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弁護士のメンタルヘルス問題について

【三浦先生】が参加しました。

【ノースライム】 本日はよろしくお願い致します。

【三浦先生】 はい、よろしくお願いします。

【ノースライム】 今日は、弁護士に対するメンタルヘルス、カウンセリングを提供しているamiの三浦先生に来ていただいております

【ノースライム】 よろしくお願い致します

【三浦先生】 よろしくお願いいたします。

【ノースライム】 早速なんですが、amiとはどんなサービスになるんでしょうか。

【ノースライム】 Ami Assistですかね。

【三浦先生】 amiのサービスは大きく3つに分けることができまして、

①弁護士個人の方がご利用されるオンラインカウンセリングサービス(裁判官や検察官、法曹三者のご家族の方もご利用可能で、実際にご利用いただいています。こちらがAmi Assistになります)

②法律事務所向けのサービス(業務負荷の調査・分析、コンサルティング、所属の弁護士や事務員向けのカウンセリングなど)

③講演会・研修会の実施

です。

【ノースライム】 お、弁護士限定ってわけではないんですね

【三浦先生】 はい、主に利用者は弁護士の皆さんですが、①のサービスについては、弁護士に限らず、法曹関係者の方にご利用いただいております。

【ノースライム】 そもそも、このようなサービスを始めようと考えたきっかけはなんでしょうか。

【三浦先生】サービスを始めるきっかけは、自分が弁護士1年目の時に業務の負担や事務所内の兄弁やパートナーとの仕事の進め方でかなり悩んだことがあり、それでメンタルヘルス不調(うつ病等の深刻なものではないのですが)になったことがあったのがきっかけですね。

そこから、自分が困ったので、他の人も同じように困っているのかなと思い、始めてみようと考えました。

【ノースライム】 実際に始めてみてどうでした?

【ノースライム】 予想と違ったこととか、予想通りだったこととか

【三浦先生】 予想としては、サービス開始当時はオンラインカウンセリングの普及率がまだ高いとは言えない認識だったので利用者はそこまで多くないだろうと踏んでいまして、開始当時のご利用者は実際にそこまでやはり多くなかったということで、予想通りでした。今では講演会等を通じて少しずつご利用が増えてきております。

予想外だったのは、講演の依頼が一定数いただけることでした。そもそも講演会・研修会を行うということを全く表に出してもいない時期からご依頼が来たので、そこは予想外でした。

【ノースライム】 おお、なるほど。

【ノースライム】 では講演の方からお聞きしますね。どのような団体から講演の依頼がくるのでしょうか。

【三浦先生】 弁護士会から来ることが多いですね。その他は、法律事務所、大学のOB会、出版社、弁護士会の派閥などが挙げられるかと思います。

【ノースライム】 弁護士会からくるんですね。

【三浦先生】 日弁連や大阪弁護士会など複数の弁護士会からもいただいております。

【ノースライム】 どのような内容の講演をして欲しいという依頼が多いのでしょうか。

【三浦先生】内容は、弁護士のメンタルヘルスに関連するところで、一般的なメンタルヘルスの知識(ストレスとは?どう対処すればいいのか?など)から、amiで行ったインタビューなどに基づいて作成した架空事例を元にした、具体的なメンタルヘルス不調への対処方法などです。

ご希望に応じて実施するので、その他、例えば、事前にアンケート調査を行い、その結果に基づいたご依頼主様の状況の分析をして、その傾向や対策を内容に盛り込むこともあります。

【ノースライム】 実際に受講した方の感想はどのようなものがありますか?

【三浦先生】 全体的には役に立った等の好印象な感想をいただくことが多いです。

特に、パートナー等の経営に携わる先生方は若手のメンタルヘルスを気にかけていらっしゃる方が多いようで、若手のメンタルヘルス不調への対応(どう気付くのか、どう対応するのかなど)については参考になったとのご感想いただくことがあります。

【ノースライム】 おお、なるほど。経営者目線での感想が多いのですね。

【三浦先生】 そうですね。若手の方のご参加もあるのですが、経営者層の先生方の関心が高めなように思います。

【ノースライム】 経営者として、若手のメンタルヘルス不調にはどのように気をつけたら良いのでしょうか。

【三浦先生】経営者サイドの先生方は、経営も実際の業務もあって忙しいことが多いと思い、そのため若手の不調に気付けないことが多く、そこが悩ましいようです。

また、若手とのコミュニケーションが難しいこともあるようで、業務の相談がうまくできない状況が続き、不調や離職の原因になっていることもあるようです。

そのため、経営者の先生方におかれては、可能な範囲で、若手の方々と日々のコミュニケーションを密にして、不調に気付きやすい状況を築くように心がけるのが良いのではないかと考えております。例えば、業務の合間に短時間でも構わないので雑談をしてみるのも良いかもしれません。

【ノースライム】 どのようなサインに気を付けると、若手のメンタルの不調に気付きやすいでしょうか?

