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個人情報保護法に特化した弁護士ってなにやってるの?(要約版)

個人情報保護法に特化した業務を行っている板倉陽一郎先生に対するインタビューの再生リストです。

ぜひ動画もご覧ください。

1.対談形式の要約

北(司会)「皆さんこんにちは。本日は弁護士の板倉陽一郎先生をお招きし、個人情報やデータ活用にまつわるお話をうかがいます。板倉先生、本日はよろしくお願いいたします。」


板倉陽一郎(弁護士)「こちらこそ、よろしくお願いします。今日は事務所に来ていただいてありがとうございます。」


「さて、板倉先生は個人情報保護法を中心とした“データ法務”の分野で第一人者として活躍されていると伺っています。まずは、先生がどのようにしてこの分野に興味を持たれたのか、お聞かせいただけますか?」


板倉「いわゆる“データ法務”という言葉が、昔はあまり一般的ではなかったんですね。私自身はもともと、行政機関に出向していた時期がありました。そこでは国際会議の場などで、世界各国の個人情報保護制度やプライバシー規制が論じられていました。しかし日本では、当時まだ『そんなに詳しく研究している人が少ない』という状況だったんです。そこで『誰もやっていないなら、自分がやってみよう』と思ったのがきっかけです。」


「なるほど。まさに“ブルーオーシャン”を切り拓くような形だったわけですね。行政機関や国際会議では、具体的にはどのようなお仕事をされていたのでしょう?」


板倉「たとえばOECDのプライバシーガイドラインなど、各国のプライバシー保護当局の会議に参加していました。海外ではGDPR(EU一般データ保護規則)などをはじめ、個人情報保護が厳しく規定されています。各国の代表はコミッショナー、要するに政府機関のトップが来るわけです。ところが、当時の日本はまだ専任の個人情報保護委員会がなかったり、担当省庁も分散していたりして、国としての体制が整っていませんでした。そんな中で、日本がどう対応すべきかを検討しながら国際会議に出席していたんです。」


「海外の制度を調べるだけでなく、実際に国際会議にも足を運んでいたと。だいぶハードスケジュールだったんじゃないですか?」


板倉「そうですね。年に何度か出張があって、ヨーロッパや南米など各地を飛び回りました。とくに冬のパリ出張なんかは気温が低くて大変でしたね(笑)。それでも各国の最新動向を知ることは、非常に勉強になりました。」


「では、いざ日本に戻ってきてからは、データ法務の専門弁護士として具体的にはどのようなお仕事をされるのでしょう?」


板倉「企業側が『この個人情報を使って新しいサービスを始めたいんだけど、法的に問題はないか』と相談に来られることが多いです。たとえば、ユーザーのデータを分析してマーケティングに活かす、あるいは行政機関と組んで住民向けにサービスを提供するといったケースです。その際に、個人情報保護法や各自治体の条例、さらに海外に展開する場合はGDPRなどの海外法規制が絡んでくるので、どういうスキームなら適法か、どのタイミングで通知や同意を取るべきかなどをアドバイスします。」


「最近はAIやビッグデータといったキーワードもよく聞きますが、そうした技術との関わりはありますか?」


板倉「もちろんあります。AIを活用しようとする企業は、必然的に大量のデータを扱います。そのデータに個人情報が含まれるとなると、利用目的の特定や本人同意の取得方法など、法律的な検討が欠かせません。さらに機械学習のために第三者へデータを提供するなら、そこでも法的リスクが発生します。」


「確かに。データを扱うといっても、きちんとした体制づくりが求められますよね。ところで、板倉先生のようにこの分野に精通した弁護士さんが増えないのは、なぜだと思いますか?」


板倉「一つはやはり、専門性が高いという点ですね。個人情報保護法だけでなく、海外法や省庁ごとに異なる規制、技術的な知識も必要になります。あとは企業が『データ法務に十分な予算をかけられるか』という問題もあるかもしれません。まだまだ予算を組む企業が多くはないので、なかなか“食べていける”分野だという認識が浸透していないのかもしれません。」


「なるほど。とはいえ、DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れもあって、今後はデータ活用がますます重要になりそうです。そういう意味では、若手の弁護士さんにとってもチャンスですよね。」


板倉「そう思います。データ法務は、確かに入り口は難しく感じるかもしれませんが、一度仕組みを理解するとやりがいがあります。まだ専門家が多くないので、『誰もやっていないからこそ、自分が第一人者になれる』可能性が高いともいえます。行政出向や海外留学などで国際的な制度に触れる道もありますし、企業の法務部に入り込んで実務を積む方法もあります。」


