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第3回 分析は比較

読者の皆さま、こんにちは!管理人のおとです。

カネ系が苦手なビジネスマンも、カネ系を楽しく学んでもらうことを目的に始めたカネ系相談所も今回で3回目を迎えました。

今回のテーマは、「分析は比較」です。では、一緒に勉強していきましょう。よろしくお願いします。
 

バックナンバー

第1回 カネ系なんでも相談所、はじめました。
https://note.mu/kane_kei/n/n171f53f0749f
 
第2回 アカウンティング基礎の基礎
https://note.mu/kane_kei/n/nd2472a18ee35
 

分析ってどういう意味?

今回のテーマの「分析は比較」。まずは言葉の定義から整理しましょう。

分析ってよく使われますが、改めて考えると、どんな意味でしょうか?
 
分析(ぶんせき)
ある物事を分解して、それらを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%86%E6%9E%90 

これをカネ系に当てはめてみると、「その数字を分解して、数字を成立させている要素を明らかにすること」となります。今の時点では「その数字がもつ意味を明らかにすることが分析」と理解してください。


比較って?

次に「比較」の意味を確認しましょう。
 
比較(ひかく)
比べること。二つあるいは三つ以上のものをくらべあわせて、そこに認められる異同について考えること。 「両国の経済力を-する」
http://www.weblio.jp/content/%E6%AF%94%E8%BC%83

これもカネ系で読み替えると「複数の数字を比べて、そこにある違いなどについて考えること」となります。


「分析は比較」ってどういう意味?

ここまでをまとめると、今回のテーマ「分析は比較」は、「複数の数字を、そこにある違いを比べることで、その数字がもつ意味を明らかにする。」という定義になります。 

数字って無味乾燥だと思ってしまいますよね。でも、カネ系の視点で数字を見ると、その数字がもつ背景や人間模様などが見えてきて、とても暖かく人間らしいものへと変わってきます。具体的に考えてみましょう。


年収400万円って多い?少ない?

さて、お給料の話で考えてみましょう。質問です。
 
「あなたの年収が来年から400万円になります。これって多いですか? 少ないですか?」

あなたはどう思いますか?その理由も含めて考えてみてください。

















はい。時間です。
 
答えはまとまりましたか?
私の勉強会でも、多いと答えた人も、少ないと答えた人もいました。
それぞれについて考えていきます。
 


多いと答えた人

多いと答えた人は、たとえば以下のような理由でしょうか?

「自分は現在就活中であり、どこの会社も初任給は月収で20万円位。そのため、年収ベースでボーナスも含めて、300万円位としたら、それに比べれば多い。」


 
確かに、大卒の初任給で400万円って多いかもしれません。私もそう思います。

 

少ないと答えた人

それでは、少ないと答えた人は、以下のような理由でしょうか?

「自分はもっと年収をもらっているので、この400万円じゃ少ない」



これもその通りですね。実はサラリーマンの年収って、国税庁のホームページで細かく公開されています。
 
平成27年分民間給与実態統計調査結果について
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/minkan/index.htm
 
これを見ると、男女別や業種別、正社員と非正規などが細かく分かれていて、大変興味深いです。個人的には、業種別でこんなに大きな違いがあることが驚きできした。


業種別の平均給与

【余談:心理クイズ】
「①去年の年収600万円で今年が500万円の状況と、②去年が年収400万円で今年が年収500万円の状況。あなたは現在どちらを幸せに感じるでしょうか?」


■解説:多くの人が、①のショックのほうをとても大きく感じ、それを数値化すると②の喜びの大きさの2~2.5倍という結果になりました。ところで、この問題を明らかにしたDカーネマン博士は、2002年ノーベル経済学賞を受賞し、一緒に行動経済学を研究していたRセイラー博士は2017年ノーベル経済学賞を受賞しました。


分析は比較

ちょっと話がそれてしまったので、話を本題に戻しますね。
多いと答えた人も少ないと答えた人も、すべて正解です。
 
実際「来年の年収400万円が、多いか少ないか」を考えるときは、「自分がもらえるはずの年収と比べて、この400万円は多いか少ないか」を基準にします。つまり、比較対象(自分の来年の年収)がいくらかによって、その答えが変わってきます。

自分の体重60㎏って多い?少ない?

