弁護士匿名インタビュー(I先生、60期代前半、地方都市、弁1・事務1.5、年商9000万台)
【I弁護士】よろしくお願いします。
【ノースライム】 よろしくお願いします~
【ノースライム】 今回はありがとうございます。
【ノースライム】 こんな感じで対談風にやっていく感じです
【I弁護士】いえいえ、初めてなのですが、面白そうですね。
【ノースライム】 これだと会話風になるはず…!
【I弁護士】はい、よろしくお願いします。
【ノースライム】 趣旨はYouTubeの動画と近いのですが、対面が難しい方とか匿名の方が面白い方なんかはこちらでやったらよいかなと思っています。
【ノースライム】 こんな活動をしている弁護士やこんな戦略を立てている弁護士がいるんだよということを示したいです。
【I弁護士】なるほど、確かにZoomで撮ったのをとかだと、タイムラグとかあってやりにくいですもんね。
【ノースライム】 そうなんですよ!
【ノースライム】 すげー間延びするんです。
【I弁護士】お役に立てるか分かりませんが、頑張ります。
【ノースライム】 さて今回はミニマム経営的なお話をお伺いしようと思っているのですが、先生って期は何期ぐらいでしたっけ?
【I弁護士】60期代前半です。
【ノースライム】 いつごろ今の事務所って設立されました?
【I弁護士】10年くらい前ですね。
【ノースライム】 今の事務所のメンバー構成ってどんな感じですか?
【I弁護士】今は弁護士1名、正社員1名、パート1名です。
【ノースライム】 先生が所属されている弁護士会って小規模単位会ですよね。
【I弁護士】はい、小規模です。
【ノースライム】 先生が事務所を開設されている都市って人口どれくらいとかご存じですか?
【I弁護士】40万人程度です。
【ノースライム】 おお、結構いらっしゃいますね。
【ノースライム】 県内では有数の大都市って感じですか?
【I弁護士】県庁所在地です。
【ノースライム】 県内の先生方の多くも同じ市内に事務所構えている感じですかね?
【I弁護士】全体の2/3弱くらいの先生が同一市内にいますね。
【ノースライム】 そうすると、人口が40万人いても対人口比では結構弁護士いますね。
【I弁護士】そうですね。市で言えば比較的弁護士多いと思います。
【ノースライム】 先生の事務所は今はどんな事件をやっていますか?
【I弁護士】うちは顧問先が現在83社でその対応がメインです。
【ノースライム】 顧問先83社!
【I弁護士】その他、保険代理店の顧問があって交通事故の被害者側が常時30件程度です。
【I弁護士】もう1つ、2つ
【ノースライム】 もうひとつふたつはなんでしょう
【I弁護士】DV被害者側女性案件、犯罪被害者支援も多くやってます。
このあたりは、犯罪被害者支援センターからの紹介の案件になります。
【ノースライム】 へぇ~!
【ノースライム】 売上に対する比率で言うと、顧問業務・交通事故・その他でどんな比率になりますか?
【ノースライム】 大体で
【I弁護士】顧問業務が3分の1、交通事故が3分の1、その他3分の1くらいです。
ただ、交通事故には、被害者支援センターからの紹介の死亡事案、重症事案を含みます。
【ノースライム】 おお、その他も結構売上になるんですね。
【ノースライム】 このその他って犯罪被害者支援というよりは顧問先からくる色んな案件って感じですかね?
