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行政事件の水野先生に聞いてみた(要約版)

行政事件を業務の中核としている水野泰孝先生に対するインタビューを要約しました。

ぜひ動画もご覧ください。

1.対談形式の要約

司会者:本日は水野先生にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いします。

水野先生:こちらこそ、よろしくお願いします。こんにちは。

司会者:水野先生は水野泰孝法律事務所の所長で、行政事件を中心に活動されていると伺っていますが、まず簡単に自己紹介をお願いできますか?

水野先生:はい。私は第61期の弁護士で、東京弁護士会に所属しています。独立して11年ほどになり、現在は私を含めて弁護士が3名いる事務所を渋谷区の恵比寿で運営しています。また、早稲田大学のロースクールで行政法の教員も務めており、今年で5年目になります。これからの進路についても考えつつ活動しているところです。

司会者:ありがとうございます。水野先生といえば、やはり行政事件を専門の一つとされていますよね。この分野に力を入れようと思われたきっかけは何だったのでしょうか?

水野先生:行政事件に興味を持ったのは、ロースクールで橋本先生から行政法を学んだことが大きかったです。橋本先生の講義で、行政法が単なる法律ではなく、行政の判断をどう捉え、住民との関係をどう解釈するかという理論的な面白さに触れ、魅了されました。その後、司法試験に合格して弁護士登録した直後から、行政法を仕事にしたいと思い続けていました。

司会者:興味を持たれたのはロースクール時代からなんですね。行政事件というと少し珍しい分野ですが、どのような案件が来ることが多いのでしょうか?

水野先生:行政事件には住民や国民側、行政側、そして事業者側といった異なる立場が存在します。私の場合は、住民側の立場から行政を相手にした案件もあれば、逆に行政側の代理をすることもあります。特定の立場に偏らず、クライアントに応じて幅広く対応している点が特徴です。

司会者:住民側、行政側、事業者側と様々な立場から案件を受けるのですね。たとえば住民側からの案件では、どういった依頼が多いのですか?

水野先生:住民側ですと、よくあるのが高層ビルの建設や太陽光発電事業に反対する運動のサポートです。運転免許の取り消しなど、身近な案件もありますが、反対運動における法的なアドバイスを求められるケースが多いです。

司会者:一方で企業側の案件も受けるとのことですが、行政との交渉で具体的にどのような活動をされるのでしょうか?

水野先生:企業が行政と交渉する際に、私がクライアントに代わって必要な条件を満たすための資料や証拠を整えます。行政側も、法に基づいて手続きを行う必要があるので、その範囲で交渉を行うことが多いです。たとえば、企業側が事業を進めるための認可が必要な場合、その要件をきちんと満たしていると証明するサポートをします。

司会者:なるほど、行政の要件を満たすための準備をしっかりと整えて、スムーズに進むように交渉を行うわけですね。それが認可を得るための重要なプロセスなのですね。

水野先生:おっしゃる通りです。行政も無条件に反対しているわけではなく、法律の要件を満たしているかどうかがポイントになります。ですので、行政側が納得する形で資料を揃え、説明ができるようにします。これは弁護士としての腕の見せどころですね。

司会者:行政側からの依頼も受けると伺っていますが、どういった形で依頼がくるのですか?

水野先生:行政側からの仕事は弁護士会を通して依頼が来ることが多いです。たとえば、ある地方自治体で特定の問題について相談を受けるといった形です。最近では特定空き家の問題についてもご相談いただいています。

司会者:空き家の問題ですか。行政も多岐にわたる課題を抱えているのですね。

水野先生:ええ。空き家対策やその他の行政問題での法的支援も、弁護士の仕事の一部です。自治体からの依頼は増えており、地域によっては顧問弁護士の役割として定期的な相談を受けています。

司会者:先生のように行政事件を専門にする弁護士は少ないと伺っていますが、どうしてこの分野に挑戦しようと思われたのですか?

