全てが愛おしく感じる瞬間。⑦書き続ける
想い出というのは、その時の空気まで再現します。
ちょうど10月のソウルは、雨が降っていました。
少し肌寒くて、雨がこの土地の涙に感じられたものです。そして、冷たい空気は「この土地と出会いたい」という、私の熱い意志に変わっていきます。
その時、同僚のお母さんが初海外旅行としてソウルに来られるということで、事前に案内する所を考えていました。
その時ヒットした情報を通して、ソウルに秘められたストーリーを手さぐりで探し出します。それはちょうど、私が韓国の大学に通っていた時に流行った歌謡曲「光化門恋歌」に由来する場所でした。
だから「ソウル」はこの曲と共に、私の心の中に飛び込んできたのです。
https://www.youtube.com/watch?v=mezYFe9DLRk
徳寿宮(トクスグン)という韓国の最後の国王「高宗(コジョン)」が生活した所を舞台に、宮中では親族や官僚の利権争いと、宮外では周囲に西欧の公使館はもちろん、中国・ロシア・日本からの圧力を受けつつ、高宗がどんな思いで一国の将来を想っていたことか。
そして、ソウルの街に立ち並ぶキリスト教会の多さの理由や、ソウル歴史博物館を通してこの町の激動の歴史を知ることになります。
それも、ソウル中央に位置する山である「南山(ナムサン)」と、象徴の川である「清渓川(チョンゲチョン)」という、人達と共に暮らしてきた自然たちに焦点を当てて、ソウルの涙に触れました。
これが、ソウルヌリ路になったのです。
このエッセイも韓国語に翻訳して、あの言論人の方に送ってみました。するとまた、そのサイトでアップされます。
その時の照会数は8000越えて、コメントは2つ。
「淡白で美しい文章に、日没の夕焼けを感じさせられる」と、「あなたが本当に韓国が好きである思いが、伝わってくる」など頂きました。
また「ソウル」は一人の小説家と、一人の画家との出会いでもありました。
小説家については、以前書かせて頂きました。(画家については、またの機会にでも。)
こうして「書き続けていこう」と思ったのは、李光洙との出会いからです。この方は、韓国の夏目漱石と言われている人ですね。
そして次にソウルはもちろん、今の韓国を創った「影の力」である「お母さん」の存在に、惹かれていきました。
(次回につづく・・)
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全てが愛おしく感じる瞬間。①母という存在
https://note.mu/kando_nuriko/n/n931946d33abf
全てが愛おしく感じる瞬間。②国と国との間で
https://note.mu/kando_nuriko/n/n299bc6a41293
全てが愛おしく感じる瞬間。③見えない力
https://note.mu/kando_nuriko/n/n0a2c88930e86
全てが愛おしく感じる瞬間。④人と人との出会い
https://note.mu/kando_nuriko/n/n07429cf78ba4
全てが愛おしく感じる瞬間。⑤奇跡は起きる
https://note.mu/kando_nuriko/n/n49735e351f5e
全てが愛おしく感じる瞬間。⑥出会う
https://note.mu/kando_nuriko/n/n0cf24b31ffa3