【ノースライム】 DVの被害者側とか犯罪被害者支援はそんなに金銭的な部分を重視した内容ではないと思うのですが
【ノースライム】 被害者支援センターからの交通事故は交通事故に含んでいるようですし。
【I弁護士】顧問先の紹介では、離婚・相続・交通事故・貸金などジャンルを問わず来ます。
DV被害者側女性の離婚問題を扱っていると、男性側が社会的地位が高い人のケースも多く、意外と財産分与とかで数百万の報酬になります。
【I弁護士】被害者支援センターからの紹介は、死亡や重症の後遺障害以外は、あまりお金にならないわいせつ事案の示談・被害者参加とかです。
ただ、そのあたりを真面目にやってるからこそ、死亡や重症の交通事故の紹介が来てると思ってます。
【ノースライム】 確かに
【ノースライム】 顧問先の紹介の案件は基本先生が受任されるんですか?それともこの分野はちょっと難しいのでこちらの先生をという形で紹介することが多いんでしょうか。
【I弁護士】ほとんど自分でやります。
発信者情報開示などもやったこと無かったですが、顧問先の案件で、「やったこと無いけど自分の勉強を兼ねて、費用実費だけでやってもいいか?」と聞いてOKもらってやったりとか。
【ノースライム】 おお。そうすると本当にいろんな種類の事件をやることになりますね。
【I弁護士】ですね、事件のジャンルで手を付けないのは特許関連くらいです。
【I弁護士】医療訴訟や境界紛争も顧問先の紹介であれば引き受けます。
【ノースライム】 もちろん年によって上下すると思うんですが、年の「売上」ってどれくらいになります?
【I弁護士】ここ2年は9000万円台です。
【ノースライム】 すご!!
【I弁護士】ぶっちゃけ経費も掛からないので、所得で6000万くらい残ります。
【ノースライム】 弁護士1,スタッフ2名でそれはなかなか無いと思います。
【ノースライム】 売上の話なんかあんまり周りの先生としないと思うんですが、先生のいる市の他の先生方もそれくらい売上あるもんなんですか?w
【I弁護士】同じ市内で50期くらいで、JC、商工会議所青年部とかやってイソ弁何人か抱えているバリバリの事務所で、1億4000万とか言ってたので、1人頭で言えば、うちはかなり稼いでいると思います。
【ノースライム】 そりゃそうです。
【I弁護士】独立1年目で3000万円台って言ったら、稼ぎすぎと言われました。
【ノースライム】 おお…。
【ノースライム】 それも凄いですが売上を増やし続けているのが凄いです。
【ノースライム】 人を増やさないのは何か理由があるんでしょうか?
【I弁護士】人とコミュニケーションをとるのが苦手だからというのと、自分でやった方が早くお願いしたものが仕上がるまで待てないからですね。
(過去にノキ弁2回とった際の感想です。)
【ノースライム】 なるほどなるほど。
【I弁護士】ちなみに過去2年はノキ弁いないので、純粋に1人での売上にはなります。
【ノースライム】 先生の周りの人がみんな先生と同じくらい売り上げてるわけじゃないんですけど、その売上はどうして出せていると自分では思いますか?
【I弁護士】
①レスポンスの速さと土日含めた24時間対応(携帯、LINE、メールなど)
②顧問については積極的に提案している
③紹介元に対する報告やお礼
④あんまり媚びずに勝てるものは勝てる、勝てないものは勝てないと言う
⑤弁護士がいないところに食い込むようにしている
くらいですかね。
【I弁護士】あと
【I弁護士】自分では意識していなかったのですが、うちあわせにおいて、自分は相槌の打ち方が絶妙にうまいと言われたことはあります。
それと、人って案外人の話を遮るんですよね。自分はそれはしてないと思ってます。
【ノースライム】 おおー。
【ノースライム】 ②についてちょっとお伺いしたいんですが、顧問83社っておっしゃってましたけどどんな業界が多いとかございます?
【ノースライム】 もしくは経営者の年齢やキャラクターに共通点があるとかございます?
【I弁護士】介護・福祉関係/建築・不動産関係あたりは多いですが、あとは、業界というよりは横のつながりの紹介です。
キャラクターとしては、自分の上10歳、下5歳くらいの幅で、今の業界を変えていきたい、地元を変えていきたいという積極的なタイプが多いです。
【ノースライム】 その層って戦略的に狙いましたよね。どうしてその層の顧問を狙おうと考えました?
【I弁護士】まず、自分は過去の自慢しかしない年配の人の話を聞くのが苦痛で耐えられません。飲み会でも寝てしまうくらいです。
なので、地方によくいる老舗企業の年配社長みたいな層は受け付けられません。
あとは、自分は経営に積極的に口出しするのは好きではなく、聞かれれば答える程度なのですが、やっぱり世代が近い人からビジネスの話を聞くと、話をしていて面白く、そうすると親しくなってくるという感じです。"
【ノースライム】 積極的に顧問を提案するとのことですけど具体的にはどんな感じで提案するんですか?
