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弁護士匿名インタビュー(キト先生、地方都市、60期台)

【キト】が参加しました。

【ノースライム】 さて、よろしくお願いします。

【キト】 はい、よろしくお願いします!

【ノースライム】 さて、先生の期は何期でいらっしゃいますでしょう?

【キト】 60期代です。誰かと同期ですw

【ノースライム】 独立をされてどれくらいですか?

【キト】 もう15年目ですね。

【ノースライム】 おー。早い。

【ノースライム】 事務所がある場所はどんなところでしょう。都会、地方都市、田舎、その他。

【キト】 地方都市ですね!

【ノースライム】 人口ってどれくらいですか?

【キト】 70万~100万人の範囲内です。ちなみに、都会に支店を一つ持っています。

【ノースライム】 支店ということはまず地方都市に事務所を構えてそこから支店展開をしたということですね。

【キト】そうです!地方都市が本店、それで都会に一つ支店をもっています。

【ノースライム】 その地方で開業したのは何故でしょう?

【キト】 地方都市で開業した理由は、地元だからです。あと、当時結婚する予定だった今の妻が東京で暮らすのは嫌っていうからw

【ノースライム】 地元なんですね。

【キト】 あとは、当時弁護士がこれから増えるぞと言われていた時代で、いち早く地盤を築くことが大事という戦略もありました。その場合は、地方都市の方がいいかなと。

【ノースライム】 そうすると独立前も戻っていた感じですか?

【キト】 そうですね、弁護士登録当初から地方都市です。

【ノースライム】 おお、じゃあかなり戦略的ですね。

【キト】 むふ

【ノースライム】 独立もかなり早いですよね?

【ノースライム】 イソ弁ってどれくらいやってました?

【キト】 そうですね!登録3年目の1日目から独立です。

【キト】 2年間

【ノースライム】 ちょい早めですね。

【ノースライム】 今の事務所の構成ってどんな感じですか?

【キト】 今は弁護士が少し減って弁護士8名、スタッフ11名です

【ノースライム】 おお、でかい。

【ノースライム】 地域ではかなりの規模なのでは

【キト】 そうですね、只今弁護士絶賛募集中です。3人は増やしたい。

【ノースライム】 今採用難易度かなり高いですからね~。

【キト】 ほとんど東京、大阪に持っていかれますw

【ノースライム】 事務所どんな感じで大きくなっていきました?

【キト】 最初は依頼0、顧問0、貯金も0でした。経営者団体に入ったり、地域の役職を受けたりして少しずつ信頼を得て、紹介が増えていった感じです

【キト】 あとは目の前の事件をひたすら頑張って、リピーターが増えていきました

【ノースライム】 貯金0は危うすぎるw

【ノースライム】 最初はひとりで開業しました?

【ノースライム】 それとも複数人で開業しました?

【キト】 複数で開業しましたが、経営方針や弁護士道が合わず、今は二人で経営しています。

【ノースライム】 その方は最初から一緒の方ですか?

【キト】 そうです!

【ノースライム】 経営方針があわないってどんなところがあわなかったんでしょう?

【キト】 なかなかいいづらいですが…

【ノースライム】 むしろそういう話を聞きたいのです。

【ノースライム】 皆。

【キト】 事件を放置してしまう方で、報酬だけは事務所の規程の倍くらい取っていることが発覚したり

【ノースライム】 想像を超えてきたw

【キト】 スタッフからのリークで発覚しましたw

【ノースライム】 おお…スタッフの方との繋がり大事ですね…。

【ノースライム】 他にはどんなことが?

【キト】 クライアントとのトラブルが多かったですね

【ノースライム】 どんなトラブルが多かったですか?

【キト】 一番は放置、二番目は報酬が高すぎるという問い合わせ、三番目はその弁護士の言っていることがわからないwまあ、本当に色々です

【ノースライム】 そりゃ分裂して当然ですねw

【ノースライム】 最初は3人だったんですか?

【キト】 ですね

【キト】 クレームが多すぎて一緒にやれませんと正直に言いました

【ノースライム】 正しい。

【ノースライム】 あっさり辞めてくれました?

【キト】 うちはスタッフともワンチームでやっている事務所なので、スタッフからも三下り半をつけられていると話したら引き下がってくれました

【ノースライム】 おお、良かったです。

【ノースライム】 その後どんなペースで事務所は成長していきましたか

【キト】 その後弁護士2名、スタッフ1名くらいまでに減ったと思います。で、解体するかどうかを協議したけど、やっぱり一緒にやっていい事務所を創ろうって話になり、そこから奮起して、3~4年後には市で一番大きな規模になりました。

【ノースライム】 おお、すごい。

【ノースライム】 事務所を大きくするには
・お客さんが来ること
・採用ができること
・採用した人がいついてくれること
が必要だと思います。

【キト】 まさにそうですね
・マーケティング
・採用
・人材育成

【ノースライム】 そうそれです。

【ノースライム】 ワンチームで動いているとのことですけどどんなこと意識されてますか?

