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「06BULLSに足りなかったもの」花岡雄一が振り返る2020年シーズン

キャプテンを決める選手間投票の結果を聞いた瞬間のことを「自分がキャプテンになるとは思いませんでした」と、雄一は振り返った。選手間投票は村田辰美監督の方針だそうだ。

「一番ボクの票が多かったと言われ、うれしかったです。不安もありましたがキャプテンとして頑張ろうと思いました。」

コミュニケーション不足のまま開幕

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意気込んだものの、新型コロナウイルス感染症の影響で開幕が延びるという予想外の事態に。その間、試合ができないのはもちろんグラウンドや室内練習場も使えなかった。

チームで集まることさえできず、選手たちは不安や苛立ちを感じていた。ようやく練習できるようになっても体が動かず、うまくいかない。どこのチームも同じ状況で言い訳にしかならないが、キャプテンとして「みんな空回りしているな」と感じたという。

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選手どうしも、監督・コーチとも、コミュニケーションが十分とはいえないままシーズンが始まってしまった。

「シーズンが始まってから、監督・コーチと選手との間で板挟みになってしまいました。選手の思いと首脳陣の方針、どちらを優先すればいいのかわからず悩んでいたんです。

途中からは選手代表として選手側に立とうと決めましたが、選手の気持ちを汲み取れていたかどうかはわかりません。自分の結果も出なくて、ずっと空回りしていた気がします。」

悩みすぎて調子を崩した。チームもなかなか勝つことができず、それに比例するように雄一の顔から表情がなくなっていった。そんなときに支えてくれたのは、やはりチームメイトだった。

「佐藤蓮、出口航平、遊馬ジェシーにはずいぶん助けてもらいました。」

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(↑遊馬)

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(↑出口)

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(↑佐藤)

その佐藤に雄一の印象を聞くと、「正直なところ最初は頼りなさそうで大丈夫かなと思った」そうだ。「でもすぐにその印象は変わった。頑張ってチームを引っ張ってくれていました」と太鼓判を押す。


サポートしてくれるチームメイトがいる、心配して声をかけてくれるファンもいる。雄一はふっきれた。「自分が結果を出さなければ口だけで終わる。自分のスイングをしていこう」と強く思った。

しかしそのタイミングで自身がスタメンから外れてしまう。チームは優勝を目指すどころか最下位争い。どんどんベンチの雰囲気も悪くなっていった。


「ようやくふっきれて自分の調子が戻ったかなと思っていたところで、ついに(スタメンで)出られなくなりました。でもチャンスが来たら絶対いこうと思っていました。自分がとびぬけた成績を出せば、周りの選手はついてきてくれると気づいたから。自分がチームの起爆剤になりたいと思っていました。」

復調のきっかけとなった1打席

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きっかけとなったのは、10月11日対堺シュライクスの第5打席だった。マウンド上は堺シュライクスの片岡篤志。

スピードボールが持ち味の片岡だが制球が乱れることもあり、直前の試合でも死球をめぐって両チームに緊張が走る場面があった。

雄一が「少し恐怖心もあったが、思い切りいこうと振りぬいた」という打球は、センター前へ抜けるヒットになった。

「あれが抜けていなかったら気持ちが折れていたかもしれません。このヒットで完全にふっきれました。」

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(写真提供@sdmyk_89 https://twitter.com/sdmyk_89)

そう本人が言うとおり、続く10月15日、16日、20日に3試合連続のホームラン。「ボクが打ってチームを活気づけるのが理想」といった雄一に引っ張られるように、チームの雰囲気も良くなっていった。

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(↑10月16日は弟、洋平とアベックホームラン。写真提供@sdmyk_89 https://twitter.com/sdmyk_89)

「ボクがきっかけとなって、チームに勢いが出た。リーグ3位に終わったけど、チームの雰囲気はよくなったし終わり方としてはいい終わり方だったんじゃないですかね。もうちょっと早ければよかったんですけど笑」

「選手と首脳陣が一丸となれば、06BULLSが一番いいチーム」

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少し話は戻って10月16日、5連敗で迎えたホーム花園での試合。試合前に意気込みを聞くと、雄一は「選手と首脳陣が一丸となれば、ブルズは一番いいチームだと自負しています。」ときっぱりと言った。(https://twitter.com/kandokuleague/status/1313309352837562369

では、一番いいチームであるはずの06BULLS がこれだけ苦しんだ理由は何だったのか。

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「足りなかったのはお互いの信頼だと思います。監督・コーチと選手が一丸にならないとチームは強くならない。今年堺が強かったのは、チームが一丸になったということもあると思います。

たとえば打線だけで見たらボクらは一番だという自信がある。でも投打がかみ合わないと試合は負けます。ピッチャーが気持ちよく投げられるように守備で援護するとか、打つべき時に打つとか、お互いをフォローしあう、そういったことができていなかった。」


以前、ある投手も同じようなことを言っていた。

「ピッチャーが打たれるからチームが負けると言われたらそのとおりですが、たとえばチャンスに点が入らなかったり、抑えたつもりがエラーでピンチになったりすることが続くと、投手側としてはどうしても波に乗り切れない部分がある。勝つには、投打がかみ合うことも大事だと思います」と。

シーズンも終わりに近づき、ようやくひとつの形へ

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長いすれ違いの時期を経て迎えた10月23日のリーグ最終戦。そこには、くったくのない笑顔を浮かべる選手たちの姿があった。シーズン最後にようやくひとつの形になっていた。

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雄一は、

「チームのために何ができるかを突き詰めれば、一人ひとりが結果を出すことなんですよね。自分が自分のことをしっかりやればチームも勝てる。それにもっと早く気付くべきだった。みんな考えすぎて空回りしていた。」

と総括した。

「ただ、それを言い訳にせずに結果を残せるのがNPBに行ける選手だと思います。」


不本意な結果に終わった今季の06BULLSにも明るい要素はある。 

雄一の3試合連続ホームラン、

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出口航平がホームランリーグトップの8本、

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洋平がチーム初となる打率4割越え。

来季は、応援してくれるファンに一丸となった06BULLSを見せたい。桜井広大新監督のもと、強い06BULLSの復活が期待される。

https://06bulls.com/news/谷口功一gm、桜井広大新監督の挨拶/

(文・さかたえみ 写真・さかたえみ、SAZZY  協力・@sdmyk_89 https://twitter.com/sdmyk_89)

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