「なるほど。ところで先生は、普段とても多忙だとお聞きしていますが、どんなスケジュールでお仕事をされているのですか?」


板倉「私は夜型というか、夕方から夜にかけて執筆や調べものをすることが多いですね。昼間はクライアントとの打ち合わせが入りますが、夜になると海外とのやり取りもありますし、ドキュメントをまとめたり契約書をチェックしたりしています。ちょっと仮眠してまた作業、というサイクルの時期もあります。好きでやっているのであまりストレスはないですね。」


「いやあ、聞いているだけで目まぐるしいですが(笑)。それだけ研究熱心で情報収集力があるからこそ、世界的な規制にも即応できるんですね。最後に、これからデータ活用に取り組みたい企業や、同分野に興味をもつ学生や弁護士の卵に向けてアドバイスをいただけますか?」


板倉「まずは、個人情報保護法やGDPRなどの基本的な法令を一度しっかり読み込み、具体的なイメージを持っていただきたいです。例えば、『どういうときに本人の同意が必要なのか』『行政機関と組む場合はどこの条例が適用されるか』など、実際のビジネスシーンを想定して学ぶと理解しやすいです。あとは、セミナーや学会に足を運んでネットワークを作るのも大事ですね。同じ分野に関心を持つ仲間が増えれば、自然と情報や知識の共有が活性化しますから。」


「ありがとうございます。本当にデータ法務は奥が深いですね。それこそ行政と民間、国内と海外が入り混じっているので、やりがいも大きいと思います。今日は長時間にわたってさまざまなお話を聞かせていただき、ありがとうございました。」


板倉「こちらこそありがとうございました。今後もぜひ、個人情報やデータ活用の課題を一緒に考えていければ嬉しいです。」


「はい、またぜひよろしくお願いします。それでは本日は弁護士の板倉陽一郎先生にお話をうかがいました。皆さま最後までご覧いただき、ありがとうございました。」

2.より時間がない人のために
・対談の概要

  • 司会の北さんが、弁護士の板倉陽一郎先生に「個人情報保護・データ法務」についてインタビューする形で話が進む。

  • 板倉先生は、行政出向の経験や国際会議への参加経験から、国内外の個人情報保護制度に詳しい。

  • データ活用の重要性が高まる中で、企業からの相談内容や弁護士としての活動実態を紹介している。

  • 板倉陽一郎先生の経歴・専門性

    • 行政機関に出向していた時期があり、海外の個人情報保護制度や国際会議(OECD、GDPR関連など)に参加していた。

    • 当時の日本には、まだ専任の個人情報保護委員会がなく、政府の体制が整っていなかったため、海外との比較検討を担当していた。

    • 海外出張を多くこなし、世界の規制動向を直接学んだ経験がある。

  • データ法務(個人情報保護法を中心とした業務)の現状

    • 企業からの主な相談は「個人情報を使った新規サービスやビジネスモデルを適法に実施したい」というもの。

    • 国内法(個人情報保護法や自治体の条例)だけでなく、EUのGDPRなど海外法にも対応する必要がある。

    • AI、ビッグデータ活用など大量のデータを扱う企業では、本人同意の取得や第三者提供などの法的リスクを慎重に検討しなければならない。

  • 専門家が少ない理由・分野の将来性

    • 規制が複雑・多岐にわたり、技術知識もある程度必要なため、参入のハードルが高い。

    • 企業側もデータ法務に予算を割く文化がまだ十分には根付いておらず、専門性を活かして“食べていける”と考える人が少ない。

    • DXの進展でデータ活用が重要になっており、今後は若手弁護士にとってチャンスが大きい分野でもある。

  • 具体的な業務内容とスケジュール

    • 昼間はクライアントとの打ち合わせが中心。夜間は海外とのやり取りや執筆・契約書チェックなどに時間をあてる。

    • 板倉先生自身は夜型で、仮眠を挟みながら集中して作業するスタイル。

    • 業務は多忙だが、好きでやっているのでストレスは少ない。

  • 若手や企業へのアドバイス

    • まずは個人情報保護法やGDPRなどの基本法令をしっかり読み込み、実際のビジネスモデルと結びつけて学ぶ。

    • セミナーや学会へ参加してネットワークを作ると、情報・知見が共有されやすくなる。

    • 行政出向や海外留学など、多角的に知識を得る道がある。企業法務部で実務を積む方法も有効。

  • まとめ

    • データ法務は国内外の法規制や技術的背景など、学ぶ範囲が広いが、やりがいが大きく将来性も高い。

    • 板倉先生は海外での知見や行政機関での経験を活かし、企業に対して法的アドバイスを行っている。

    • 今後も個人情報保護・データ活用分野は拡大が見込まれ、多くの専門家が求められるだろう、という結論で対談は締めくくられている。


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