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弁護士匿名インタビュー(山椒先生、本庁所在地、弁2、正社員4、パート1、年商1.1億~)

 
【山椒】が参加しました。

【ノースライム】 そろそろですかね

【ノースライム】 よろしくお願い致します。

【山椒】 よろしくお願いいたします。

【山椒】 それにしても、今までの方がすごすぎて

【山椒】 私が何をお話しできたものやら

【ノースライム】 まぁワーカーホリックみたいな人ばっかりでしたね

【山椒】 ワーカホリックは当職も同じです。

【ノースライム】 ナチュラルにお話しいただけたら!

【ノースライム】 さて、先生は弁護士になられたのはいつ頃でしょうか?

【山椒】 60期前半です

【ノースライム】 自分の事務所を開設されてからどのくらい経ちましたでしょうか?

【山椒】 10年弱ですね

【ノースライム】 今の事務所の規模はどんなもんでしょう?

【山椒】 弁2、事務5(内産休1)です。

【山椒】 正社員1人が産休を取っているので産休代替でパートの方に来ていただいています。

【ノースライム】 弁のうち1名は先生ですよね?

【山椒】 そうですね。ボス1イソ1の事務所です。

【ノースライム】 ボス1、イソ1、活動している正社員4名、パートさん1でしょうか。

【山椒】 はい。おっしゃるとおりです。現時点の実働正社員4、パート1です。

【山椒】 単純に手持ち件数が多いので、事務局が多めですね。

【ノースライム】 事務所の場所は都会、地方都市、その他どんなところになりましょう

【山椒】 東京大阪ではなく、それ以外の地方です。

【山椒】 本庁所在地ですね。

【ノースライム】 人口ってどれくらいですか?

【山椒】 100万都市です

【ノースライム】 おお、大都市ですね。

【ノースライム】 そちらに事務所を構えた理由はどうしてだったんでしょう?

【山椒】 東京に住みたくなかったのと地元だったということが理由です。

【ノースライム】 東京は嫌だったんですねw

【山椒】 大学は早稲田で楽しかったんですけどね(^^;

【山椒】 ここには住み続けたくないと思って地元に戻りました

【ノースライム】 なるほど。

【ノースライム】 事務所の売上規模ってどんなもんです?

【山椒】 ツイッターにあげたことがある通り、1億ちょっとです。

【ノースライム】 素晴らしい

【ノースライム】 ここ数年そんな感じですか?

【山椒】 そうですね。20年に大台に乗せて、21年は9000万台、去年が1.1億、今年も多分同じかちょっと上って感じで、ここ数年は横ばい~軽い右肩上がりです

【ノースライム】 ブラボーです!

【山椒】 ありがとうございます。

【山椒】 薄利多売でやっております

【ノースライム】 お仕事としてはどんな構成になっていますか?

【山椒】 割合としては、交通事故が3割くらい、その他賠償事故が2~3割、労働事件2割、その他がちょこちょこという感じですね。

【ノースライム】 交通事故は被害者側ですか?

【山椒】 どっちもやります。

【ノースライム】 交通事故のご依頼はどこから来る感じでしょう?

【山椒】 顧問先損保の担当者の方から来るのと、あとは知り合いの代理店の方からだったり、元依頼者のご紹介だったりですね。

【山椒】 件数としては顧問先保険会社から来るのが圧倒的に多いです。

【ノースライム】 なるほど、損保が顧問先にあるのですね。

【ノースライム】 損保とのご縁ってどうやってできましたか?

【山椒】 1社目は元々イソ弁のときは損保系事務所にいて、独立したあともご依頼をいただいたという流れです。

【山椒】 2社目は、1社目の顧問先から転職した方からのご縁です。

【ノースライム】 交通事故以外の賠償事故が2割くらいあるとのことですが、これは具体的にはどんなものになるんでしょうか?

【山椒】 いわゆる火新(火災新種)案件で、企業賠償、生産物賠償(PL)、任意労災等の案件です。

【山椒】 保険会社の火新センターからのご依頼、ご紹介が多いです。

【ノースライム】 損保のお仕事っていうと交通事故やっている人が多いと思うんですけど、その他のお仕事にはどうやって広がっていったんでしょうか?

【山椒】 確かに、TL見てると火新センターの仕事をやっている先生って意外に少ないですよね。

【ノースライム】 ええ、全然見ないです。

【ノースライム】 多分やっているんだろうなという先生も1.2名くらいしか知らないです

【山椒】 自動車→火新へ異動した担当者の方からのご依頼があって、そこから広がっていった感じです

【山椒】 弊所は火新が多いのが特徴です。

【ノースライム】 担当の方が異動されるまでそういった事件類型のことご存じでした?

