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性犯罪被害者側の弁護士の川本先生に聞いてみた(要約版)


性犯罪の被害者側の活動を中心に行っている川本瑞紀先生に対するインタビューを要約しました。

ぜひ動画もご覧ください。

1.対談形式の要約

司会者
「それでは川本先生、今日はよろしくお願いいたします。」

川本先生
「よろしくお願いします。」

司会者
「今回は、性犯罪の被害者支援にご尽力されている川本先生にお越しいただきました。川本先生は、多くの被害者支援に携わっていらっしゃいます。まずは、簡単に自己紹介をお願いします。」

川本先生
「自己紹介は苦手なんですが…。弁護士の川本と申します。旧司法試験を経て、61期になります。特に、性犯罪の被害者支援に力を入れているのが、私の仕事の特徴かもしれません。

他にも地域密着の法務、いわゆる町弁的な業務も取り扱っています。SARC東京の理事なので、自分が直接担当していない事件についても、支援員の方々から意見を求められることが多々あります。」

司会者
「なるほど。特に性犯罪被害者への支援に注力されているとのことですが、具体的にどのようなお仕事をされているのか、伺ってもよろしいでしょうか?」

川本先生
「性犯罪の被害者支援には、いくつかの重要なパターンがあります。まず、被害者が加害者からの謝罪の手紙を受け取ったケースなどですね。この場合、謝罪が無神経だったり失礼に感じたりして、逆に憤りを覚える被害者の方もいらっしゃいます。そのような時は、急を要しない場合もありますが、心のケアが重要です。

また、逮捕後すぐに混乱している状況での示談交渉を求められることもあります。」

司会者
「逮捕直後の示談交渉は、やはり迅速な対応が求められるのですね。」

川本先生
「そうですね。被害者が加害者側の弁護人と直接話すことに恐怖心を抱くケースも多く、急ぎの対応が必要です。

また、警察に相談しても事件として取り扱ってもらえないとき、どの証拠が有効かを検討する段階もあります。このように段階ごとに異なるアプローチが必要です。」

司会者
「確かに、被害者の方の心情に寄り添った対応が求められますね。では、川本先生が実際にどのように支援を進められるのか、伺ってもよろしいですか?」

川本先生
「はい。まずは被害者の方がどうしたいかをしっかりとお聞きします。たとえば、検察が警察に対しても示談交渉や刑事事件化に関する指導を行う際には、民事崩れにしないよう注意が必要です。これは、金銭目的で刑事事件化を利用することのないよう、警察や検察に慎重に対応する姿勢を促すためのものです。」

司会者
「非常にデリケートな対応が必要になるのですね。被害者の方の思いを尊重しつつ、適切なアドバイスを提供されているのですね。」

川本先生
「そうですね。また、性犯罪被害者の場合、事件後のPTSDなど精神的影響が大きいため、通常のコミュニケーションとは異なることがあります。

たとえば、つらい経験を語る際、表情や話し方が感情と合わないことが多々あります。被害者が涙を流すタイミングも独特で、時折、まるで人形のように静かに泣かれることもあります。」

司会者
「そうしたお話を聞くには、かなりの理解力と共感力が必要になりそうですね。」

川本先生
「そうなんです。相手がどういった表情で、どのような話し方をされているのかに注意し、感情を抑えた対応が必要です。

また、試し行為と呼ばれる、弁護士に対する信頼を試すような行動が見られることもあります。初めての面談で喧嘩腰に話されたり、全く違う話題を持ち出されたりするのですが、それも一種の信頼形成のプロセスなのです。」

司会者
「なるほど。信頼関係を築くためには、あえて対応を試されるようなこともあるんですね。それが理解できるまでは難しいかもしれません。」

川本先生
「ええ、ですから、私は面談を通常1時間半で設定しています。最初の30分は、信頼を得るための試される時間だと考えて臨んでいます。」

司会者
「そこまで考えて面談に臨まれているのですね。それが川本先生の経験と技術の積み重ねによるものなのでしょうか?」

川本先生
「そうですね。ただ、面談が長引きすぎると、被害者の負担も増えてしまうので、適度なところで切り上げるようにしています。被害者にとっても長時間の聞き取りは大変ですから。」

司会者
「聞き取りの重要性と同時に、負担軽減も考慮しながらの対応が求められるのですね。警察や検察もそうした必要性を理解して対応されているのでしょうか?」

川本先生
「最近は少しずつ改善が進んでいると思います。以前は被害者の心理に対する理解が乏しかったのですが、組織の方針として被害者のケアを重視するよう決まったことで、対応が随分と変わりました。」

司会者
「組織方針の影響が大きいのですね。川本先生のように、被害者支援に取り組みたい新人弁護士や学生に、アドバイスをお願いできますか?」

川本先生
「まずは、被害者の視点に立った刑事手続きの動きを学ぶこと、そして、被害者への聞き取り方を学ぶことが大切です。

また、支援員用の本や公的機関のマニュアルに記載されている方法論なども学ぶと良いと思います。情報はあちこちに散在していますが、丹念に学び続ける姿勢が大事ですね。」

司会者
「貴重なご意見をありがとうございます。被害者支援に関する情報収集がどれだけ重要か、よく理解できました。」

川本先生
「情報を正確に把握し、発信し続けることで、被害者の方々の助けになることを願っています。また、支援活動を進める際に正しい情報を提供することも、大きな責任だと感じています。」

2.より時間がない人のために
・川本先生の紹介

  • 性犯罪被害者支援を中心に、地域密着型の法務も行う。

  • 支援員から意見を求められることもあり、幅広く活動。

  • 性犯罪被害者支援の実務

    • 被害者が加害者の謝罪に憤りを感じるケースへの対応。

    • 混乱状態での示談交渉や心のケアの重要性。

    • 警察に対応されない場合の証拠収集アドバイス。

  • 被害者とのコミュニケーション

    • まず被害者の希望を聞く姿勢を重視。

    • PTSD等の影響で感情表現が異なることへの理解。

    • 試し行為(信頼を試す行動)に対し、冷静に対応。

  • 信頼関係の構築

    • 面談を1時間半に設定、最初の30分で信頼形成を図る。

    • 面談が長引かないように負担軽減にも配慮。

  • 組織方針の変化

    • 警察や検察が被害者心理に理解を示すよう改善。

    • 組織方針の変化が被害者支援に影響。

  • 新人弁護士や学生へのアドバイス

    • 被害者視点の刑事手続きの理解が重要。

    • 被害者支援の聞き取り方法や支援員用マニュアルの学習を勧める。

    • 正確な情報発信が被害者支援に不可欠。

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