「富士雪を帯ぶ」
今日は一日、読書をしてました。
読み出したら面白くて、止まらなくなってしまったのです。とっても贅沢な時間だなぁと思いながら、一冊読み切ってしまいました。
その本の余韻が、覚めない中・・・・
皆さんのnoteを覗かせて頂く中で、愚慫さんの記事で「富士山が5合目まで雪が降った」ということを知ったのです。(☝記事も面白いですよ。)
これはすごい!
実は昨日、たまたま読んだ徳富蘆花の「自然と人生」の中で、10月16日が「富士雪を帯ぶ」だったのです。
それをこちらに、写させて頂きますね。
富士雪を帯ぶ
富士雪を帯ぶ。 さやかに雪を帯ぶ。
秋空(しうくう)何ぞ高き。 風威を帯ぶ相模灘の怒號(どがう)何ぞ壮なる。
此(この)空と此(この)海の間に 玲瓏(れいろう)として立つ富士の秀色(しうしょく)を見ずや。
絶頂(ぜつてう)より五合目(ごがうめ)のあたりまで、銀よりも白き雪は桔梗色(ききやういろ)の山膚(さんふ)を被(おほ)ひて、上は隈なく下は宛(さ)ながら 笹縁(ささへり)とれる様(やう)に山を包む。
雪色(せつしょく)浄(きよ)ふして點塵(てんじん)なく、日光(につくわう)に輝やき、水よりも澄める晩秋の空に襯(しん)し
豆相(づそう)の連山を踏み、萬波雪(ばんぱゆき)の如く立ち騒ぐ相模灘を俯瞰して、秀麗皎潔(しうれいかうけつ)、神威十倍(しんゐじうばい)するを覚ふ。
嶽頂(がくちやう)一點の雪、實に富士の秀色神采(しうしょくしんさい)を十倍(じうばい)せしむるのみならず、更に四圍(しゐ)の大景に眼晴(がんせい)を點(てん)ず。
東海の景は富士によりて生き、富士は雪によりて生く。
(十月十六日)
このように少し古い日本語に触れると、何故か心が清くなるような気がします。
民族における「言語」って、愛おしいですね。
どうぞ素敵な週末を、お過ごしくださいませ。