【山椒】 前事務所でも火新は少しですがやっていましたので。

【山椒】 自動車も楽しいんですが、火新はいろんな事故態様があるからその楽しさがありますね。

【山椒】 約款を理解したりその業種の業務内容を理解するのが難しかったりしますが。

【山椒】 もともと自動車でもモラル案件をやっていたので、火新でもモラル案件を扱って、そこから広がった感じです

【ノースライム】 なるほどー。

【ノースライム】 損保の事件を担当する人が求められるものって何だと思いますか?

【ノースライム】 どんな人が向いているというか

【山椒】 スピード感、事故類型への理解度、保険会社の論理への理解度あたりは重要と思います。

【山椒】 向いているのはやっぱりスピード感がある方ですね。

【山椒】 単純に件数が多いので、とにかくスピード感をもって打ち返さないと仕事にならないです。

【ノースライム】 どうやって鍛えましたか?

【ノースライム】 元々あんまり苦ではないタイプでしたでしょうか。

【山椒】 鍛えたというか、元々あまり苦でないですね

【山椒】 タイピングも早いという自信がありますし。

【ノースライム】 タイピングの問題なんですねw

【山椒】 タイピング大事ですよ~。書面書くスピードが全然違いますから。

【山椒】 電話を受けながら逐語でメモを入力したり。

【山椒】 ここら辺の認識はカツサンド先生と同じと思います。

【ノースライム】 その他労働事件とのことですがこれは企業側ですか?

【山椒】 労働は保険会社や代理店からのご紹介なので、ほぼ使用者側ですね

【ノースライム】 保険会社や代理店から労働事件のご紹介があるのですか。どんなルートなんでしょう?

【山椒】 企業さんが企業賠償保険に入られるわけです。事業総合保険とか。

【山椒】 それで何かトラブルがあったら、社長さんはだいたい代理店さんに相談されます。

【山椒】 代理店から保険会社の担当者に話が行って、保険が使えればそこからの受任になりますし、事案として保険が使えなかったとしても事業総合保険だと法律相談料が保険で出るため、そこからのご紹介→ご相談→受任という流れになります

【ノースライム】 なるほど!

【ノースライム】 保険会社や代理店は紹介のハブとしてかなり強力なんですね

【山椒】 やっぱり、保険会社や代理店さんは事故になる案件をたくさんお持ちですからね。

【ノースライム】 ぶっちゃけ事件数ってどれくらいあるんでしょう

【山椒】 事件数はツイッターでもつぶやいた通り、事務所全体で300ほどです

【ノースライム】 ひぎぃ!

【ノースライム】 弁護士2名で!

【山椒】 イソ弁さんが50~60、当職が今フォルダ数を見たら234でした

【ノースライム】 234!

【山椒】 我ながらよく回せていると思います(^^;

【ノースライム】 そ、訴訟はどれくらいで…?

【山椒】 私が44件、イソ弁さんに担当してもらっているのが15件でした

【山椒】 カツサンド先生に比べると少ないです。ワンオペ73件はすごすぎです

【ノースライム】 それでも多いですが交渉案件がメインなんですね。

【山椒】 交渉がメインというつもりはなく、けっこうカジュアルに訴訟移行してるんですが、そもそも訴訟にならない事案の方が多いのは確かです。

【ノースライム】 訴訟にならない理由は何なんでしょうか?

【山椒】 こっちが被害者側の場合、依頼者の方に「時間かけて裁判したらいくらくらいになる見込みですが、そのためにはこれくらいの時間がかかります。一方、今相手方から提示された金額はこれこれこういう理由でこの金額で、早期解決するならここからちょっと上乗せするくらいでの解決であれば、早々に解決可能です。どちらにされますか?」とお尋ねしたら、示談で、という方が多いというのが一つです。

【山椒】 保険会社側でも、被害者側についた先生が訴訟にされないことが多いですね。

【ノースライム】 その件数を回すためにスタッフの方々にはどんなことを担当してもらっているのでしょう?

【山椒】 弁護士の仕事と事務局の仕事は完全に切り分けていて、判断を要するところはすべて弁護士の仕事、それ以外の請書、記録作成等を事務局にお願いしています。

【ノースライム】 具体的にはどんな感じに切り分けているんでしょうか?