【三浦先生】 業務から比較的わかりやすいサインは、普段と比較した際に、ミスが多くなっていること・レスポンスが遅くなっていることその他業務のクオリティに悪影響が生じていることなどです。この場合は、若手の先生方に何らかの問題が起きている場合があります。

あとは、身体的には、顔色が悪い等の普段との違いがヒントになります。実際に、私も普段よりも顔色が悪いということで、当時所属していた事務所の先生から「大丈夫か?」と声をかけてもらったことがあり、当時は実際に調子が悪いタイミングでした。そのため、表情や体調等もサインとしてわかりやすいかもしれません。

もちろん上記のサインはメンタルヘルス不調以外の不調を発見するヒントにもなりうるので、メンタルヘルス不調以外の問題もあるかもしれないと思っていただく方がよいかもしれません。

【ノースライム】 若手がメンタル不調の場合、経営者として対応に気を付けることはどんなことがありますでしょうか。

【三浦先生】

対応に気を付けることとしては、メンタル不調に気付き次第、できる限り早く医師等の専門家に繋ぐことかと思います。

弁護士の場合、我慢ができる人が多く、表に辛さを出さないようにされる人なども多いため、実際に第三者から見て不調に気付くことのできる状態になっているときは、既にメンタルヘルス不調の状態が結構悪くなってしまっていることが多いように見受けられます。

気付いた時には、うつ病直前であった、というような深刻な場合があることから、経営者としては、例えば、すぐに精神科・心療内科への通院を勧めることや、診療を受けるべきかの判断の参考にカウンセリングを受けてもらうなどして、専門家の手を早く借りるのがよいかと思います。

【ノースライム】 経営者としてアソシエイトに心療内科の・精神科の受診を進めるというのはなかなか気を遣うところだと思うのですが、どのように水を向けるのが良いと思いますか?

【三浦先生】 そこは難しいところで、実際にご質問を受けることもあります。

まずは若手の先生に受診の必要性を理解してもらうように努めることが挙げられ、例えば、朝食が食べられているか?十分に寝られているか?等の最近の状況を尋ねていき、若手の先生に、今自分が問題のある状況であることを理解してもらうように話を進めることがあります。

一方で、心療内科・精神科の受診についてはご抵抗があることもありますので、その抵抗の原因(例えば一生、精神科に通わないといけないという思い込みなど)を聴きつつ、その点の誤解等を解消していくこともあります。

ただ、ご抵抗がある場合は対応が難しいので、若手本人にカウンセリングを受けてもらうことで、事務所外の第三者である専門家から受診の必要性等を説明してもらうこと、または経営者の先生が医師やカウンセラーから受診の勧め方についてアドバイスをもらうことも、効果的な進め方だと思います。

【ノースライム】 今度は自身がメンタル不調になってしまった場合のことをお伺いしたいのですが、やはり若手が多いのでしょうか?

【ノースライム】 開業後に相談する人がおらず、メンタル不調にというパターンもあるのかと思いまして

【三浦先生】 若手の先生方がメンタルヘルス不調になりやすいと思いますが(実際に日弁連の調査でも5年目以下の先生がストレスを大きく抱えやすいという結果が判明しました)、ご指摘のとおり、経営者の先生方も同様に不調になる傾向があると思います。特に、経営不振になっている場合やこれからの経営に不安を抱えている場合がメンタル不調になりやすいようです。

経営されている先生方の相談先がないというのは、メンタルヘルス不調の原因にしばしばなっているようです。

【ノースライム】 どのような状態を自覚したら、メンタルの不調を疑った方がいいと思いますか?自覚するのも難しいのではないかと思います。

【三浦先生】 ご指摘のとおりで、普段業務をしている中で気付くのは難しい場合が多く、何らかのツールや専門家のアドバイスがあると気付きやすいかと思います。

例えば、無料で使えるツールとしては、厚労省の「こころの耳」というサイトで実施できるストレスチェックなどを試しにやってみて、その結果が悪ければメンタル不調を疑うという方法はあるかと思います。

上記のストレスチェックは会社で働く人を主に想定しているため、個人事業主向けにテスト項目を調整した「個人事業者等の方向けストレスチェック調査票(57項目)(暫定版)」という質問票もあるため、それをご利用されるのも一案かもです。

【ノースライム】 メンタル不調になると、具体的にはどのような問題(症状)が出ることが多いのでしょうか。

【三浦先生】 メンタル不調の状態としては、身体・メンタル・行動の3つの観点から確認できると思われます。身体であれば頭痛が多い・疲れやすいなど、メンタルであればいらいらしやすいなど、行動では、酒やたばこの量が増える・業務のミスが増えるなどは問題として挙げられるかと思います。

これらであれば、ご自身でも不調に気付きやすいかもしれないです。特に、皆さん、調子が悪くなると、どこかが痛くなる・調子が悪くなるなどといった感覚がなんとなくあるかと思うので(私の場合耳が痛い等が調子が悪いときの傾向です)、そのような感覚もヒントになると思います。

【ノースライム】 法曹(弁護士)がメンタル不調に陥ってしまう原因としてはどのようなものが多いと思われますか?