【I弁護士】単発で相談に来たら、「そういったこと相談できる弁護士って今までいなかったんですか?」というところから入って、顧問契約のメリットを説明します。
あとは、飲み会などで知り合った場合には、「最近こんなこと多くないですか?(例えば困った従業員とか)」みたいな話をして、事前対策の必要性を説明します。(業界によって若干話す内容は異なります。)
保険代理店から紹介を受けた被害者が会社の場合でも、単発の相談と同じように話を振って、上手く解決するとそのまま顧問になってくれるところも何件かありました。
【ノースライム】 顧問契約のメリットってどんな感じで示すんですか?
【I弁護士】あまり、今回の件をディスカウントするとは言わないです。それでもらえる金額減っても意味ないので。
基本的には、単発の相談聞いて、「こんなトラブルって過去にもあったんじゃないですか?」とか深堀りしていき、「契約書の作成段階からちゃんとしないと」とか、「すぐに対応が必要なことありますよね?その場合も電話で対応可能です。」とか言って、全部顧問料の範囲内で行いますという感じですね。
【I弁護士】うちは訴訟以外は定額使いたい放題なので。
【ノースライム】 顧問料ってどうやって決めてますか?
【I弁護士】地方なんで、安く、基本3万円です。
関連企業持っているところはまとめて5万円です。
契約当初はある程度業務量が増えるのは想定済みですが、それが続く場合には、過去数か月の業務量を示して、ちょっと今の金額では厳しいと伝えて、3万→5万とか、5万→7万とかお願いします。
業務量が多いことを理解してもらえれば、きちんと応じてくれるので、今まで値上げ交渉して「じゃあ辞めます」と言われたことは無いです。
【ノースライム】 業務量の記録は重要ですよね。
【I弁護士】はい、タイムチャージはしていないですが、メールやLINEから引っ張り出して来れるようにはしております。
【ノースライム】 ⑤弁護士がいないところに食い込むようにしているなんですが、具体的にはどんなことをされているんでしょう?
【I弁護士】経営者団体も弁護士がいないところ
税理士も弁護士の顧客がいないところ
顧問先が何か楽しそうな集まりしていれば呼んでもらう
被害者支援センターなども弁護士の関与が少ないと言われおり顔を出しました。
興味があれば弁護士がいてもいいんでしょうが、基本引きこもりなので、仕事につながるメリットで動いているところはあります。
【ノースライム】 被害者支援センターも弁護士の関与が少ないんですね。
【I弁護士】はい、自分も被害者支援委員会に所属していて、その関係で警察の被害者支援室とかに呼ばれますが、実際に被害者支援事件扱った話をしてくれる弁護士は初めてだと言われたほどです。
【ノースライム】 弁護士がいない経営者団体ってどんなところなんでしょう?
【ノースライム】 特定の業界の団体とかでしょうか?
【I弁護士】自分が入っているのは、①倫理法人会、②日創研の2つです。
①倫理法人会は朝6時からなのですが、弁護士は朝が弱くて全く来ません。
②日創研は経営計画の勉強会なので、地方で弁護士が勉強として入るメリットはあまりありません。自分は顧問先から入れと言われてはいりました。
【ノースライム】 朝が弱いwww
【ノースライム】 そういう意味で弁護士がいないところもあるんですねw
【I弁護士】はい、BNIに参加している弁護士もいるみたいですが、あれも朝ですよね。
ただ、倫理法人会は、朝6時開始、役員になると朝5時集合です。
【ノースライム】 5時
【ノースライム】 確かに来れる人は少なそう。
【ノースライム】 いやゴルフに行くと考えれば行ける人も多いような。イメージがないんでしょうな。
【I弁護士】しかも、毎週欠かさず役員として5時に来る人は、真面目な人が多いです。
ゴルフ好きは、何故ゴルフの時だけは早起きできるんでしょうね。僕は全くしないので分からないですが。
【ノースライム】 価値観なんでしょうなぁ。
【ノースライム】 先生の事務所って正規のスタッフ1名、アルバイト1名とのことですがスタッフの方には具体的にどんな仕事やってもらっています?
