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弁護士辛いよ②【第九のベンさん先生、60期代前半、地方都市】

【ノースライム】よろしくお願いします。
 
【第九のベンさん】よろしくお願いします。
 
【ノースライム】本日のコンセプトは「弁護士は辛いよ」です
 
【第九のベンさん】辛いですね。
 
【ノースライム】「弁護士になんてならなきゃよかった」でも良いですが。ぶちまけていただければ
 
【第九のベンさん】そうですね。弁護士って最初は困った方々をたくさん助けて夢があるお仕事なのかなと思っていましたね。
 
【ノースライム】いいですね。その調子でいきましょう。
 
【第九のベンさん】最初の国選とか、超つまらなかったです。
 
【ノースライム】どんなところがです?
 
【第九のベンさん】最初は夢見てましたからね。テレビの弁護士のイメージがあったんだろうと思いますが、国選はボランタリーですね。お仕事も身の回りの差し入れとかの方が多かったんで、「しまった」「こんなにつまらなかったんだ」と思いましたw
 
【ノースライム】夢というとどんな夢ですか?
 
【第九のベンさん】刑事弁護の現実は知っていたつもりなんですが、やはり不起訴や無罪を勝ち取ることだし、被疑者・被告人もそれに協力的なのだろうと思ってましたね。もちろん協力的な人も多かったですけど、最初は認めだし

 【第九のベンさん】
弁護人より刑事の方が信頼されてました。
 
【第九のベンさん】
勤務時代といっても、合同事務所だったので、仕事は自分で見つけて来ないといけなくて、多くの手持ち事件が国選を占めていた時代もありましたので。マズローの生存欲求のレベルで生きていた時代もありましたねー。
 
【ノースライム】ふむ、先生は何期くらいでいらっしゃいますか?
 
【第九のベンさん】60期前半ということでお願いいたします。
 
【ノースライム】開業されてますか?
 
【第九のベンさん】そうですね。最初、3年くらい勤務して、その後、独立しました。
 
【ノースライム】事務所は都会、地方都市、田舎どこらへんでしょう
 
【第九のベンさん】僕は地方都市に入ると思いますが、人口はまあまあ多めです。
 
【ノースライム】今はどんなお仕事が多いですか?
 
【第九のベンさん】独立のきっかけがこどもの人権がやりたいということだったので、離婚が多くて、その他は相続、中小企業法務、一般民事訴訟、交渉ですね。
 
【ノースライム】離婚中心の街弁って感じですかね?
 
【第九のベンさん】そうですね。離婚中心の街弁です。離婚が労力ベースでは半分以上で、その他色々という感じかな?
 
【ノースライム】おお、かなり離婚多めですね。
 
【第九のベンさん】離婚は業務妨害が多いです。相手方から酷いこといわれたり、高葛藤事案で神経をすり減らす日々だったというのが辛いですね。特に、こどもの人権に取り組んでいたときは、大変でした。
 
【ノースライム】子どもの人権に取り組むとどう大変になるんでしょう?
 
【ノースライム】通常の離婚に比べて
 
【第九のベンさん】面会交流系が出てくるので、それぞれの意見調整が大変かなと思いますね。
 
【ノースライム】相手方からひどいこと言われたとはどんなこと言われました?
 
【ノースライム】記憶に残っているのでは
 
【第九のベンさん】話し方がモグモグしているとかw
 
【ノースライム】そんなこと言われてもw
 
【第九のベンさん】スーツ着ているのに洋服が変とか、体格のこととか・・・
 
【ノースライム】脅迫的なものとかはなかったですか?
 
【第九のベンさん】さすがに1時間くらい相手が一方的言い分を電話で述べられたときは、警察に相談しようかなと思いましたね。事務局も困りますし。
 
【ノースライム】高葛藤案件で神経をすり減らすってどんなことがあるんでしょう?
 
【第九のベンさん】
分かりやすいのだと、弁護士も一緒に訴えられます。共謀があるらしいです。
 
【ノースライム】ぐるになって俺・私をはめているという主張ですかね。
 
【ノースライム】複数回あったりします?
 
【第九のベンさん】複数回ありますよー。それが家族法の弁護士の宿命ですね。
 
【ノースライム】うお、複数回あるんですね。ご自分で対応されました?
 
【第九のベンさん】3年くらい前は精神的にまいっていたので、全て代理人立てていましたね。
 
【ノースライム】そちらの方がいいですね。
 
【第九のベンさん】なので、採算割れです。
 
【ノースライム】確かに
 
【第九のベンさん】でも、やり方次第で減らすこともできます
 
【ノースライム】どんなことですか?
 
【第九のベンさん】例えば、別居して受任通知はすぐには送らないとかです。すぐに送ると、弁護士の男がオレの嫁を誑かしたといわれることがありますからね。また、葛藤が高い場合は全て調停。これを徹底するという感じですね。
 
【ノースライム】高葛藤案件はいきなり調停の土台に乗せるのは重要ですね。
 
【第九のベンさん】経済的な調整だけの場合は正直精神的にラクです。
 
【第九のベンさん】示談もできるし。
 
【ノースライム】子どもが絡むとそうはいかない
 
【第九のベンさん】男性はこどもに対する熱度は色々なんです。全く関心がない方もそれなりにおられるし・・・。
 
【ノースライム】逆にめちゃくちゃ執着する人もいますよね。んでもって攻撃性が弁護士に向くと
 
【第九のベンさん】一般論として40超えて出来たこどもはとても可愛いそうですね。んで攻撃も激しくなる・・・
 
【ノースライム】そもそも「子どもの人権」関係をやろうと思ったのはなぜだったんでしょう?
 