もう一つ質問です。
 
「自分の体重が60㎏って多いですか?少ないですか?」


これも、先ほどの年収と同じように、体重が40㎏台の女性からすれば、60㎏は多い体重ってことになりますよね。
また、私みたいに体重が80㎏ある男性の場合は、60㎏なんてライ○ップにいってもムリな体重です(笑)。
ということで、ある人にとって60㎏は多いですし、私にとって少ないということになるでしょう。
 
 

分析は比較

「分析は比較」という意味、わかってきたでしょうか?
冒頭に「複数の数字を、そこにある違いを比べることで、その数字がもつ意味を明らかにする。」と書きましたが、”年収500万円”や”体重60kg”などのように、一つの数字だけではその意味は明らかになりません。自分の年収や体重など別の数字と比べることで、初めて多いか少ないかの意味が明らかになります。
 
 

カネ系では何と比べればいいの?

ここからが本題です。「別の数字と比較するっていうけど、では何の数字と比べるの?」という疑問を持ちませんか?
カネ系の場合、数字を比較する基準は色々とありますが、全部覚えようとすると一気に苦手意識を持ってしまいます。そこで「大きく2つに分けられる」というシンプルなイメージを持つことをお勧めします。

①他社と比べる

②自社と比べる 

では、それぞれについて説明していきましょう。

他社と比べる

<競合と比べる>
よくあるのは、競合と比べるパターンです。
 
「競合の会社の売上高が10億円あるのに、自社はまだ8億円しかなく、規模で負けている。」
「競合の営業利益率は10%なのに、自社の営業利益率は8%しかなく、収益性で負けている。」
 
つまり、競合の数字と比較して、自社の数字がどうなっているかを比べることで、競合に買っているのか、負けているのかが明らかになります。
 
 

自社と比べる

次に自社と比べる場合です。これは2つのパターンに分かれます。

<過去の実績と比べる>
自社の前期実績と比較することで、今期の数字が良化しているのか、悪化しているのかが明らかになります。

「前期の売上が10億円あったのに、今期は10億円に届かず、売上が少なかった。」
「前期の原価率は55%だったが、今期の原価率が50%に下がり、収益性が上がった。」
  
 
<予算と実績を比べる>
これが、日業業務で最も使われる事例だと思います。
 
「予算の売上は10億円だったけど、結局9億円しかいかずに、予算未達だった。」
「予算の利益が1億円だったが、最終的に1.2億円になり、予算達成した。」
 
つまり、予算と比較して実績が多いか少ないかで、実績の数字の意味が明らかになります。営業職は予算を達成したかどうかで自分の評価が決まる面が大きいので、本当に切実な問題です。
 
 

最後の質問

さて、これらを踏まえて最後の質問です。
 
「営業利益率10%って高いでしょうか?低いでしょうか?」
 
これまで一緒に学んだことを踏まえて、理由も含めて考えてみてください。

















時間です。
 
どんな答えが出たでしょうか?
今日の内容を用いると
「〇〇と比べたら、この営業利益率10%は、高いor低い」
か 
「比較対象がないので、これだけでは高いか低いかは判断できない」
になります。 
高度成長期の10%とデフレ期の10%では、分析結果が大きく違ってきます。

「分析は比較」

「分析は比較」とは「複数の数字を、そこにある違いを比べることで、その数字が持つ意味を明らかにする。」ということで、逆の言い方をすると、「比較対象のない数字は意味を持たない」ということになります。

 

 

まとめ

カネ系で数字を分析するときは、必ず比較対象を決める。比較対象と比べた数字が高いのか低いのかによって、その数字に意味が出てくる。一つの数字だけを見ても、何も意味を持たない。  


次回以降のテーマ

「アカウンティング基礎の基礎」を理解してもらうために、次の3つテーマで書きます。

◆分析は比較 ←今ここ 
◆経営指標はどう使うのか? ←次回のテーマ 
◆財務諸表はどこから見ればいいのか? ←次々回のテーマ

引き続きよろしくお願いします。
 
 

参考サイト

ビジネス数字力UPの秘訣は「比較」~定量分析の教科書セミナー(前)
https://globis.jp/article/5222
「換算したいもの、見極めたいものに対して、比較をすることによって分析をしていくというところは、じつは分析の際のとても根本的な頭の使い方だ」
 
 
【連載第1回】ほとんどの分析はなぜ不毛に終わるのか、失敗の原因を見つめることから始めよう

http://business.nikkeibp.co.jp/article/bigdata/20140730/269441/

「私の答えはシンプルだ。分析とは、一言で言えば比較、すなわち比べることだ。分析とは、フェアに比較できるもの同士を比べ、違いや関係を見ることなのだ」

 

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