複数の弁護士過疎地域に事務所を構えるそらうみ法律事務所に聞いてみた(要約版)
そらうみ法律事務所の新谷先生に対するインタビューを要約しました。お時間のない方はこちらをどうぞ。
ご興味が出た方はぜひ動画もご覧ください。
1.対談形式の要約
司会者:では始めましょうか。今日はお忙しいところありがとうございます。
新谷先生:こちらこそ、よろしくお願いします。
司会者:改めまして、皆さんこんにちは。今日はそらうみ法律事務所の新谷先生にお話を伺いに来ました。先生、簡単に自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?
新谷先生:弁護士の新谷です。司法修習第58期で、今日でちょうど弁護士になって19年目に突入しました。
司会者:19年目ですか。長いですね。
新谷先生:そうですね。2005年の10月4日に弁護士登録をして、最初は渋谷の桜ヶ丘法律事務所にいました。その後、2007年の2月までそちらで勤務した後、日弁連の公設事務所で岩手県の宮古市にある宮古ひまわり法律事務所の2代目所長として赴任しました。
司会者:宮古市ですか。
新谷先生:はい、岩手県の沿岸部にある市です。3年8ヶ月ほど所長を務めた後、2010年の10月末に任期が終わり、震災の半年前くらいに東京に戻って、また桜ヶ丘法律事務所で弁護士活動をしていました。
司会者:なるほど。かなりいろんな場所で活動されてきたんですね。
新谷先生:ええ、その間に日弁連の公設事務所の委員会で活動もしていました。そして2016年の10月に、弁護士法人空と海を立ち上げました。これは、弁護士過疎対策の一環として、自分たちで新しい形の弁護士活動をしようという思いからです。
司会者:空と海という法人名、非常に印象的ですね。今は視点、拠点がいくつあるんですか?
新谷先生:東京を含めて6箇所です。北から順に、岩手県に2箇所、九戸(くじ)市と陸前高田市、そして東京、鹿児島県の奄美大島、沖縄の沖縄本島の浦添市、そして石垣島にそれぞれ拠点があります。
司会者:結構広範囲にわたりますね。それぞれの事務所はどのような形で設立されたのでしょうか?
新谷先生:元々は私が日弁連の公設事務所で勤務していた経験から、公設事務所の制度に限界を感じていたんです。地域に根付いた支援を続けていくために、独自に法人を立ち上げて、弁護士を派遣する仕組みを作ろうという考えに至りました。
司会者:なるほど、そういう経緯があったんですね。
新谷先生:はい、まず東京に事務所を新しく作り、同じ志を持つ弁護士たちと一緒に設立しました。当時、公設事務所に所属していたメンバーも含めて、今の形にしていきました。
司会者:なるほど。東京事務所はどのような役割を担っているんですか?
新谷先生:東京事務所は、リクルートの拠点や、現地で活動する弁護士の受け皿としての役割を担っています。また、東京での弁護士活動を通じて地方の弁護士事務所の運営を支えるという目的もあります。
司会者:地方の事務所を支えるとおっしゃいましたが、具体的にはどのような支援を行っているのでしょうか?
新谷先生:例えば、地方で案件が多すぎて手が回らない時には、東京から応援に行ったり、共同で事件を受けたりしています。また、弁護士が一人で孤立しないように、定期的に本部からサポートを行っています。
司会者:やはり、地方での弁護士活動は孤立感が強いのでしょうか?
新谷先生:そうですね。弁護士が少ない地域では、相談や案件が集中しやすく、忙しさや孤立感が強くなります。そのため、支援体制や連携はとても大切です。
司会者:なるほど。では、弁護士法人として、今後さらに拠点を増やす計画などはありますか?
新谷先生:今のところ、拠点を増やす計画は特にありません。現状の規模で、各拠点の地域の状況を理解しながら、丁寧に活動を続けていく方針です。
司会者:今の形を維持しつつ、必要に応じて柔軟に対応するということですね。
新谷先生:そうです。もし同じような志を持つ弁護士が、過疎地で一緒にやりたいという申し出があれば、その時は検討したいと思いますが、積極的に拡大する考えは今は持っていません。
司会者:若手の弁護士や、これから弁護士を目指す方々に向けて、過疎地での活動に興味がある人にはどんなアドバイスをされますか?
新谷先生:まずは、自分で公設事務所に応募するか、あるいは私たちの事務所に訪ねてきてくれるといいと思います。また、地方での弁護士活動に興味があるなら、ぜひ現地を見て、どんな環境で仕事をするのかを体感してみることをお勧めします。
司会者:実際に現地を訪れるというのは大事ですね。
新谷先生:はい、現地の実情を知ることで、自分が本当にそこで活動できるかを考えられると思います。
司会者:ありがとうございます。今日は貴重なお話をたくさん伺えました。最後に、この対談を見ている方にメッセージをお願いします。
新谷先生:これから弁護士を目指す皆さん、地域での弁護士活動には多くの課題がありますが、それ以上にやりがいもあります。興味があれば、ぜひ私たちに連絡をください。一緒に地域に根ざした活動をしていきましょう。
司会者:ありがとうございました。
新谷先生:ありがとうございました。
2.より時間がない人のために
自己紹介と経歴
新谷先生は58期の弁護士で、弁護士としてのキャリアは19年目。
2005年に弁護士登録し、2007年まで渋谷の桜ヶ丘法律事務所で勤務。
その後、岩手県の宮古市で日弁連公設事務所の所長として3年8ヶ月勤務。
2016年に弁護士法人空と海を設立し、司法過疎地対策に取り組んでいる。
弁護士法人空と海の拠点
岩手県(久慈市と陸前高田市)、東京、鹿児島県(奄美大島)、沖縄県(浦添市と石垣島)の6箇所。
各拠点で地域に密着した法律サービスを提供。
事務所設立の経緯
公設事務所勤務を通じて、制度の限界や現場の問題点を実感し、新たな司法過疎対策の仕組みを模索。
同じく現地勤務経験を持つ弁護士と「自分たちで事務所を作り、やりたいことをやろう」として事務所を設立。
公設事務所の限界
公募制で後任がうまく引き継がれず、地域との関係が切れてしまう。
地域の弁護士が少ないため、継続的な支援が難しい。
法人化の理由
人員の交代があっても、法人として関わり続けることで地域との繋がりを維持するため。
定期的な出張や現場支援を行いながら、地域の司法サービスを安定的に提供。
東京事務所の役割
リクルート活動や弁護士の育成、帰任後の受け入れ拠点として機能。
経済的な基盤として地方事務所を支える役割も担っている。
過疎地での弁護士活動の厳しさ
新谷先生が勤務した宮古市では、年間500件の法律相談があり、非常に忙しい状況。
弁護士が1人で地域を支えるため、物理的・精神的な負担が大きい。
法人としての運営方針
法人の収入を共有し、役員報酬として分配する形式を採用。
忙しい地方事務所に対して、応援や共同受任を行い、相互支援の体制を整えている。
司法過疎地で働く弁護士の条件
一人で働くことに耐えられる忍耐力と、地域コミュニティと良好な関係を築けるコミュニケーション能力が必要。
地域に密着した活動を希望する弁護士を育成し、支援していく方針。
若手弁護士やロースクール生へのアピール
インターンシップや事務所説明会を定期的に開催し、現場を体験してもらう機会を提供。
興味がある人には、事務所訪問や相談も歓迎している。
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