【山椒】 事務局と弁護士の仕事の振り分けは、判断を要する場合か否か、交渉の要素が含まれるかどうかで考えています。

【山椒】 もともとの事務所もほとんど弁護士が対応していた事務所なので、それが身についてます

【山椒】 昔は個人事件で過払いをやる場合も、自分で引き直し計算をやってましたからね。さすがに今は引き直し計算は事務局にしてもらいますが。依頼が来ることもほとんどないですが。

【ノースライム】 引き直し計算は自分でやるとかなり死にますw

【ノースライム】 事務局の方々の内部での役割分担はあるのでしょうか。

【山椒】 事務局内部での役割分担はあまり考えていません。件数が多いので、基本的には順繰りで事件を担当してもらっています。

【山椒】 ただ、ベテランの事務局には破産をやってもらう、等はあります

【ノースライム】 事務の方の採用ってどうやってやりましたか?

【山椒】 もともとはハローワークです。

【山椒】 独立直後にハローワークですごくできる事務員さんを採用することができたので、その後もハローワークで。

【山椒】 ただ、その後がなかなか定着せず・・・

【山椒】 今は新卒採用に切り替えています。

【ノースライム】 おお、新卒!

【ノースライム】 新卒の方が定着しやすいですか?

【山椒】 一昨年初めて新卒事務員さんを採用しました。なので、これからですね。

【ノースライム】 これからどうなるかって感じですね。

【山椒】 来年か再来年にまた採用する予定なので、何とか定着してほしいです。

【ノースライム】 234件をぶん回している先生のスケジュールはどんな感じなんでしょうかw

【山椒】 平日は基本8時半~9時頃に事務所に来て、19時には帰宅してます。

【ノースライム】 おお、人間的

【山椒】 土日もどっちかは働いてますね。両方働くこともまああります(^^;

【山椒】 意外に長時間労働じゃないんですよ

【山椒】 コロナのおかげで出廷が減ったのが大きいです

【ノースライム】 やはり実際の出廷は負担でしたからねぇ

【山椒】 今日も3件訴訟がありましたが、出廷するのとしないのとでは大違いです

【ノースライム】 家に帰ってからも仕事ってわけではないんですよね?

【山椒】 家では仕事をしないようにしています

【ノースライム】 素晴らしい!

【山椒】 よほどの急ぎならしますけど

【山椒】 切り替えたいタイプです

【ノースライム】 まぁ部分的に間に合わないときはありますよね

【ノースライム】 ここんところ24時間戦えますかみたいな人たちばっかりだったのでちょっと安心しましたw

【山椒】 保険会社関係の仕事をやるメリットとしては、保全があまり入らないんですよね

【ノースライム】 確かに。

【山椒】 保全ってお祭りのようなもんじゃないですか

【山椒】 動いている企業の破産とかも

【山椒】 刑事もそういう面がありますよね

【山椒】 そういう突発案件があまり入らないので、「今日はここまでやってあとは明日に回そう」みたいな計算が立ちやすいです

【ノースライム】 弁護士都合でのコントロールが効きやすいですね

【ノースライム】 まぁそれでも234件回せるかと言われたら私は無理ですが

【山椒】 ほんと、どうやって回してるんでしょうねえ?

【ノースライム】 私に言われても…。

【山椒】 1日2~3件期日があって、その合間に電話が来てメールが来て対応して

【山椒】 その後に打ち合わせをやって期日報告書書いて

【山椒】 気が付いたら昼間には準備書面が1頁も進まないなんて日も結構ありますね

【山椒】 なので準備書面を土日に回したり

【山椒】 それで帳尻を合わせている感じです。

【ノースライム】 それでも帳尻があっているのが凄いと思いますが…。

【山椒】 そんな中、委員会の仕事を平日にやる暇がないから土日に事務所に出て委員会の仕事をやっていると、「何をやっているんだろう?」と思うことも多々あります

【ノースライム】 人員は増やしたいんですよねきっと。弁護士含め。

【山椒】 弁護士は増やしたいですね。件数的に最低でも後1人、できれば2~3人は欲しいです。

【山椒】 売上的にも事務所全体で3~4人弁護士がいておかしくない規模になれたとは思っているんですが。

【ノースライム】 やはり採用が難しい感じでしょうか。

【山椒】 採用難しいです。。。

【山椒】 そもそも東京大阪で7~8割吸収されちゃいますからね

【ノースライム】 エントリーがないですか?

【山椒】 エントリーもほんとないです。70期台になってから激減という感じです

【山椒】 修習生には損保系がそもそも人気ないですし

【ノースライム】 100万都市でもそれだと厳しいですよね~。

【ノースライム】 なんで人気ないんでしょう?

