問い合わせがこない②受任ができない③報酬がえられない

【ノースライム】 確かにそれらをごちゃっと主張している感はありますよね。

【サキ弁護士】 ③に関しては、勝訴率に多少の差はあれど、メジャー分野ならそこまで変わらないと思うので③で悩んでる人は少ないかなと

【サキ弁護士】 ②に関しては、トレーニングしてない人が多すぎる気がします。いきなりバッターボックス(=法律相談)にたって、ヒット(=受任)打てません。無理です。

【ノースライム】 どんなトレーニングをすべきです?

【サキ弁護士】 営業(商談)については、世界中で莫大な金額をかけて研究されています。本を何冊も読むとか、営業の知り合いに聞くとか

【サキ弁護士】 一番有効なのはロールプレイングですね。例えば、保険のプルデンシャルとかのTOT(トップの人)とかに言って保険契約する代わりにロールプレイングに付き合ってもらうとか

【サキ弁護士】 私自身もいろいろな営業研修をうけ、商談トレーニングをしました。

【ノースライム】 おー。

【サキ弁護士】 ①に関しては、動線不足です

【サキ弁護士】 事務員不要論はよくみますが、問い合わせ対応事務員は絶対におくべきです。で、法律相談の概要を聞いてアポイントにつなげる。ポータルに課金して、自社HPをある程度しっかりさせれば必ず問い合わせは来ますが、それを捌けないというのが多い気がします。

【ノースライム】 これを弁護士自身がやらない方がいい理由ってあります?

【サキ弁護士】 精神にくるからです…。あと、忙しかったりして電話でられなかったりしますよね。

【ノースライム】 スタッフだと大丈夫なのはなんでなんでしょう?

【サキ弁護士】 人間はバイアスがあるので、弁護士が直接的に「受任確度の低い相談」を聞いちゃうと、「あ、やっぱりポータルサイトはダメだ」って判断しちゃう。弁護士の精神を保つためにも、そこに人を挟むことは重要だと思っています。

【ノースライム】 なるほど。

【ノースライム】 あとはTwitterランドにひとことくださいw

【サキ弁護士】 先輩方が100年間、1枚1枚信頼を重ねてくれたから、私たちが「弁護士」として食えているし、社会的信用を得られているので、少なくともその信頼を損なうようなことはしてほしくないなーと思っています

【ノースライム】 すごい綺麗な発言だ

【ノースライム】 もっとぶっちゃけて

【サキ弁護士】 どれだけ優秀な人がこの業界にくるか、がその業界の命運を決めると思うので。私は、先輩方の積み重ねた信頼を少しでも多く積み重ねて後輩にバトンパスする義務があると思ってやっています

【ノースライム】 どんな発言が信頼を損ねたり優秀な人が逃げていく原因になると思います?

【サキ弁護士】 うーん

【ノースライム】 もちろん受け取る人次第でしょうけど

【サキ弁護士】 「今から弁護士になるのは勧めない」とか「弁護士は斜陽」だとか、人口減と弁護士増だけで語りすぎな気はしています。
誹謗中傷対応とかもそうですが、新しい紛争類型はどんどん増えるし、権利だって増えていく(ここでは人権の固有性や普遍性とかはおいといて)じゃないですか
 なにより、IT化や大手がCMなどで需要を掘り起こしてくれるので、弁護士へのアクセスはしやすくなり、市場自体は拡大していくと思います。

【サキ弁護士】 そして、市場の性質上「ゼロサム」というか「大手が寡占する」ことには絶対になりません。等しく全員が楽に儲けられる訳ではないとおもいますが。

【ノースライム】 それはそうですね。

【ノースライム】 いや参考になりました。お疲れさまでしたw

【サキ弁護士】 はい!

【サキ弁護士】 楽しかったです!

【サキ弁護士】 なにか参考になればいいですがw

【ノースライム】 なると思いますよ!

【サキ弁護士】 それならよかった!またおねがいします!

【ノースライム】 こちらこそ!


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