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水崎林太郎さん追慕祭

我が家のそばには、寿城(スソン)池がある。

その池は定期的に義理の母と一緒に、2歳の息子をベビーカーを乗せて、アヒルに餌をあげに行ったお気に入りの場所だった。

春には満開の桜並木と、夏には音楽に踊る噴水ショー、秋には池に映るみごとな紅葉や、冬には凍った池の上にうっすらと積もる雪の風景などは、ここがソウル・釜山に次ぐ第3の都市であることを忘れさせてしまう。

実はこの池は1924年9月に、総督府に直談判し私財を投げ打った水崎林太郎さんが、地元の農民達と協力して造った池だ。

岐阜県出身の林太郎さんは、1914年に開拓農民としてこの地に来て、干ばつなどに苦しむ地元の人を見かねて、灌漑用の貯水池づくりに乗り出した。

晩年「この池が見える所に、韓国式のお墓を立ててそこに眠りたい。」という遺言通りに、現在も池のほとりに永眠されている。そして、このお墓は一緒に造った地元の方の、ご子息である徐彰教さんによって守られてきた。

そして毎年4月になると、ここで林太郎さんの追慕祭が開かれる。そこには寿城区庁長や釜山の日本総領事を始め、日本からの関係者なども大勢来られる。今年はその追慕式が、今日だった。私も今年で4回目の参加となる。

この池の存在は25年前ぐらいから知っていたが、林太郎さんの存在を知ったのは今から約10年前のことだった。

「こんな人がいたんだ。」

そして、その時思った。

「できれば、林太郎さんのような生き方がしたい。」と。

国と国との関係性では不可能なことでも、人と人との関係性では可能になる。

その足あとがこうして、鮮やかに残されているのだから。

https://www.asahi.com/articles/ASK3Y463VK3YOHGB00F.html

http://www.wowkorea.jp/news/korea/2015/0410/10142599.html

拙い文章を読んで頂いて、ありがとうございました。 できればいつか、各国・各地域の地理を中心とした歴史をわかりやすく「絵本」に表現したい!と思ってます。皆さんのご支援は、絵本のステキな1ページとなるでしょう。ありがとうございます♡