スタッフ弁護士養成事務所の櫻井先生に聞いてみた(要約版)
スタッフ弁護士養成事務所の櫻井先生に聞いてみたを要約しました。ぜひご覧ください。
興味を持たれた方は動画もどうぞ。
1.対談形式の要約
【司会者】: 櫻井先生、本日はお時間をいただきありがとうございます。まず、先生の自己紹介をお願いできますでしょうか?
【櫻井先生】: はい、私は第34期の弁護士で、第二東京弁護士会に所属している櫻井光政と申します。現在は法テラスのスタッフ弁護士の採用を担当する部会の部会長も務めています。
【司会者】: ありがとうございます。先生は弁護士になられて42年ほどのご経験をお持ちだと伺っていますが、今日はその中でも特に地方に弁護士を派遣する取り組みについてお伺いしたいと思います。
先生の事務所では、法テラスの弁護士を鍛え上げて、弁護士が不足している地方に送り出す活動をされていますよね。これを始めたのはいつ頃からですか?
【櫻井先生】: 1998年に事務所を設立しましたが、その背景には1995~96年頃から、弁護士が少ない地域に人材を送ることを考えるようになりました。
もともとは刑事弁護委員会に所属しており、その時代には被疑者国選弁護制度はまだ存在しませんでした。そのような状況の中で、法務省から「弁護士がいない地域もあるのに、被疑者国選を導入できるのか?」と言われたことがありました。これが非常に悔しくて、それならば弁護士を送り出す仕組みを作らなければならないと考えたのです。
【司会者】: そのような経緯で地方に弁護士を派遣するシステムが生まれたのですね。最初はどのように進められたのですか?
【櫻井先生】: 当初、若い弁護士が未知の土地に一人で行くのは非常に難しいことでした。そこで、若手弁護士を事務所で数年間トレーニングし、その後、地方に送り出すことを考えました。経済的な支援も含め、2年間の任期制で地方に行ってもらうことで、少しでも負担を軽減しようとしました。
また、土地に馴染めなければ戻ってきても良いという柔軟なシステムにしました。そうすることで、地方での弁護士活動のハードルを下げようと考えたのです。
【司会者】: 非常に計画的な取り組みですね。法テラスがこうした活動を支援する形で、今の仕組みができたわけですか?
【櫻井先生】: そうですね。最初は私個人の取り組みでしたが、1996年に国選弁護のシンポジウムで、地方に弁護士を送る公設弁護人事務所の構想を発表しました。
これがきっかけで、1996年には「名古屋宣言」という日弁連の宣言が出され、地方に法律相談センターを作るという話が進んだのです。
【司会者】: 名古屋宣言が発端となり、ひまわり公設事務所などが設立されたのですね。その中で櫻井先生ご自身も派遣された弁護士を育てる役割を担われたのですか?
【櫻井先生】: そうです。私の事務所では、神山弁護士を招聘して、刑事弁護の専門トレーニングを行い、若手弁護士や修習生を育てました。これが「神山ゼミ」として定着し、今でも毎月継続して行っています。
他にも、民事事件に関しても判例の勉強会やトレーニングを行い、過疎地でしっかり活動できるような弁護士を育てています。
【司会者】: そうした弁護士の育成は非常に意義深いですね。実際に地方に派遣された弁護士の反応はいかがでしたか?
【櫻井先生】: 最初に紋別に派遣した弁護士は非常に歓迎されました。地方の商工会や市町村長もパーティーを開いてくれるほどで、新聞でも大々的に取り上げられました。
その結果、隣の町でも「うちにも弁護士を派遣してほしい」という声が上がり、地方全体で弁護士が求められている状況が明確になりました。
【司会者】: それは素晴らしい成果ですね。ただ、一方で地方に定着する弁護士が少ないという現実もあると伺いましたが?
【櫻井先生】: はい、過疎地に定着する弁護士はあまり多くありません。多くは任期を終えて戻ってきたり、別の都市に移るケースが多いです。
ただ、それでも地方での経験は非常に大きな成長の場となりますし、弁護士としての力を磨く機会になります。
【司会者】: その成長が都市部での活躍にもつながるわけですね。先生が目指しているのは、こうしたシステムを全国的に広げることですか?
【櫻井先生】: そうです。私が最初に提案したことが、日弁連全体の取り組みとなり、今ではひまわり公設事務所のようなシステムが整ってきましたが、まだまだ課題は多いです。弁護士会全体として、こうした取り組みを支援し、地方の法的サービスを強化することが必要です。
【司会者】: 先生の活動は、今後の弁護士業界にとっても非常に重要な方向性を示していると思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。
【櫻井先生】: ありがとうございました。今後もこうした取り組みを続けていきたいと思います。
2.より時間のない人のために
櫻井光雅弁護士の自己紹介
櫻井先生は第34期の弁護士で、第二東京弁護士会に所属し、法テラスの採用部会の部会長も務めている。弁護士として42年の経験を持つ。地方への弁護士派遣の背景
1995〜96年頃に、被疑者国選弁護制度の導入に際し、弁護士不足地域への対応が課題となり、地方に弁護士を派遣する取り組みを始めることを決意。弁護士派遣システムの開始
若手弁護士を数年間トレーニングした後、経済的支援を提供しながら2年間の任期制で地方に派遣するシステムを開始。土地に馴染めなければ戻ってきても良いという柔軟性を持たせた。法テラスとの協力
櫻井先生個人の取り組みからスタートしたが、1996年に「名古屋宣言」が出され、地方に法律相談センターを設立する話が進んだ。弁護士の育成
櫻井先生の事務所では「神山ゼミ」を通じて刑事弁護の専門トレーニングを行い、地方で活動できる弁護士を育てている。地方派遣の成功事例
最初に紋別に派遣された弁護士が非常に歓迎され、地方での弁護士の必要性が強調された。地方全体から弁護士派遣を求める声が上がる。地方に定着する弁護士の少なさ
過疎地に定着する弁護士は少なく、任期を終えると都市に戻るケースが多いが、地方での経験は弁護士の成長に繋がる。今後の目標
地方への弁護士派遣システムを全国的に広げ、地方の法的サービスを強化することが必要と考えている。
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