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創知法律事務所の藤本先生に聞いてみた(要約版)
中国の案件を中心とした海外の案件を多く担当されている藤本先生に対するインタビューを要約しました。この動画の撮影の後ですがグローム・ホールディングスの代表取締役も務めておられます。
ぜひ動画もご覧ください。
1.対談形式の要約
1.対談形式の要約
北(司会)
本日は創知法律事務所の藤本先生にお話を伺います。よろしくお願いします。
藤本(弁護士)
よろしくお願いします。
藤本先生の自己紹介
北
まずは簡単に自己紹介をお願いします。
藤本
弁護士登録は2001年(54期)で、今22年目くらいです。特徴としては、アメリカと中国の両方に留学経験があるので、英語と中国語を使って国際案件に携わっています。京都大学・神戸大学・同志社大学の法科大学院で教える等、法科大学院での教育にも関わってきました。業務としては、企業法務を中心に国際仲裁なども手がけたりしています。
留学のきっかけと経緯
北
先生はアメリカと中国の両方へ留学されたそうですね。最初はアメリカに行かれたんですか。
藤本
そうです。2005年にUCLAのロースクールに留学し、1年弱ほど勉強しました。卒業後、ニューヨーク州とカリフォルニア州の司法試験に立て続けに合格し、ロサンゼルスの法律事務所で少し働きました。しかし、日本企業はアメリカ法務を直接アメリカの弁護士に頼むことが多く、「日本人弁護士として現地でやる」には難しい面があったんです。そこで、「自分の顧客をつかむには別のアプローチが必要だ」と感じ、次は中国へ行くことにしました。
北
中国ではどのように過ごされたのですか。
藤本
まず北京で語学留学を4カ月間ほど。ほぼゼロから中国語を勉強し直しました。その後、上海の中堅法律事務所で約半年、現地の企業案件や領事館の仕事を日本語でサポートする役割を担って、中国法の調べ方を含め、実務で多くを学びました。
北
北京や上海では法律も新しく、条文も比較的明確だとおっしゃっていましたね。
藤本
はい。中国は1979年以降に法律を再整備しており、成文化が進んでいます。さらに歴史的に日本法を参考にしているため、概念面で日本人には理解しやすい部分があります。
日本に戻ってからの国際案件
北
帰国後はどうやって中国関連の案件を増やしていかれたのですか。
藤本
あるとき、私が相手方弁護士として入っていた中国系企業さんの担当者が、「英語も中国語も使える藤本を逆にうちの顧問弁護士にしたい」と言ってくださったんです。そこから、その企業へ深く入り込み、香港・米国の証券取引関連など広範囲の案件を担当し、さらに紹介を受けて中国やアジア、国際案件がどんどん増えていきました。
創知法律事務所を立ち上げるまで
北
先生はその後、2017年頃に独立され、創知法律事務所を設立されたんですよね。
藤本
はい。前の事務所で国際案件を広げてきましたが、方向性の違いもあって独立を決めました。当事務所は東京本店で、大阪と札幌にも拠点があります。札幌の先生たちとは「地方だけでは案件規模が限られる」という悩みを共有していて、全国展開を視野にいっしょにやることにしたんです。地方の先生が集まっても、テレワークなどを活用すれば企業法務も十分対応できる、そういう可能性を追求しています。
北
今後も、たとえば福岡など他地域での展開も考えておられるんですか。
藤本
もし地元で頑張りたい先生がいれば、連携したいですね。地域ごとの特色に精通している弁護士と組むことでこそ、小規模でも広いサービスを提供できると思っています。
法科大学院での教育
北
先生は長年、法科大学院でも教えてこられました。きっかけは何だったんでしょう。
藤本
大阪弁護士会の法科大学院協力センターでの委員会活動が縁ですね。同志社大学で会社法を教え始め、それを機に京都大学や神戸大学でも中国法や国際取引法などの授業を担当することになりました。実務家教員として、いろいろな大学で半期ずつ、コマを持っています。
北
実際に教えてみて感じたことは?
