【9月5日・6日交流戦ドキュメント】柏木寿志
9月5日、6日におこなわれた、読売ジャイアンツ(3軍)との交流試合。
出場選手をピックアップした記事をお届けします。
第二回目は、兵庫ブルーサンダーズの柏木寿志選手です。
変化と成果
2日目の朝。アップが始まった後、柏木寿志は大西宏明監督と打撃の事で話し込んでいた。ポイントは「タメを作るかどうか」
強打の遊撃手として期待され、開幕から出場を重ねてきた18歳。開幕からなかなか当たりが出なかったが、一時期、狙いを変化球のタイミングにすることにより、右方向にいい当たりが飛ぶようになっていた。
しかし、それもつかの間、打率が1割台に落ち込んでいた。
こういった機会だからこそいろんな人の話が聞ける。柏木は大西監督に相談。そこから大西監督のレクチャーが始まった。
「後ろにタメがないから崩れてしまう。タメを作って打った方がいい」
身振り手振りを交えて解説するが、柏木自身は違和感を抱えていたようだ。「ドアスイング(大振り)になるんじゃないだろうか」
小山一樹や橋本大祐監督にも確認しながら素振りをする。マシン相手にもスイングを確認しながら打ってみた。
「確かに今の柏木の打ち方なら、練習の緩い球は打てる。でも速い球が来たら打てない」と橋本監督。
迷う柏木に大西監督はもう一言付け加えた。「今は違和感もあるし、一回は崩れると思う。でもそこで自分のポイントを作り直したら絶対よくなるよ」
試合では3打数無安打。1打席目の三振からショートゴロ、ライトフライと徐々にアジャストしつつあったのかもしれない。
交流戦を終えて数日、リーグ戦に戻った。06BULLSとの一戦で、柏木はその打法でホームランを放った。
「打ったのは高めのまっすぐ。今までと違う感覚で打てていて、飛距離も付きました。しっくり来ています。自信になりました」
続く堺シュライクスとの一戦ではヒットは出なかったものの、あと一歩でホームランという大飛球も放った。
(この日の試合前も大西監督のチェックが入った)
「もっと自分が頑張ればNPBにもたどり着けるのかなと思いました。近づけるように頑張っていきたいです」
自分を変えることは難しいし怖い。それでも変えることによって得られる成果もある。18歳の柏木が変わるきっかけになった時間だった。
(文・SAZZY 写真・SAZZY さかたえみ)