【第九のベンさん】自分が片親家庭だったので、社会的不遇を是正したいという気持ちがありました。
 
【ノースライム】なるほど。他にちょっと辛いなと思う事件類型ってありました?
 
【第九のベンさん】もともとは、労働者側の労働事件が7割くらいで、後は、法テラスの民事扶助と国選という時代はありましたね。
 
【ノースライム】労働者側の労働事件はそんなにつらくなかったですか?
 
【第九のベンさん】はい。依頼者はコントロールしにくい人が多いんですが、当時は、労組からの紹介の場合は労組の人も一緒に来ますし。解雇や残業代はそれほどつらくないです。ただし、セクハラとパワハラは除きますかね。
 
【ノースライム】セクハラとパワハラがきついのは何故です?
 
【ノースライム】事案としては被害を受けた側の代理人になりそうですが。
 
【第九のベンさん】ペイしない事件といえばいいのかなー。精神的負担も大きいですね。被害に遭う方々は、当時は女性が多くて気持ちの面が大きかったですねえ。
 
【ノースライム】どんな部分が精神的負担でした?
 
【第九のベンさん】陳述書100枚とか・・・
 
【ノースライム】おお…中編小説ですね
 
【第九のベンさん】ある程度ガス抜きも必要なんですよね。
 
【第九のベンさん】裁判官は読んでくれてないと思ったら、女性裁判官は読んでくれていたw
 
【ノースライム】ちなみに今の売上ってどんな感じなんでしょう?
 
【第九のベンさん】インタビューを受ける前に調べたんですけど、4000万円弱くらいですね。うちは収支共同なんで、僕の売上というのは算出できないんですよね。
 
【ノースライム】おお、全体平均より上ですね。
 
【ノースライム】労働時間はどんなもんですか?
 
【第九のベンさん】お恥ずかしいですが、午前10時に来て、午後7時に帰ります。
 
【ノースライム】ちょうどいい感じですね。
 
【第九のベンさん】そうですね。一般の方相手の場合は午後6時からの打ち合わせも多いですよ。
 
【ノースライム】そうすると辛さの部分は収入とか労働時間の部分よりも業務内容って感じなんですかね
 
【第九のベンさん】そうですね。なので、離婚も高葛藤事案からは遠ざかるようにしたり、一定の区切りがついたら辞任して、最後まで付き合わないようにしています。
 
【ノースライム】一定の区切りって例えばどんなことなんでしょう
 
【第九のベンさん】離婚って次々と問題が起こるんです。例えば、離婚後に面会交流調停が起こされることがありますが、それは受けないようにしたり。昔は全て受任してその方の人生丸抱えみたいな感じだったんですけど。
 
【ノースライム】なるほど、人生背負っちゃったりしてたんですね。
 
【ノースライム】今はだいぶ楽になりました?
 
【第九のベンさん】そうですね。依頼者との適度な距離を大事にしたら、だいぶ楽になってきましたよ。
 
【第九のベンさん】まあでも、依頼者との関係だけではないかもしれませんが。
 
【ノースライム】というと?
 
【第九のベンさん】独立しているので、他士業との交流とか、経営者団体に顔を出したり、後は、弁護士会の関係もあるかなー。集客面ですねえ。
 
【ノースライム】辛いです?
 
【第九のベンさん】そうですねw

昔って、なにがしか人間的に欠陥がある人が弁護士になっていた気がするんですけど、今の弁護士たちはコミュニケーション能力も高いし、能力も高いと評価してます。
 
【ノースライム】そうすると?
 
【第九のベンさん】僕は、そういうのが結構苦手な一方で、まあ顔を出したりするとか少し矛盾ですよねw
 
【ノースライム】顔を出しているのが辛いですか?
 
【第九のベンさん】まあ場所によるかな?本当につらいところには行かないですから。地方は、狭いので、噂とかあると気にしてしまう面もありましたねえ。
 
【ノースライム】ふむ、これから弁護士になる後輩とか弁護士になったばっかりの人に辛いです~と相談されたらどんなアドバイスされます?
 
【第九のベンさん】ええ?弁護士になったんだったら仕方ないけど、街弁はおそらく君たちの世代まではビジネスモデルが持たないので専門を持つべき。それで商売が成り立たないなら東京に行くべきといいますかねえ。
 
【第九のベンさん】そもそも弁護士になるのはおすすめしません。親の事務所をクライアントとともに譲ってもらえる場合は別ですけど。
 
【ノースライム】
①なんで東京に行くべきだと思います?
 
②先生が弁護士を続けているのは何故ですか?
 
【第九のベンさん】
①→地方都市では、名門事務所に所属していない限り、街弁業務を外してやっていくのは無理かなと思います。地方に行けば行くほど法テラス事件すら取り合いになっているくらいなので・・・
 
【ノースライム】②ですがその環境で先生が弁護士を続けるのは何故ですか?
 
【第九のベンさん】
②→つらい質問w

一時期任期付公務員への転職も考えましたが、事務所の清算が大変そうなので止めました。弁護士は、今の業務の内容を変えていけば辛くても未来は開けると思います。

独立したときは、法テラス事件ばかりでしたけど、今は法テラスも国選も全くしていません。弁護士は、興味があれば士業の業務の大半はできますのでお仕事の内容は変えていけますから。
 
【第九のベンさん】弁護士は10年単位で仕事を変えていくべきだと思うので、若い子は専門を持つにしても、30代、40代、50代で3つ何を専門にするのか考えて欲しいですね。
 
【ノースライム】仕事の内容を変えていくのが重要ということですね。
 
【第九のベンさん】後は、病気になったときとか、勤務弁護士がいた方がいいですね。入院中も書類出せって言われてあれが一番辛かったですw
 
【ノースライム】なるほど、ありがとうございました。
 
【第九のベンさん】ありがとうございました。
 
 

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