【山椒】 もともと昔から「損保弁」って蔑称じゃないですか。

【山椒】 ベテランの先生から「損保の仕事なんて使い走りだ」なんて言われたことも多々あります。

【ノースライム】 上の世代ならともかく下の世代もそんな感覚なんですかね?

【山椒】 そういうイメージが残っているのと、交通事故はこれから減るだろうというマイナスイメージがあること、件数が多くて大変そうというイメージが強いんじゃないかな、と思っています。

【ノースライム】 そこら辺のトータルって感じですかねー。

【ノースライム】 先ほどもちょっと出てましたけど逆に仕事の面白さって何だと思います?

【ノースライム】 損保側の。側っていうのも変ですが

【山椒】 面白さは、まず一つは深く狭く一つの分野を追求できるオタク的楽しさですね。それと、モラル案件に対応するとき、相手方がいろいろと証拠を作ったり数字を作ってきたりしたときにその矛盾を暴いていく楽しさがあります。

【山椒】 あと、向き不向きがあります。損保側のお仕事は。

【ノースライム】 ふむ、向いていない人はどんな人だと思います?

【山椒】 向いていないタイプは、やっぱりテキパキ処理できないタイプ、メンタル弱めのタイプです。

【山椒】 依頼者や相手方からギャンギャン言われても右から左に聞き流さないといけないことが多々あります。心臓に毛が生えていないと難しいかもしれません。

【ノースライム】 この場合の「メンタルの強さ」って具体的にはどんなことだと思います?

【山椒】 そもそも保険会社の担当者の方って、大企業の優秀な方が多いわけですが、そういう方が抱えきれない案件がこっちに回ってくるわけで、スタートの地点で困難案件だったりするんですよね。

【山椒】 良くも悪くも「しょせん他人事」と開き直れるかどうかだと思います。町弁のお仕事全般そうですが。

【ノースライム】 「しょせん他人事ですから」ですね

【ノースライム】 明確に言うかどうかは別として

【山椒】 です。

【山椒】 ただ、同じ困難案件でも事故なら大丈夫なのに離婚だと嫌だっりするのが不思議です。

【ノースライム】 向き不向きですねぇw

【山椒】 離婚のモラ系は苦手なんですよね。。。

【ノースライム】 どの事件にも向き不向きありますよね

【山椒】 相手についたら問題ないですが、こっち側だとメンタルやられます。

【ノースライム】 私は割と離婚は主力商品のひとつなので…w

【山椒】 思うに、事故の場合ってあくまでも過去の一時点のことで、そこからあとに相手方にダメージを加えることは難しいですが、離婚の場合は現在進行形なので、相手に対する嫌がらせを主目的として行動するタイプが出てきちゃうじゃないですか。

【山椒】 離婚主力は当職とても無理無理カタツムリです

【ノースライム】 件数は少ないですけどね

【山椒】 先生は離婚今何件ですか?

【ノースライム】 めっちゃ少ないですよ。5件とかです。

【ノースライム】 ここらへんぼやかしちゃいますけど私離婚の客単価〇百万くらいあるんですよ

【山椒】 離婚嫌いとか言いながら、当職現時点で8件離婚やってましたOTZ

【山椒】 すごいっす。離婚は30+30です

【山椒】 ここら辺が東京と地方の差ですね~。

【山椒】 会社代表者側の離婚とかですよね

【ノースライム】 ですです。

【ノースライム】 経営者の離婚又は経営者相手の離婚ですね

【山椒】 当地だとなかなかそういう案件はないです

【ノースライム】 着手金は先生の費用に毛が生えた程度ですが成功報酬がかなりあるので

【ノースライム】 脇道にそれましたが

【山椒】 いえいえ

【ノースライム】 先生のお話を聞いて「損保会社の方と自分も一緒に仕事したいな~」と考えた弁護士がいたとしたらどんなことすれば良いと思いますか?

まずは先生の事務所にアソシエイトとして入るところからですかね。

【山椒】 先行者利益をガッチリ持っている事務所が多いので、なんだかんだで保険会社側の事件を今からやるとなると、まずは弊所みたいな損保の顧問をやっている事務所に入る必要性が高いでしょうね(アピール)

【ノースライム】 ですね。そこから保険会社との担当者の方等々とご縁を繋いでいくと

【山椒】 代理店経由で被害者側から入ってそこから少しずつ保険会社側に、というルートもないわけではないでしょうが、かなり遠回りと思います。

【ノースライム】 いや、ありがとうございました!参考になりました。

【山椒】 いえいえ。こんなのでよければ。

【ノースライム】 ありがとうございました!

【山椒】 今日はありがとうございました~

 

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