【9月5日・6日交流戦ドキュメント】小笠原智一
9月5日、6日におこなわれた、読売ジャイアンツ(3軍)との交流試合。
出場選手をピックアップした記事をお届けします。
第3回目は、兵庫ブルーサンダーズの小笠原智一選手です。
差は何かを知る
あっさり三者凡退に切って見せたピッチングより、目に留まったことがあった。1日目の試合前、ベンチに座り、相手選手のキャッチボールやノックをつぶさに見ていた。
小笠原智一。他の選手の故障により急遽選出された19歳。
開幕投手を務め、8月18日には完投勝利も記録した右腕だ。
2日目。5回に登板機会が巡ってきた。135キロの速球とカーブが相手打線に全く的を絞らせない。あっさり三者凡退に抑えた。堂々のピッチングだった。
試合後に1日目の昼、何を見ていたのかと聞いてみた。
「上のレベルでやっている人を見る機会なんてめったにないですからね」
そう言って笑ったあとすぐ真剣な顔でこういった。
「大西監督が言うようにポテンシャルにはそんなに差が無いように感じました。じゃあなんで相手が強いのか。それを知りたくて見ていました」
小笠原本人も手ごたえとして「必死にやればNPBに入ることはできる」と思った登板機会でもあったが、それ以上に思ったことがあった。
「やっぱり相手はみんな足が速かったり、肩が強かったり、一芸に秀でている箇所がある。自分も結果はよかったんですけど、周りのピッチャーが140キロ以上投げている中で自分は135キロで、遅いから抑えられていたのかなぁって。同じぐらいの速さのボールで今度は抑えたいです。課題は体作りですね」
投球の意識も変わった。関西に戻ってきて登板した06BULLSとの一戦、風がレフト方向に強く吹いていたのを見て「レフト方向にはフライを打たせないようにする」というテーマを決めた。結果、失点はしたものの、狙い通りレフトにフライが上がることはなかった。
後日、改めて話を聞いて出てきたのは「ストレートを速くしたい。MAX○キロという看板が欲しい」という言葉だった。
181センチ、75キロの体が今後どこまで大きくなるのか。どんな速さのボールを投げられるようになるのか。じっと見ていた景色に小笠原が立つまで、必死に野球をする時間は続く。
(文・SAZZY)