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ツクルバの重松先生に聞いてみた(要約版)
株式会社ツクルバでIR等を担当(取材当時)されていた重松先生に対するインタビューを要約しました。
ぜひ動画もご覧ください。
1.対談形式の要約
北(司会者)
今日のゲストは、株式会社ツクルバでさまざまな業務に携わり、現在は法務だけでなくIRも担当されている重松先生です。今日は、重松先生にこれまでのキャリアや、スタートアップで法務を担うことの面白さについて伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
重松(ツクルバ)
よろしくお願いいたします。簡単に自己紹介をさせていただきますと、私は弁護士としてのキャリアをスタートした後、2018年にツクルバにジョインしました。最初は顧問弁護士という形で、週1回ほど会社に入り、通常の法務対応をしていたんです。ところが、ちょうどその頃ツクルバが上場準備に入るタイミングで、社内法務の人員が不足していたこともあり、いつのまにか法務以外の業務にも携わるようになりました。
北
週に一回、顧問弁護士として入っていたのがきっかけで、だんだんと業務範囲が広がっていったわけですね。具体的にはどんな業務を担当されたのでしょうか。
重松
最初は本当に「通常の法務業務」でした。契約書のレビューやトラブル対応などですね。しかし上場準備が本格化すると、社内の法務担当者がみんなIPO関連業務にかかりきりになり、普段の契約書レビューやリスク対応などが追いつかなくなる。それを私が埋めるような形で携わっていました。
ところが、会社としてはやはり上場前後のIR(投資家向け広報)も大きなテーマになります。機関投資家や証券会社への説明資料を作成したり、投資家説明会の運営をしたり、そういった業務がどんどん増えていった。気づいたら「IRもやってほしい」と頼まれて、法務とIRの二刀流で動き始めたんです。
北
弁護士として入社されたのに、まさかIRまで担当するとは想像されていなかったのでは?
重松
そうですね、正直最初は「IRってなんだろう?」というレベルでした(笑)。社内にIR経験者はいなかったので、書籍を読んだり、他社のIR資料を研究したり、外部のアドバイザーにアドバイスを受けながら進めました。法務の経験から数字やリスクの見せ方にはある程度なじみがありますし、また弁護士としての「論点整理スキル」はIR資料作りにも生きる。結果的にはそこのスキルセットが会社にフィットしたのかもしれません。
北
弁護士がIRをやるというのはなかなか珍しいと思いますが、実際やってみていかがでしたか。
重松
最初は「未知の仕事」そのものだったので戸惑いましたが、やり始めると面白かったですね。IRって投資家に数字や事業の将来性を正確かつ魅力的に伝えなきゃいけない。どこまで情報を開示できるか、逆にどこを気をつけるべきかという判断には法務の観点も密接に関わってくるんです。自社の事業戦略や財務数字を深く理解しなければならないので、会社のビジネスそのものをより広い視点で見られるようになりました。
北
なるほど。いわゆる「攻めの法務」と呼ばれるようなイメージでしょうか。
重松
そうですね。アウトプットとしてはIR資料や投資家対応ですが、必要となる下地は「会社の戦略を法的視点でどう落とし込むか」「社内外のステークホルダーにどう伝えるか」です。守りの法務がしっかりしていないと攻めにも出られないとよく言われますが、ベンチャー企業だと特に、守りだけでは物足りない。法務として会社の事業発展に積極的に貢献することが求められていると感じます。
北
今はツクルバで働きながら、別の法律事務所にも所属しているんですよね?