水野先生:行政事件に関わる弁護士は実際に少なく、さらに「行政事件=ボランティアのような仕事」といったイメージも根強くあります。しかし、実際には法律に基づいた理論的なアプローチが求められるため、弁護士として非常にやりがいがあります。そうした面白さを伝えたいと思い、ロースクールでも積極的に教えています。

司会者:ロースクールでも教員として教鞭をとられているのですね。どのような内容を教えていらっしゃるのでしょうか?

水野先生:行政事件の実務を中心に、自分が経験した案件を題材にして判例に出てこない具体的な事情や考え方を教えています。また、行政法における法律の解釈や実務での応用も含めて教えています。法律を教えるだけでなく、具体的にどう現場で活用するかがテーマですね。

司会者:学生たちは実務の話を聞けるのは興味深いでしょうね。教えることで、行政法を選ぶ若手も増えると良いですね。

水野先生:そうですね。少しずつですが、行政法に興味を持ってもらえるよう工夫しています。ただ、まだまだ「行政事件は大変でお金にならない」という固定観念が根強いのも事実です。

司会者:その点は、実務家としての経験を踏まえて誤解を解いていく必要がありそうですね。行政事件や行政調査に興味を持った方が、最初にすべきことは何でしょうか?

水野先生:まずは、所属している弁護士会や日弁連の勉強会に顔を出して、「行政事件をやりたい」と周囲にアピールすることですね。同業者の紹介で案件が来ることも多いですから、普段から顔を出していることが大切です。

司会者:積極的に勉強会や交流の場に参加することが第一歩なのですね。行政法に特化して活動するメリットはどのように感じられていますか?

水野先生:行政法は扱う法律が多岐にわたり、特定の分野に詳しくなると業務も増えます。たとえば、廃棄物処理法や風営法といった、特定の許認可や規制に関する法がある分野に特化すると、そこからの依頼が増える傾向があります。行政事件は分野を絞ることで、より多くの案件を専門的に取り組める可能性がある分野なんです。

司会者:確かに、細分化された分野がたくさんありますよね。その中で専門性を高めることができるのはやりがいがありそうです。今後、どのような展望を描いていらっしゃいますか?

水野先生:最終的には行政事件だけで事務所を運営できるようにしていきたいと考えています。また、若手の弁護士が行政事件の面白さを感じ、より多くの人がこの分野に入ってくれることを期待しています。ですので、今後も教員活動や勉強会を通じて、行政事件の発展に貢献できればと思っています。

司会者:素晴らしいお話をありがとうございます。

2.より時間がない人のために

  • 水野先生の紹介

    • 第61期弁護士で、渋谷区恵比寿にて水野泰孝法律事務所を運営。

    • 行政事件を専門に活動しており、早稲田大学ロースクールで行政法の教員も務める。

  • 行政事件を専門にしたきっかけ

    • ロースクールで橋本先生から行政法を学び、その理論的な魅力に引かれた。

  • 扱う案件の種類

    • 住民側、行政側、事業者側から幅広く依頼を受ける。

    • 住民側:高層ビル建設や太陽光発電事業に反対する案件など。

    • 企業側:行政の認可要件を満たすための準備や交渉の支援。

    • 行政側:弁護士会を通して特定空き家の問題や顧問弁護士としての相談対応。

  • 行政事件に取り組む理由と魅力

    • 行政事件は少ないが、法律に基づく理論的アプローチが求められる分野でやりがいがある。

  • ロースクールでの教育内容

    • 実務での経験をもとに、行政事件の具体的な事情や法律の応用を教えている。

    • 学生に行政法の実務での活用方法を伝えることを重視。

  • 行政事件に興味を持つ若手へのアドバイス

    • 弁護士会や勉強会に積極的に参加し、周囲に「行政事件をやりたい」とアピールすること。

  • 行政法に特化するメリット

    • 廃棄物処理法や風営法など、特定の分野に特化することで依頼が増える傾向がある。

  • 今後の展望

    • 行政事件を専門とした事務所運営を目指す。

    • 若手弁護士に行政事件の面白さを伝え、この分野の発展に貢献したい。

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