【キト】 うちは、事件ごとに弁護士とスタッフのチームを受任時に構成します。で、弁護士だけではなくサポートするリーガルスタッフも常に事件内容を共有して状況把握してもらい、役割分担しながら事件解決しています

【キト】 なので、スタッフも事件解決に寄与している意識、事件解決しなければという当事者意識が醸成されます

【ノースライム】 なるほど。スタッフが担当する役割ってどんなことですか?

【キト】 管財事件、後見事件、相続財産清算人事件、クレサラ事件などは訴訟等以外は書類作成を基本的にやってもらいます。もちろん、すべて弁護士が決裁してチェックしたり直していますが。

【ノースライム】 そうするとかなり主体的に事件に取り組むことになるわけですね。

【ノースライム】 そうそう。先生の事務所はかなりがっつりビジョンミッションクレドを設定しているじゃないですか。

【キト】 ですね

【ノースライム】 これはどういう経緯でそうなったんですか?

【キト】 それこそ事務所解体時になんでこの事務所をやる必要があるんだろう、この事務所の目指すところはどこだろうという話になったのがきっかけ
です

【キト】 当初は荒削りの理念でしたが、何度も改訂しました

【ノースライム】 ビジョンとか作ったけどメンバーに浸透できていない会社多いじゃないですか

【ノースライム】 どうやって浸透させていくんでしょう。

【キト】 そうですね。うちもまだまだ過渡期です。でも、2週間に一回の事務所全体のモーニングミーティングで繰り返し理念等についてあいさつなどで触れたり、

研修でクレドについて、クルー(弁護士、スタッフ)ごとに自分が考える定義、適用場面、効果などを発表してもらい、それらを共有し、学ぶ機会を持
っています

【キト】 それらの研修を昔はトップ主体でやっていましたが、今はクルーに担当してもらってやっています。運営もトップはやらない。

【ノースライム】 おー、クルー主導でできるようになったんですね。

【ノースライム】 合宿とかってされてます?

【キト】 合宿はしませんw

【キト】 働き方についても着目してますので

【ノースライム】 働き方についての着目とはどんなところでしょう。

【キト】 一律の勤務形態はとらず、弁護士、スタッフ問わず、育児や介護がある方、病気の方などは男女問わず勤務時間をずらしたり、テレワークを一部導入するなどしています

コロナ禍でテレワーク率80%を導入した実績を踏まえ、今度は持続可能な働き方を趣旨としてテレワーク制度を残しています

【ノースライム】 ほー。

【ノースライム】 続いてマーケティングのお話をお伺いしたいんですけど、今って事務所としてどんな仕事が多いですか?

【キト】 中小企業の顧問業務、裁判所からの依頼業務がメインです。そのほかに一般民事もやっています。

【ノースライム】 おお、裁判所からが多いんですね!

【ノースライム】 管財後見でしょうか?

【キト】 破産管財、後見、相続財産清算人。うちは全弁護士に裁判所から依頼が来ます。

【ノースライム】 そこは意識して力入れましたか?

【ノースライム】 それとも結果として来るようになった感じでしょうか。

【キト】 意識してですね。管財事件は少しずつ成果を出すとだんだん財団規模などが大きくなりますから。

また、若い弁護士にも依頼が来るように、新人弁護士が入所すると自分が新人を連れて破産の書記官室にいって書記官に名刺交換しに行きますw

【ノースライム】 おお!

【キト】 後見や相続財産清算人は名簿で回っているのであまり戦略的な動きはありませんが

【ノースライム】 中小企業の顧問業務ってどうやって増えていきましたか?

【キト】 "営者団体から生まれた人脈で少しずつ顧問が増え、その業務の成果を口コミでクライアントが広げてくれて更に依頼が増えてという感じです。

ここ5年間で倍くらいに増えました

【ノースライム】 人的なつながりとしっかり仕事をした口コミですね。

【キト】 そうですね!あとは、人脈が溜まってからは年に1回顧問契約のリーフレットを知り合いの会社に送っています。

それで顧問契約の検討をしていただくことも増えました。

【ノースライム】 顧問先って事務所全体で何社くらいですか?

