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セキュリティ・プライバシー案件の世古先生に聞いてみた(要約版)
LINE株式会社(取材当時)で正社員をしながら法律事務所LEACTでセキュリティ・プライバシー案件を中心に活動している世古先生に対するインタビューを要約しました。
ぜひ動画もご覧ください。
1.対談形式の要約
司会者
「本日は、法律事務所LEACTの世古先生にお越しいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。」
世古先生
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
司会者
「世古先生、まずは簡単に自己紹介をお願いできますか?」
世古先生
「ありがとうございます。私はLINE株式会社でインハウスの弁護士として勤務しています。それに加えて、法律事務所でもプライベートプラクティスを行っています。本業と副業という形をとっていますが、両方をメインとして取り組んでいる感覚です。」
司会者
「それぞれの役割に対して、非常に情熱的に取り組まれているんですね。法律事務所では、どういった案件に取り組んでいるのですか?」
世古先生
「私は主に個人情報保護法や電気通信事業法など、セキュリティやプライバシー分野を専門にしています。LINEでも同様の分野を扱っているので、日常的に深く関わっていると言えますね。」
司会者
「セキュリティやプライバシーにフォーカスするようになったきっかけは、いつ頃からだったのですか?」
世古先生
「本格的にプライバシーやセキュリティに取り組み始めたのは弁護士5年目からです。その前は収集期間も含めて様々な分野を経験しましたが、だんだんとこの分野に関心が移っていきました。」
司会者
「5年目から専門にされているのですね。それ以前は幅広く取り組んでいたんでしょうか?」
世古先生
「そうですね。司法試験合格後も幅広く経験を積もうとしましたが、ある時、プライバシーや情報管理の重要性を痛感する出来事がありまして、それ以降はこの分野に集中しています。」
司会者
「具体的にどのような出来事があったのでしょう?」
世古先生
「一つは、コンサルティングファームに勤務していた時の大きなプロジェクトでインシデントが発生したことです。大規模なシステム開発の途中でセキュリティの問題が発覚し、プロジェクトがストップしてしまいました。数億円規模の損失を出すことになり、セキュリティ対策の不備が引き起こす影響の大きさを目の当たりにしました。」
司会者
「それは衝撃的な体験ですね。」
世古先生
「本当にそうでした。安全管理の重要性を痛感し、それ以来、セキュリティやプライバシーの分野を専門にしていく道を歩むことに決めました。」
司会者
「その後、PwCに転職されたとのことですが、こちらもセキュリティ関連の部署ですか?」
世古先生
「はい。PwCでは、主にセキュリティとプライバシーに関するコンサルティング業務を担当していました。当時、EUの一般データ保護規則(GDPR)が制定されていた時期で、日本企業に対する対応が非常に多く、企業のデータ管理や保護体制を構築する支援を行っていました。」
司会者
「GDPRの対応は多岐にわたりますよね。LINEへ転職したのはどのような経緯だったのでしょう?」
世古先生
「コンサルティングファームでの仕事も非常に充実していたのですが、次第に『インハウス』として自社の中からセキュリティ・プライバシー分野を支える仕事にも挑戦したいという思いが強くなっていきました。そこからLINEに声をかけていただき、2020年に入社することになりました。」
司会者
「LINEではどのような役割を担っているのですか?」
世古先生
「LINEでは大きく分けて2つの役割を担っています。まず1つはプロダクトごとのプライバシー担当者としての仕事です。LINEのメッセンジャーサービス、LINEギフト、LINE MUSICなど、プロダクトごとにプライバシーリスクの管理を行っています。
そしてもう1つは、プライバシーやセキュリティに関する戦略的な部分、例えば、海外の法制度改正や国内の法改正を反映させるための戦略構築も行っています。」
司会者
「なるほど、LINEの内部でのセキュリティ管理も多岐にわたるわけですね。並行して法律事務所での業務も継続されているとのことですが、そこにはどのような意味がありますか?」
世古先生
「やはり本業としてLINEで経験を積むことで、プライベートプラクティスにも多くのメリットがあると感じています。LINEで得た知見を基に外部からの依頼に対応できるため、効率も良く、経験値も上がります。また、LINEでの経験があるからこそ、クライアントにも具体的なアドバイスができるというメリットもあります。」
司会者
「確かに、本業と副業が相互に支え合っているわけですね。今後もセキュリティとプライバシーを専門にしていくご予定ですか?」
世古先生
「はい、その予定です。この分野は日々進化しており、法改正や技術の発展も早いため、今後も需要が続くと思います。私自身も、この専門性を深めながら、インハウスとしても弁護士としてもより高いレベルのサービスを提供していきたいと考えています。」
司会者
「そのような熱意を持って業務に取り組まれている世古先生の姿勢が伝わってきました。最後に、今後の弁護士業界に対する期待や、目指す若手弁護士へのアドバイスをお願いできますか?」
世古先生
「私自身もそうでしたが、弁護士として働く上で、自分が何を専門にしていくかを模索する期間があると思います。その時間は無駄ではなく、自分に合った分野を見つけるために必要なステップだと考えます。また、法律の分野は非常に広いため、他の弁護士のキャリアに触れたり、尊敬できる人の話を聞いたりすることは自分の方向性を見つける助けになるはずです。」
司会者
「自分の専門を見つけることが大切なんですね。」
世古先生
「そうですね。そして、その専門性を深めるには実務経験が非常に重要です。ですので、若手の弁護士には、早い段階で興味のある分野に飛び込んで、積極的に経験を積んでほしいと思っています。」
司会者
「貴重なお話をありがとうございました。」
2.より時間がない人のために
世古先生の自己紹介
LINE株式会社のインハウス弁護士、法律事務所でもプライベートプラクティスを行う。
主にセキュリティやプライバシー分野を専門に活動中。
セキュリティ・プライバシー分野への関心
弁護士5年目からプライバシーとセキュリティに特化。
コンサルティングファーム勤務時にインシデント対応を経験し、重要性を痛感。
PwCでの業務経験
セキュリティとプライバシーに関するコンサルティングに従事。
GDPR対応が多く、日本企業のデータ管理体制を支援。
LINEでの役割
プロダクトごとのプライバシー担当者としてリスク管理を行う。
海外・国内法改正を反映させる戦略的な業務も担当。
本業と副業の相互メリット
会社での知見を外部依頼に応用し、効率的かつ具体的なアドバイスが可能に。
今後の展望
セキュリティとプライバシー分野の専門性をさらに深め、高度なサービスを提供したい。
若手弁護士へのアドバイス
自分に合った専門分野を模索する時間が重要。
早期に興味ある分野で実務経験を積むことの大切さを強調。