重松
はい。ツクルバに入った当初は、週1回顧問のような形でやりつつ、別の法律事務所に所属していました。その後、ツクルバへの関与が大きくなっていき、社内ポジションとしてIRや法務をメインに担いつつ、それでも完全に「インハウスの弁護士」にはならず、法律事務所にも関わり続けています。社内では“副業”に近い形で認められている、というイメージですね。
北
両立はかなり大変なのではないでしょうか。
重松
正直、時間管理は楽ではありません。ただ、ツクルバはフレックス制を活用できるので、朝早く起きて事務所側の案件を片付けたり、夜や土日にまとめて作業したりもできます。会社のメンバーは平日は基本的に普通の時間帯で働いていますし、私もコアタイムにはしっかり社内業務をこなし、他の時間に事務所案件を処理するという感じです。
北
重松先生のような働き方を目指したいという若い弁護士の方もいらっしゃると思います。実際に法務プラスアルファをやってみようと考えている人に、何かアドバイスはありますか。
重松
私が思うに、まずは「自分がどういう働き方をしたいのか」を明確にすることが大切だと思います。弁護士のキャリアというと、伝統的には法律事務所か企業の法務部かという二択になりがちです。しかし今はスタートアップで「攻めの法務」にチャレンジする選択肢もあるし、私のように事業会社でIRまで幅を広げる道もある。逆に「年収を最優先で考える」とか「とにかく裁判や紛争解決でキャリアアップしていく」といった方向性もあります。
そのため、「自分が何をやりたいか」「どんなライフスタイルを望むか」「将来どういうスキルを磨きたいか」を一度じっくり考えたほうがいいですね。そこから逆算して、法律事務所に残るのか、企業法務部に転職するのか、それともスタートアップに飛び込むのかを見極めるといいと思います。
北
お話をうかがっていると、「攻めの法務」という言葉がすごく印象的でした。ツクルバのように新しいサービスを展開している会社で、法務が大きな役割を担いながら事業と一緒に成長していく様子がよく伝わってきます。
重松
会社側も、まさしく「事業戦略を推進する人材」として法務を位置づけているんです。IR業務もその一環です。投資家にどのように会社を理解してもらい、成長をサポートしてもらうか。これは数字の知識と事業理解、そして法的なリスク管理のバランス感覚が必要。そういったスキルをミックスして働けるのは、とてもやりがいがありますね。
北
今日は貴重なお話をありがとうございました。弁護士のキャリアは一つじゃないということ、そしてスタートアップや上場準備中の企業で法務を担う楽しさや大変さが、とてもよくわかりました。今後、重松先生のような働き方を希望する若い弁護士の方も増えていくのではないかと感じます。
重松
そうですね。もし興味のある方がいらっしゃれば、まずは顧問のような形で気軽にスタートアップやベンチャー企業に関わってみるのもいいかもしれません。相性やカルチャーフィットがあるかどうかは、実際に一緒に働かないとわからない部分も多いので。私自身も色々と模索しながら取り組んでいるところですが、一緒にチャレンジしたいという方が増えると嬉しいですね。
北
本日はどうもありがとうございました。これからのご活躍も楽しみにしております!
2.より時間がない人のために
対談の概要
司会者の北と、ツクルバで法務やIR業務を担当している重松先生によるキャリア対談。
弁護士としてのキャリアから、スタートアップ企業で法務以外の領域(IRなど)にも携わるようになった経緯や働き方を語る。
重松先生の経歴・背景
もともと法律事務所に所属し、弁護士として活動。
2018年頃からツクルバの週1回顧問弁護士として法務支援をスタート。
上場準備期のツクルバのニーズが高まるなか、法務だけでなくIR業務にも関わるようになる。
現在はツクルバに属しつつ、別の法律事務所にも所属し“副業”的に活動。
ツクルバでの業務内容
当初は契約書レビューやトラブル対応など通常の法務業務が中心。
上場準備に伴い社内法務リソースが不足し、重松先生が通常法務をカバーする役割に。
IR業務を担当する人材がいなかったため、重松先生が資料作成や投資家向け説明も担当。
結果として、法務とIRの「二刀流」として業務を行うようになった。
IRを担当することになったきっかけと感想
上場準備中の会社にとってIRは必要不可欠だが、社内に担当経験者がいなかった。
文献や他社事例を参考にしながら手探りで開始。
法的観点からリスク管理や情報開示を検討できる点がIRに役立つ。
事業や数字を深く理解する必要があるので、会社全体を見る目が育った。
法務の守りと攻め
「守りの法務」だけでなく、IRなど「攻めの法務」を担当する機会がスタートアップでは多い。
会社の成長に直接貢献するやりがいを感じられる。
法律事務所との両立
フレックスやリモートを活用し、ツクルバの業務と法律事務所の案件を並行して行う。
コアタイム以外は自分の裁量で動き、時間管理を徹底することで両立。
若手弁護士へのアドバイス
自分のやりたいこと、望むライフスタイル、得たいスキルをまず明確化すべき。
従来の「法律事務所か企業法務か」という二択だけでなく、スタートアップやベンチャーで幅広い業務を経験する選択肢がある。
社内法務としても、ただ“守る”だけでなく、事業戦略にもコミットするケースが増えている。
まとめ・重松先生のスタンス
ツクルバで法務とIRに関わりながら、外部の法律事務所でも案件を抱える“二足のわらじ”スタイル。
スタートアップでの法務は事業を理解することが不可欠であり、自身のキャリアを広げる大きなチャンスになる。
若い弁護士が企業に関わる際は、顧問契約から始めてカルチャーフィットや相性を探るのも有効。
キャリアは一つじゃないので、自分の目指す働き方から逆算して進路を考えるとよい。