【三浦先生】 業務の負荷が非常に大きいのが原因になりやすいです。仕方のないことですが、業務量が多いため深夜・早朝・休日まで働くこともあるので、それで十分に休みが取れないことですね。

他にも、人間関係(特に依頼者との関係)が大きな負担になります。加えて、事務所によりますが、事務所内の人間関係も大きいように感じます。

【三浦先生】 業務の責任や経営・収入への不安も要因になりえますね。

【ノースライム】 同じような状況下にあっても、メンタルが不調になる人とならない人がいると思いますが、その違いはどこから来ると思いますか?

【三浦先生】 その点、個人差が非常に大きいところかと思います。

これまで同様の経験(業務量が多い仕事や責任の重い仕事等)をされている方は、メンタル不調になりづらいようです。なので、経験のある先生方はメンタル不調になりづらいようです。

また、性格的な要因も大きいかと思います。完璧主義や自責的な傾向が強い方は、メンタル不調になりやすいように思われます。

【ノースライム】 弁護士はどうしてもメンタルに負荷がかかりがちだと思います。なるべく不調まで至らないようにするには、どのような点に気を付けるべきでしょうか。

【三浦先生】 日常的にうまくストレスと付き合うのが重要かと思います。例えば、趣味があれば、休日はできる限り趣味の時間を確保すること等、自分のストレス解消を可能な限りしっかりとこなしていくのが大事かと思います(ご自身のストレス対処方法を見つけて実践する)。

また、ストレスと付き合うためには、体調管理も重要で、疲れを感じた時にはできるだけ早く寝ることや就寝・起床時間をなるべく一定の時間にする等の基礎的な生活習慣の改善も良いかと思います。

【ノースライム】 もし、自分がメンタル不調かもと思ったり、人からメンタル不調ではと指摘された場合は、具体的にはどのような対応を取ったらよいのでしょうか。

【三浦先生】 人からメンタル不調と指摘された場合、その指摘をひとまず受け止めて、セルフチェックができるのがベターかと思います。最近の業務量や業務のミスがどんな状況だったか等の業務面を確認したり、十分に寝る時間を取れているのか、運動はできているのか等の日常的な面を見直したり、人に怒りをぶつけていないか等の行動面も気にかけてみたりです。

そのうえで、問題がありそうなら、専門家のところに相談しに行くのが望ましいですし、もちろん人の指摘が常に正解ではないので、チェックの上で何もないということもあるかと思います。

【三浦先生】 自分で気付いた時にも同様の対応です!

【ノースライム】 カウンセラー、心療内科、精神科のどれに行くのがよいかはどのように判断するのでしょうか。

【三浦先生】 悩み・状態・症状によって分かれるかと思います。以下例えになりますが、

わかりやすいのは既に明確に重い症状が出ている場合です。この場合、心療内科・精神科に行き、薬をもらう必要があると思います(例えば、全然眠れないという状態なら薬で対処することになるかと思います)

一方で、自分の状態がわからない場合には、予約の取りやすさ等からカウンセラーのところに行くことや、何らかの体調の悪さがあれば、別の選択肢ですが、普通の内科の病院に行くのもありです。もちろん、この段階で心療内科や精神科に行くのも良いかと思います。

また、ご自身の悩みを整理したい・ストレス(メンタル不調)の原因を特定して、改善していきたいという場合には、カウンセラーがいいかと思います。

【ノースライム】 最後に、このnoteを見ている弁護士になにかメッセージがありましたらお願い致します。

【三浦先生】 弁護士は、先ほど言及した若手や経営者の先生に限らず、仕事の性質上、どなたでもメンタル不調になるリスクが高いです。もし仕事や生活で調子が悪いと感じている先生方は、まずは上記で紹介したストレスチェック等を使いセルフチェックをしてみることがおすすめです。

また、他の先生方も悩みながら日々の業務をこなされていることが多いと思いますので、知り合いの先生に悩みを相談してみることから、メンタル不調対策を始めてはいかがでしょうか。時には、医師やカウンセラー等の専門家に頼るのが効率的にメンタル不調を解決する術になります。

先生方が依頼者に思うときがあるように、医師やカウンセラーもなるべく早く相談に来てほしいと思っているようです。そのため、メンタルに不調を感じた際は、専門家に相談することを選択肢の一つとして念頭に置いていただけると困ったときの助けになります。

【ノースライム】 なるほど。

【ノースライム】 本日はありがとうございました!

【三浦先生】 こちらこそ貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました!

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