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【 #球春到来 】【兵庫ブレイバーズ】激しいチーム内競争を勝ち抜け
オープン戦初戦
黒田庄ふれあいスタジアム。オープン戦の開幕を迎えたのは兵庫ブレイバーズ。2年連続の4位からの巻き返しを図る。
前日降り続いた雨の影響でグラウンドでバッティング練習ができない状態だったため慌ただしくアップが始まった。
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昨年の主力の大半が残留し、さらに毎年のように補強もぬかりない。
「紅白戦をやっても投手陣が不安になるぐらい打ち合いになる。今年の打線は相当自信がある」と山川和大監督は練習期間を振り返った。
この日のスタメンは移籍組が中心。
試合前の円陣の中心に立ったチーム在籍最長の6年目、山科聖はそんなフレッシュなメンバーにこう投げかけた。
「いざプレーするときには自分のプレーをするって誓ってグラウンドに立ってください!」
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盛り上がりの中試合がスタートした。
目立つ新戦力
試合は2回、新戦力の小早川祐人がヒットを放ち、そこから昨年はシーズン試合出場なしの2年目、石原裕和がタイムリー、新入団の富樫虎太郎もタイムリーを放ち主導権を握った。
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3回には新外国人選手ノアがレフトへの二塁打を放ちさらに点差を広げる。ノアは打撃だけではなく、5回に淡路島・長井翔太郎が放った打球をフェンス際でジャンプしてキャッチ。場内が沸いた。
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さらに5回には伊藤諭、大神康輔、6回には寺本大洸にもヒットが出た。
昨年の主力組だった山崎照英、中野樹、桑山義樹、塚本恭平らは試合に出ていない。新戦力で掴んだ初勝利だった。
https://baseball.omyutech.com/CupHomePageSeiseki.action?gameId=20241626359
注目の新外国人
ラインナップの中でひときわ目立つのは新外国人のノア。
昨年まで3年間マイアミ・マーリンズに所属していた。WBCスイス代表の経歴もある。
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193センチ104キロの大きな体ながら、足も速く、肩も強い。前述のとおり、「ホームランキャッチ」を見せるなど、打球判断も悪くない。
「寮とかだと普通に選手と話してますよ。ノアが英語で他の選手が理解して日本語で返して、それをノアが英語で返すみたいな。もうすっかりなじんでます」と大山翔平トレーナー。練習の量についても最初は驚いていたようだったが、次第に日本の練習と情熱に惹かれていったようだった。すっかり溶け込んでいる。
「ホームランを打つところと外野からのロングスローを見てほしい」というノア。
オープン戦ではマウンドにも上がり、三者三振にも切って取った。
メジャー傘下の球団に所属し、国の代表にもなっていたただけあってポテンシャルは間違いない。
これからどれだけ日本の野球に順応し、成長できるか注目だ。
■150キロ出たんですよ
この試合を締めたのは2年目の溝端雄慎。アウト3つすべて三振で記録。
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オフの間にトレーニングの甲斐もあり球速150キロも計測。
また縦に落ちるスライダーも習得。空振りを奪えるようになり、投球の幅が広がった。
試合前にちょっと照れ臭そうに「オフの間に150キロでたんです」と話してくれた溝端だったが、試合になると別人のように打者をあっさり追い込み三振を取っていった。
「オフの間にちょっと崩れたんですけど、今また調子が戻ってきた、そんな感じです。ストレートで追い込んで投げるというテーマがあったんですけど、うまくできたと思います」と試合を振り返った。
昨年、大学を中退し兵庫入り。昨年の福岡ソフトバンクホークスとの交流戦では三者三振も記録した。昨年もストレートには定評があったが、さらにレベルアップした姿をシーズン中に見せることができるか。
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サバイバルは続く
この試合もう一つ特徴的なことがあった。
初回に寺田真歩人が盗塁したのを皮切りに、チームで7盗塁を記録した。
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7盗塁のうち3盗塁を大神が記録(大神は盗塁企画4)主砲のノア、小早川も走った。ここまでのオープン戦、盗塁企画数はリーグトップ。山川監督は「今年はどんどん走っていきますよ!」と予告。
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長打を見込めるノアや小早川の前に足のある選手たちを置くことができれば得点力アップが期待できる。
試合後は気になったことを山川監督が選手一人一人に確認。よかったことや課題を言葉に出して選手に伝えていった。
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オープン戦初戦とは言え、そこには緊張感がしっかりあった。
優勝を目指す前に、40人ほどいる選手の中で選手登録が可能なのは30人。スタメン入り、ベンチ入りへのアピールやサバイバルも続く。
兵庫ブレイバーズのシーズン初戦は4月6日。
機動力と破壊力を兼ね備えた打線で狙うのは2019年以来の優勝だ。
(文・写真 SAZZY 取材日:3月1日)