【I弁護士】弁護士業務の一歩手前までやってもらってます。
①交通事故の賠償の計算
②自賠責の資料収集
③破産の申立書作成(法人も含む)
④任意整理
⑤相続案件での相続関係図作成や遺産目録作成
⑥後見や相続財産管理人の報告書作成
当然全部出す前には自分がチェックしますし、交渉にわたる部分は触れさせませんが、それ以外はやってもらいます。
今のスタッフは結構積極的なので、やってもらってできるようになるのを見ているのも楽しいです。
【ノースライム】 仕事めちゃくちゃ多いんじゃないかと思うんですがどうやって仕事回してるんですか?
【I弁護士】破産など含めれば、手持ちは100件以上はあります。
毎年の新規受任がここ数年は100件前後で推移しています。
朝6時45分に出勤して、夜も6時45分頃帰ります。
あとは家に帰って子どもと遊んだりして、子どもが夜の9時ころに寝るのでそこから11時か12時ころまで仕事します。
土日は対応しないといけない業務量次第ですが、土日いずれも数時間から半日事務所に出て仕事してます。
それくらいで一応回っております。
【I弁護士】今年は今の時点で新規受任は92件でした。
顧問先のリーガルチェックとかは別です。
【ノースライム】 ひとりで回せているコツってございます?
【I弁護士】「自分でしかできないところ」以外の部分は全部スタッフにやってもらうことですかね
【I弁護士】二人とも金融機関出身で、かなり優秀です。
【ノースライム】 おお、なるほど…。
【ノースライム】 スタッフの方はどうやって採用しました?
【I弁護士】1人は妻の妹です。
もう1人は、「誰かいないですか?」と何人かに紹介を頼んだら、紹介してもらえました。
【ノースライム】 なるほど。
【I弁護士】こちらから1つ話をしても良いですか?
【ノースライム】 もちろんです!
【ノースライム】 なんでもどうぞ!
【I弁護士】自分が種をまいている案件としては、「政治家との繋がり」があります。
政治家は企業・個人を問わずたくさんの支援者がいて、何かあれば議員に相談することも多いです。
そういったものを全部こっちに回してもらえます。
それをするためには、選挙の際に、応援演説したり、個人演説会の設営手伝ったり時間はかかりますが、かなり紹介も増えてきています。
【ノースライム】 どういう政治家にアクセスしようと考えましたか?
【I弁護士】自分は思想としては自民党なので、自民党の政治家です。
ただ、国政は別ですが、県議、市議レベルだと、政党の垣根を超えて交流があり、一緒に飲むときに顔出したりさせてもらえるので、民主系の人からも紹介はもらえます。
【ノースライム】 ほー。
【ノースライム】 ネット上なんかだと「弁護士仕事ない」とか「増えすぎ」って話もよく出ますけど、先生から見るとそういう話についてどう思われます?
【I弁護士】単位会の人数がここ数年横ばいなので、増えすぎについてはあまり実感がないんですよね。
「自分が稼ぐ」分には仕事はいくらでも見つけられます。今の紹介ルートを何かのきっかけで切られても、また他を探せばいいやくらいの気持ちでいます。
ただ、これからも毎年増えていく弁護士の大半がある程度の生活ができるほどの事件数が確保できるかと言えば、それは難しいと思います。
【ノースライム】 事件数が確保できる人とできない人の差ってなんでしょう。もちろん運もあるでしょうけど。
【I弁護士】1件1件を大切に扱うのも当然ですが、紹介元への見せ方も大事だと思います。
守秘義務との関係で難しいですが、大切な紹介者の案件でもいい結果が残せない時もありますし、クレームっぽくなる時もあります。
そういう時に、紹介元に対して、「自分は最善を尽くしている」ということを分かってもらうようにはしております。
【ノースライム】 なるほど、ありがとうございます!
【ノースライム】 またちょっと別の機会に追加でお話をお伺いさせていただくこともあるやもしれません。
【ノースライム】 今日はありがとうございました!
【I弁護士】はい、いつでも大丈夫です。
こちらこそありがとうございました。
【ノースライム】 複数人で対談とかも企画するかもしれません。そのときもよろしくお願いします!
【I弁護士】はい、むしろ僕も楽しみなので、是非お声掛けください。
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