藤本
司法試験に直結しない科目でも、真面目で意欲的な学生が多いと感じます。中国法や国際取引の話は、受験に関係なくても将来の大きな可能性につながると考えて受講してくれるんですね。経済的ハードルはあるものの、そこは奨学金支援や外部の財団と連携して何とかカバーできればと思っています。
核廃絶への思い
北
先生は「核兵器の廃絶を人生の目標」とおっしゃっていました。これは広島出身ということが大きかったんですか。
藤本
ええ。広島で育つと、8月6日の原爆投下や平和教育が身近にあって「核抑止」という考え方に対して強い疑問が刷り込まれるんです。政治家を目指した時期もあったんですが、自分には弁護士の道が合っていると思い、国際的な視点を持って核廃絶や平和構築に何らかの形で貢献したいと考えてきました。アメリカや中国に留学したのも、核保有国の感覚を肌で知りたかったのが大きいです。
若手へのメッセージ
北
最後に、もし先生が今の知識・経験を持って若い弁護士に戻ったら、どう動きますか。
藤本
語学はやはりやるでしょうね。英語と中国語は最低限、それ以外にも余裕があればスペイン語やベトナム語など。国際案件を切り拓くには大きな強みになります。それから、インハウスで企業の経営企画や国際部署にがっつり入る道も魅力的ですね。若いうちに、いろんな分野と深く関わる経験を積むことが大切だと思います。
北
本日は幅広いお話、ありがとうございました。
藤本
ありがとうございました。
2.より時間がない人のために
自己紹介と経歴
2001年弁護士登録(54期)、現在22年目。
アメリカ(UCLA)と中国(北京・上海)で留学・実務経験あり。
英語と中国語を活用した国際案件を多く扱う。
京都大学・神戸大学・同志社大学の法科大学院で教壇に立った経験がある。
アメリカ留学の経緯・学び
2005年からUCLAのロースクールに留学(約1年)。
ニューヨーク州・カリフォルニア州の司法試験に合格。
ロサンゼルスの法律事務所で勤務したが、日本企業は直接アメリカ弁護士に依頼するケースが多く、海外での日本人弁護士の立ち位置に課題を感じた。
中国留学の経緯・学び
北京で4カ月の語学留学(ほぼゼロからの中国語学習)。
上海の中堅法律事務所で半年勤務し、中国法の実務を経験。
中国の法律は成文化が進んでおり、日本法と共通する概念が多いため比較的学びやすい。
帰国後の国際案件獲得
中国系企業と出会い、相手方弁護士として関わったことがきっかけで顧問に抜擢。
香港や米国の証券取引など幅広い国際案件を担当し、その実績をきっかけに紹介も増えた。
“人が人を紹介する”形で、国際案件が継続的に拡大した。
創知法律事務所の設立
2017年に独立して事務所を立ち上げる。
東京を本店とし、大阪・札幌にも拠点を設置。
「地方の弁護士が東京の仕事をカバーしづらい」などの悩みを解消するため、各地域の弁護士と連携しながら企業法務も行う。
法科大学院での教育
大学(同志社・京都大学・神戸大学)で会社法、中国法、国際取引法などを担当。
「司法試験に直結しない科目」でも意欲的な学生が多く、やりがいを感じる。
経済的支援(奨学金など)を整えながら、若手法曹の育成に力を入れている。
核廃絶への思い
広島出身で、原爆投下の歴史や平和教育の影響が大きい。
アメリカ・中国に留学したのも、「核保有国の感覚を知りたい」という気持ちから。
大きな政治的テーマとしては弁護士の立場からどのように携われるかを模索している。
若手へのメッセージ
語学(英語・中国語など)は強みになるので若いうちに取り組むとよい。
インハウスなど企業内に深く入り込むキャリアも魅力的。
幅広い分野と関わりながら、自分の専門性を高めていってほしい。