環境法の猿倉先生に聞いてみた(要約版)
「環境法」を業務の柱の一つにされている牛島総合法律事務所の猿倉先生に対するインタビューを要約しました。
ぜひ動画もご覧ください。
1.対談形式の要約
北:
「本日はよろしくお願いします。」
猿倉:
「よろしくお願いします。」
北:
「本日は牛島総合法律事務所の猿倉先生にお越しいただきました。では早速ですが、簡単に自己紹介をお願いできますか?」
猿倉:
「はい。牛島総合法律事務所のパートナー弁護士をしております猿倉と申します。北先生とは司法修習同期で、もう15年以上この事務所で勤務しています。我々の事務所は企業法務がメインで、国内外の幅広い分野を扱っています。
私は主に環境法関連を担当しており、具体的には土壌汚染、水質汚染、最近ではSDGsやTCFD関連の案件も増えてきています。他の弁護士があまり手掛けないニッチな分野を扱うことが多いのが私の特徴です。」
北:
「環境法という分野についてお伺いしたいのですが、いわゆる“環境法”と呼ばれる法律はどういったものが含まれるのでしょうか?」
猿倉:
「環境法というのは、実際には単独の法律ではなく、多数の関連法令の集合体です。日本では環境関連の法律が40—50種類ほどあります。有名どころだと、土壌汚染対策法や水質汚濁防止法などがあります。また、ダイオキシンやPCBといった特定物質に関する規制法、さらには温暖化対策推進法、省エネ法なども環境法の一部といえます。」
北:
「法律ごとに対象企業が異なると思いますが、猿倉先生のところにはどのような相談が多いのでしょうか?」
猿倉:
「典型的なのは不動産関係や建築関係の企業です。例えば、土地に土壌汚染が見つかったり、建物内にアスベストが含まれていたりといった問題があります。また、製造業の企業からの相談も多いです。製品製造過程で使用する化学物質や排水の処理方法に関する法的な確認依頼が多いですね。」
北:
「実際にそのような相談が来た場合、最初に何を調べるのでしょうか?」
猿倉:
「まずは問題となる物質や行為がどの法律に該当するのかを確認します。例えば、廃棄物処理法に該当する場合、その処理方法や規制の有無を調べます。また、条例も重要で、都道府県や市区町村によって規制内容が異なるため、現地の条例も確認します。特に自治体のガイドラインや指導要項まで含めて細かく調査する必要があります。」
北:
「環境法の仕事の中で特に難しいと感じる部分はありますか?」
猿倉:
「一番の難しさは、規制が自治体ごとに異なり、頻繁に改正される点です。例えば東京都では、1年で8回も条例が改正されたことがあります。また、行政の担当者によっても解釈や対応が異なることが多く、その都度柔軟に対応しなければなりません。」
北:
「環境法に特化した弁護士はまだ少ない印象ですが、この分野に興味を持った新人弁護士や学生に向けてアドバイスをいただけますか?」
猿倉:
「まずは環境問題全般に興味を持つことが大切です。最近ではSDGsや循環型社会といったテーマが注目されていますので、それらに関連する法律やビジネスの流れを勉強するのが良いと思います。また、廃棄物処理法や再生可能エネルギーに関する規制は今後ますます重要になるので、この分野から入るのもおすすめです。」
北:
「最後に、これから環境法の分野での需要はどうなるとお考えですか?」
猿倉:
「規制が緩和されることはほとんどなく、むしろ厳しく、詳細になっていくと考えています。そのため、企業が環境法を適切に遵守するためには、弁護士のサポートが不可欠です。この分野で活躍する弁護士が増えることを期待しています。」
北:
「本日は貴重なお話をありがとうございました!」
猿倉:
「ありがとうございました。」
2.より時間がない人のために
自己紹介
猿倉先生は牛島総合法律事務所のパートナー弁護士。
主に環境法を専門に、土壌汚染やSDGs関連の案件を担当。
ニッチな分野を中心に取り扱うのが特徴。
環境法の定義と範囲
環境法は単独の法律ではなく、複数の関連法令(40~50種類)の集合体。
主な法律:土壌汚染対策法、水質汚濁防止法、温暖化対策推進法、省エネ法など。
相談内容の傾向
不動産や建築業界からの相談が多い(土壌汚染、アスベストなど)。
製造業の企業からは排水処理や化学物質に関する法的確認が多い。
業務内容
問題となる行為や物質がどの法律に該当するかを調査。
自治体ごとの条例やガイドラインまで詳細に確認。
行政対応が重要で、規制が地域や担当者ごとに異なる点が難しい。
環境法の課題と魅力
地域ごとの規制の違いや頻繁な改正への対応が困難。
行政対応の裁量が大きく、交渉次第で状況が変わるのが面白い。
環境問題は将来的に規制が強化される見込みが高い。
新人弁護士へのアドバイス
環境問題全般やビジネスの流れに興味を持つことが大切。
SDGsや循環型社会、廃棄物処理法などから学ぶのがおすすめ。
法律知識だけでなく、ビジネスニーズを理解する視点も必要。
今後の展望
環境法分野での弁護士の需要は増加すると予想。
法規制が厳格化する中、企業への法的サポートの重要性が増す。
猿倉先生は、環境法分野の啓蒙と後進の育成を重視。