【キト】 ざっくり200くらいです

【ノースライム】 おー、素晴らしい。

【ノースライム】 HP拝見すると建明の料金表があったんですが多いんでしょうか。

【キト】 そこまで多くはありませんが、おそらく年間5~10件くらいでしょうか。

【ノースライム】 なるほど。

【ノースライム】 一般民事って広告とかやってますか?

【ノースライム】 それともご紹介でしょうか。

【キト】 お恥ずかしながら、うちの事務所は売上費で1%も広告料を使っていません。依頼の95%は紹介です。

【ノースライム】 王道ですね

【キト】 これから広告を使っての集客も成功していくことが課題です。

【ノースライム】 おお、なるほど。

【ノースライム】 地方都市でやっていることで意識していることはありますか?

【ノースライム】 それとも特に意識していないでしょうか

【キト】 インターネット全盛の時代ですが、各弁護士がネット広告やプラットフォームに負けないローカルタレント(私の作った造語)になることです。

【ノースライム】 具体的にはどんな状態ですか?

【キト】 地域で成果を出して頼られる有名人になることですw

【キト】 経済界、政界その他社会で活躍している方はネットで弁護士を探すようなことはしませんから。

【キト】 ご自身の人脈と情報でいい弁護士を探す

【ノースライム】 この地域で●●といえばあの先生!みたいな感じですね

【キト】 そうですね

【ノースライム】 人脈に引っ掛かりやすい人ですかね

【キト】 そうですね

【キト】 ネットで弁護士を探す方と人脈で弁護士を探す方は層が異なりますから。

 【ノースライム】 確かに「層」が違いますね。

【ノースライム】 ちなみに事務所全体の売上ってどれくらいですか?

【ノースライム】 ここ数年。

【キト】 ざっと2憶~3憶の間ですね

【ノースライム】 おー。

【ノースライム】 数値目標とかあります?

【キト】 毎年立てています

【ノースライム】 おお、事業計画も立ててますねそうすると

【キト】 ですです

【ノースライム】 そういうのってどこかに相談しながら作ってますか?

【キト】 いえ、自分で作っています。あと、日弁連が出している統計とかを参考に比較して作成しています。

【ノースライム】 ほぉー!

【ノースライム】 最初に話に出てましたけど都会に支店作られたじゃないですか

【キト】 はい

【ノースライム】 これはどういった目的で作ったんでしょう。

【キト】 きっかけは家の近くにも事務所を立てたいといった弁護士がいたものでして。あとは支店を立ててみてどんなものか経験が欲しかったのがあります。

【ノースライム】 家の近くw

【キト】 それでやれそうならまた立ててみようかなと

【ノースライム】 実験的な側面がかなりあるんですね。

【キト】 そうですね!

【キト】 何事もやってみないとわからないですから

【ノースライム】 最後に事務所でSDGs打ち出してるじゃないですか

【キト】 はい

【ノースライム】 これはどういった理由でこうなったんですか?

【キト】 SDGsの考え方に触れたときに、SDGsが経営にも通じる面があると思ったのと

【キト】 弁護士として、単なる事件解決だけでなく、あらゆる課題にアプローチできれば解決力の幅も上がる

【キト】 そう感じました

【ノースライム】 単に打ち出すだけじゃなくて法律事務所でSDGsに説得力持たせるって一筋縄じゃ行かないと思うんですよ

【ノースライム】 どんなこと意識しました?

【キト】 法律事務所でSDGsは大変だという感性はありませんでした。この業界は古くからの業界の固定観念みたいなのが強く、逆にそれが弁護士事務所の成長を阻害している。働き方も、SDGsもそうですが、その固定観念から飛びだして初めて他の事務所との差別化や、価値の形成につながると思っています

【キト】 ノースラさんも尖っていますよね。そこがすごく価値だと思います。

【ノースライム】 とがっている自覚はないんですが…。

【キト】 SDGsのゴール17はパートナーシップで課題解決をしようという考え方です。弁護士による事件解決にもその手法、考え方は通じるものがあります。

【キト】 要は、弁護士も弁護士だけでは解決していなくて、政治家、税理士、不動産会社、裁判所その他あらゆる業種の方と連携して事件解決をするじゃないですか。同じです。

【ノースライム】 そろそろ時間なのですが、これから地方都市で開業したいなぁと思っている若人(でなくてもいいんですが)がいたらどんなアドバイスされますか?

【キト】 ①1つでいいからその地域で誰もやっていないことをやり続けましょう

②地域の人に知ってもらうため、とにかく外に出続けましょう

【ノースライム】 なるほど。

【ノースライム】 うん、参考になりました!ありがとうございます!

【キト】 こちらこそ、ありがとうございました!
 

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